事例紹介

コンビネーション
<製作編>
 part3

 写真 内容
あ〜でもない、こ〜でもない?
フロントフォークを倒立タイプで組上げる為に、バラバラのステムパーツを幾通りもの組合せで検討。
その結果、フロントフォークと共に、ステム関連も12Rで仕様を統一する事に。
そして、用意されていた不良品のフロントフォークも既に再生された。

ここまで、相も変わらずに先の見えないプロジェクトによって、雑然としたDIYガレージファクトリー
しかし、これからは実験台を卒業し、完成車組立ラインとして、整然と作業が進行して行く事になる〜♪
な〜んて、ハズは、なかった〜!

組み付けのベースとなるE型フレームには、しっかりと問題点が〜
細部にわたる受入検査の中で、唯一の欠点を発見〜!
それは、左サイド下部にあるサイドカウル取付ブラケット部分。
見事に割れて欠落しています〜

これは、想像の話になるけど
恐らく、この部分に、フレームスライダーを取付けていたのでは〜?
カウル装着状態でスライダーを取付けたら、位置と言い、見た目は、バッチリなんだけど‥‥‥
仮に、ちょっとした転倒でこんな事になったら、たとえカウルが守られたとしても困ってしまうよね〜
ファッションで付けていたなら、思わぬ結末!
どうせなら、手間であってもしっかりとした部分に〜  ⇒ 参考事例へ
 
やれやれ、この程度の不具合で良かった〜♪
という訳で、修理に取り掛かります。

もちろん、簡単な作業ではありません!
アルミ合金フレームだから、TIG溶接機によるアルゴン溶接で、しっかりと修理します。
ただし、その作業はいつもながら‥‥‥T.W.J.に依頼〜
それで、その方法としては、このまま溶接作業で肉盛りをして形状を復元していく事も可能です。
しかし、それでは、100%他力本願〜!
そこで、少しでも関与すべく、他のブラケットを溶接するという方法に決定したのが、写真の状況。
「これでも復活〜?」 で、おじぎしてしまったフレームからの部品取り?
ちょうど、上の写真で言えば、左下に見える右サイドのブラケットを切り取りました。
細部の違いは、どのみち接合部は大きく削るので影響ないって事で。
 
大雑把に形状合わせをしたところ。
この後は、接合部が深く溶け込めるように、ディスクグラインダーでV字形の開先加工を実施すれば、ミッション終了〜!

*開先加工
この場合は、両方のピースを突き合せた時、V字で接する形にそれぞれを斜めに削り、厚み断面をしっかりと溶接出来るように下処理する事。(他に、裏板を取付ける場合等、各種条件に応じた方法がある。)
T.W.J.が、難しいアルゴン溶接をぶっつけ本番で、サクサクと実施。
「汚くなったわ〜」と謝ってくれてますが‥‥‥
何の何の、しっかりと溶け込ませて付けてくれるだけでも、大感謝です〜!
ましてや、汚く無いし〜!!

普段、自分がやっているスチール溶接の条件出しと言えば、厚みに応じて電流を可変する程度のもの。
ところが、アルミの場合は、そんなものじゃない!
素人が、「こんなものかな〜?」と、万一、現物で試していたりしたなら
「あぢゃ〜!形が崩れてしまった〜!!」
なんて、後戻りできない試し作業?って事になる〜!!
まるで、自分の場合と同じなんですけど〜(爆)
無事に溶接出来ました〜!
しっかりと溶け込んで一体化しています。
念のために、ゴツンと叩くとガンと手に返ってきました〜!

この後、仕上げれば、修理痕もわからなくなるのですが、それはしません。
何も、この部分に限った事ではなく、色んな部分や事例で数多く〜
それは、確かな手入れや修理をされた物は、不完全手入れのオリジナルに信頼性で勝ると自負しているから。
そして、その作業はむしろ貴重と言えるし、修理痕はその証し〜♪
壊れたら簡単に取替え、買い替えって事では、物が可哀想。
物でも目的を持って生まれてきたからには、命が有る!
その命をそうは簡単に扱えないから、傷を直してでも頑張ってもらう。
その事で、人車互いのコミュニケーションが深まり、愛着も増そうってもの!

例えて言うなら、傷付きながら頑張るターミネーター1号ってところかな〜〜
 
さてさて、余談が長くなりましたか?
スペシャルな溶接作業によって、見事に機能性を取戻したフレーム!
でも、ようやく、スタートラインと思えば、長い道のりがさらに長く感じてしまうだろうから、いよいよスタートって!

オリジナルと異なる仕様で、未知なる高性能マシンに〜♪
その為の作業が、ここから本格的に始まるのだ〜 (^^)v
それは、何と言ったって、バイクの主体はフレームそのもの!
この、達磨さんが転んだような、否、仰向けに寝たフレームが、高性能マシンの主体って事になる。
そこで、それに相応しいLOVE注入ではなくて、魂の注入作業を実施!
その為に、裏も表も内も外もで、完全に洗浄する。
その手順は、まず外観から洗剤で隅から隅まで徹底的に。
もちろん、洗剤は、JOY
次に、エアブローで水気を切った後に、部品洗浄槽で灯油丸洗いの実施。
最後は、エアブローで灯油を切った後に、怒涛のパーツクリーナー洗浄によるすすぎ洗いで締め!
 
では、その魂注入作業とは?
フレーム内部への発泡ウレタン充填〜!
特に、ヘッドパイプ部からエンジンハンガー部までの強化。
9Rのフレームは、アルミ合金製とは言え、複雑な構成で巧妙に作られているのが、素人目でもわかる。
ヘッドパイプ部とエンジンハンガー部、それとピボット部以後の部分は、鋳物材による剛な部分。
そして、それらを結ぶ大きな湾曲部は、アルミパネル貼り合せの柔な部分。
因みに、エンジンハンガー部は、写真の左下部に見えるネームプレートの下側突起部。
9Rは、ダイアモンドフレームとしてエンジンを強度部材に使っているから、とりあえずエンジンハンガーまでは、確実に固めたいところ。

先述の「これでも復活〜?」 の事例では、湾曲部をシビアに補強したレーサー用のフレームがベース。
ガッチリ固めて、スリックタイヤでのハードなブレーキングやローリング中の外乱による振動の発生を抑えているに違いない。
 
しかし、それを見習って出来なくもないのだが、また違った方法でやるのも自己満足の世界では重要なアプローチの仕方では?
そこで、応力面で難しい当て板による補強ではなく、少なくともデメリットがない(僅かに重量増が)ウレタン充填を選択ってわけ!

逆に言えば、メリットは、限りなく自己満足って事なんですけど〜 (笑)
まあ、そこが結果がすべてのレースの世界と過程こそ?大事な趣味の世界の違い〜かな?
それでも、強化とまではなくても減衰という部分で効果はあるはず〜!

とは言え、簡単に吹き込めば良いってもんじゃない〜!
内部の空洞をしっかりと確かめて、どの部分にどの順番で充填していくか?
しかも、一般的な一液タイプのスプレーでは、ガス圧が飽和すると再液化してしまう問題もある。
その為、一度の吹込み量やオープンタイムの加減、ガス抜きの方法や湿気の供給等、経験値が低いと思ったようにはならない。
 
上の写真でフレームの穴の周囲が、ウレタンで汚れています。
しかし、そこから吹き込んだわけではなく、発泡途中に噴出して固化させてしまった部分を取除いた痕なんです。
吹き込みは、ヘッドパイプ部から長いチューブを使って奥から順番に。
小さな穴は、ガス抜きというよりは、しっかりと充填発泡出来た証しの部分って感じかな〜
だから、いきなり2枚上の写真のように、ヘッドパイプ部で風船状に膨らませてしまうわけではありません。
そんな事をすると、内部のガスが抜けずに再度液化してしまって、スカスカチューンで大失敗に〜!

写真の左がピボット側の鋳物部分で、右下のボルト穴がエンジンハンガー部分。
その間にある2ヶ所の小さな穴にも、しっかりと充填されたウレタンが見える。
 
ピボット側からヘッドパイプ内部まで、確実に充填固化をさせれば目的達成!
順番にコツコツ叩いて、自己満足の成果を高める事を忘れずに〜♪

それが済めば、惜しみつつも、ヘッドパイプ内部にステムシャフトが通るようにトンネルを掘る。
これが、簡単なようで、大変とまでは言わないけど、それなりに‥‥‥
あの柔らかい発泡スチロールであっても、丸い穴を開けようとするとどうだろう?
指でむしって、という方法では無理でしょ?
予定より大きく崩してしまうから、やっぱり刃物を使わないとね!
この場合は、より固くて粘りもある発泡ウレタンで、しかも間口は狭くて深さは手のひら程も〜 (^_^;
余分にボロボロと崩してしまったら、それだけ一体化した剛性が低下するし‥‥‥

 ⇒ 発泡ウレタン使用事例
まあ、何やかやと、以上でフレームへの魂注入は終了!
次は、いよいよ‥‥‥お化粧直しです〜〜やっぱり

左サイドの折れたカウルブラケットのすぐ近くが、打ち身で凹〜!
ジオメトリーが狂うって程ではなく、ちょうど外側に張っているのが、僅かにペコって扁平になったぐらい。
それで、折れとかが全く無いので、密かに発泡パワーに期待していたんだけど、それは無理だったか〜! (笑)

という訳で、迷ったけど、機能部品と言えどもお化粧します〜!
車のフレームとは違って、最も目に付く部分だからね〜
燃料タンクをパテで修理するのと同じだわ、‥‥‥きっと
って事で、当然、塗装作業も自動的に発生〜!

(余談)文中に‥‥‥がやたら多いけど、単にイメージじゃないからね〜
あんまり、ぐちゃぐちゃ書き続けると読むのも疲れるだろうと止む無く省略している訳。
だから、しっかりと意味は掴んで下さいね〜!
因みにここでは、「サイレンサーのように熱を持つわけでもないし、機能的に重大な欠陥を隠しているわけでもないし‥‥‥」って具合かな?
あ〜!また‥‥‥! しかも、写真のパテ盛りにも‥‥‥が! (^_^;
ところで、隠してないって部分で、写真右下のブラケット溶接部も、そのままの状態で、履歴がわかるようにしていますから〜
 
塗装に際しては、きっちりとマスキングを実施。
フレームのヘッドパイプとピボット部は、輪郭のエッジにオンラインできっちりと。

他には、リベット止めされたネームプレートは、プレートの断面部まで。
スイングアームでは、ピボット部とロアリンク部をマスキング。
その他のリアアクスルやボルト穴等は、未実施。
その色分けは〜?と言うと

シム調整等で厳密にクリアランス調整している部分は塗れない。
また、摺動で塗膜が磨り減り、締付トルクが低下したり、クリアランスが変化するような部分も塗れない。
と言えば、難しいようだけど、そもそも、元々が塗装品であれば、メーカーが元から塗装していない部分は、塗ってはいけない部分ってわけ。
当然ながら、シートレールも塗装。
マスキングは、スチール製のポップナット(薄板にかしめて付けてあるナット)とFUELと書かれたコーションラベル(注意書き)
黒く見えている部分は、小キズにペーパーがけをしているからで、そういった下地調整は、外装品の塗装も全く同じ。
ただ、磨き過ぎてアルミ地まで出してしまうと密着性等で他の部分と差が生じるので、あくまでも重ね塗りのスタンスで実施。
もちろん、各塗装工程では、徹底的な脱脂も必要とあって、複雑で細々とした形状は、妥協を許さない。

仮に、手を抜こうものなら、脂で塗料が弾いたり、埃や荒れでツブやザラツキが生じるのは必至!
そんな事なら、初めから化粧直しなど、しなければ良いのだ〜!
複雑な形状としっかりと目に付く部位である事等、安易に塗装すると苦労するのかも〜?
 
簡易ブースと化したDIYガレージファクトリーで、サフェーサーを塗装中のフレーム。
まずは、裏面から吹き始め。
大きくて重たいフレームは、アンコウのようにぶら下げて〜
というのも難しいから、普通に台の上に置いて、裏と表の2回に分けて、さらに2度塗り〜!
その途中で、作業漏れを発見〜!
それは、キーロックの穴の中を掃除後の最終脱脂をし忘れていた事と燃料タンクを固定するポップナットのマスキング忘れ。
何せ、一発勝負的な塗装工程中!
ゴソゴソと他の作業はしたくないのだが、小さな部分で不幸中の幸い〜!
無事に表面も塗り終えました。
台が替わっているのは、常にクリーンな台を使う事で、作業台のミスト(塗装粉)が舞い上がったり、不完全な硬化状態の塗装汚れが付着したりするのを防ぐ為。
仮に、同じ台を何度もの工程に使い回ししようとすれば、その都度、綺麗に掃除しなければならず、その過程でブース内に余分な埃を舞い上がらせてしまう。

品質良く作業を進める為には、効率良く進める事も大切なポイント!
スイングアームとシートレールも同様に、裏返したり台を替えたり〜
どちらも小さな面ばかりだし、狭く囲まれた部分もあったりして、スプレーの当て方は良く考えてやらないとね〜

サフェーサー塗装が終われば、ブラックマイカ色の中塗り、そして、最後は、2液ウレタン塗装でフィニッシュ!
これは、毎回のお決まりのパターンって事で省略〜! ⇒ 参考事例へ
塗装後に養生中のフレーム・スイングアーム・シートレール
塗装中とは違って、たとえ、地震が起きても被害を受けないように頑丈な台の上で完全硬化まで養生させる
完全硬化までは、台と固着したり痕が残るといけないので、スイングアームのネジ穴を利用して下駄履き状態に浮かす
シートレールもポップナットを利用して同様に浮かす
フレームは、タンク取付けボルト穴を利用して前部は無事に浮かすが、後部はスプレーの蓋の上〜 (^_^;
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