ZX7RRのボディーエステ?
ボディーの出来上がりを待つRR

ZX7RRが硬派なマシンであることは、カワサキファンならずとも周知の事実!
それは、何もタンデム走行が出来ないとかの実用面でのデメによるのではない!
性能面においてさえ、ストックでの諸元に、他車より抜きん出た部分はないのだから
では、なぜ7RRなのか?それはカワサキファクトリーのスピリットの象徴だから‥‥‥
限られたマシン、否、メカニズムを信じて限界まで攻め続ける‥‥武骨とも言えるレース魂
それは、そのままライダーにも当てはまる‥‥ レーサー 柳川 明 
彼の駆る7Rだからこそ、他では得られない特別な意味がある

 


ところで、7Rが柳川選手とともにWSBを転戦した時のチェッカー模様、あのカラーリング
残念ながら、この’96RRの時代ではない‥‥‥鈴鹿でのデッドヒートも’00
コピーしたいのはやまやまだけど、やっと出会えた超レアマシン
ここは、オリジナルを大切にしてこのカラーリングのままで
ちょっと、ミツバチハッチ似のお尻が可愛いって

 

 
 事例紹介

  
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写真 内容



 ボディーのリハビリ


アッパーの割れ修理はこちら
 
レーサーって言えば、レース用のFRPカウルが装着されているようなものだけど、実際はノーマルカウル。
もしや、このままの状態で出走していた?
それとも、退役レーサーの第二の人生?の門出って事で着せ替えてもらっているのかも?
理由はどうであれ、純正カウルであった事には感謝しないといけない。
FRPカウルならオリジナリティーが乏しく、かといって純正カウルはとっても高価!

それにしても、満身創痍って可哀想な姿には違いないんだけど‥‥‥

アッパーカウルが割れ、サイドは、無数の傷とともに削り取られているところも。
そして、アンダーには、グラベルで擦った深い傷!
なかでも特にひどいのが、右サイド。

普通なら全交換? もちろん全修理です〜!
  
右コーナーに嫌われた?


アップ写真
 
これは、右サイドカウル。

写真右手が前方で、写真上が上側。
一見、大したことなさそう?

ところが、そうではありません〜!
2枚目の写真は、アップ写真。

アップのアップにすれば、さらに良くわかるけど、何度も何度も削れている。
前から斜めに擦った痕に、ほとんど真横にコースアウトした痕とか‥‥‥
スプレーした後にさらに削ってしまったり、どうせ繰り返すわけだから、最後にまとめて直せばいい〜って? 誰が??

 ‥‥‥ ありがとうございます〜!

これはしっかりと楽しめそう!?
 
しっかりとパテ付け
アップ写真
 
とは言ったものの、経験者はおわかりでしょうが、こういった傷はとっても大変!
もうほとんど無数ってぐらいにあるし、傷口が必ずしもV字に開いているわけでもない〜
本当、砂でも噛み込んでいるような状態なんです。
しかも、ラフなスプレーが、不安定な状態にさらに輪を掛けているし〜

とにかく、まずは表面の汚れを落す事!
ラッカー薄め液でスプレーを綺麗に落します。
そして、無数に傷が重なっているような部分は、全部を削り落としてしまってもいいんですが、粗いペーパーである程度削って整えます。
整えるってのは、傷の縁のめくれ上がった部分やウレタン塗料の不安定な部分を取り除くような感じ。
この素地調整がいい加減だと、後で何倍もつけが回ってくるし、しかも綺麗に仕上がらない。

使用するパテはポリパテ
2液硬化タイプで厚付けパテと呼ばれてます。
普通2ミリ以上の厚みに対応って書かれているけど、2ミリ以下に使えないって意味ではありません。

カウルは、削り取られたうえに、さらに深い傷を残している状態。
いくら傷とはいえ、薄付けパテ(ラッカーパテ)を使用すると、さらに盛り付ける場合に弱い下地になってしまう。

そこで、厚付け出来るポリパテをしっかりと傷の中に押し込みます。

いよいよパテ付け。
まずは、完全に傷を埋める事が大切!
とにかく、しっかりとすり込む感じ。
小さな傷やピンホールも残さず、すべて!

研いで洗って、出来ていない部分は出来るまで繰返し〜
仮に、傷に浮いたような状態でパテがのっていても、この後の作業で取れてしまったり、塗装後に浮いてきたりすると泣きをみることに。

一旦、傷埋めが出来てから、肉盛りをしてボディーラインを整えます。

という事で、パテ付けは、こんな場合でも何度かに分けてやるとしっかりと出来るはず〜 
 
たまには、奥さんの化粧を見て勉強しないと
 
左コーナーは得意かな?

 
右サイドに比べると、左はとっても綺麗!
パテ付けも落ち着いて出来ます。
でも、気を抜くとピンホールを埋め忘れたりって事もあるので、隅から隅までしっかりと確認。

写真では、綺麗に薄く削れたような部分は、パテが盛ってありません。
その理由は、塗装が剥げた程度のほとんど足付け状態みたいなものだからです。
逆に、アンダーカウルでは、サービスホール周辺の欠損部に空中盛り付けをしてラインを出しています。
ところで、全体への足付けは、#600ぐらいでパテを研ぐついでにやっておきます。

ところで、このあら探しの段階が辛抱のしどころです〜
パテを練って作って、出来たと思ったら削りすぎたり、新たに発見したり‥‥‥
それで何度も、乾燥したり洗ったりですから、いつになったらゴールって、くじけそう?

そうやって、徹底的に手を入れたつもりでも、最後のところまでは辿り着けません〜!
人間の目には、限界ってもんがあります。
それは、写真のように素地の色や素材の艶などに差が有るままでは、ミクロの部分まではわからないからです。
もちろん、指で触ったり光りを当てたりしても‥‥‥

と言うか、ある程度の段階まできたら、サフェーサーを吹いてしまった方が、不具合が良く見えて勝負が早いって事です。


そんな事で、素地が出来上がったとしましょう!
 
下塗りでチェック(右)


アップ写真
 
 
素地が出来上がったら、次は下塗り。
使用塗料は、サフェーサーのグレーです。

サフェーサーは、素地の傷や穴、凹みを均すように説明されているけど、実際はそんなに簡単にはいかないもの。
特に、傷やピンホールに吹き込むなんてほとんど無理って考えていたほうが無難。
ガス圧で上を通り過ぎて、憎たらしいほどに埋まらないって!
それを、しつこくやってると周りがボタボタの垂れ垂れになってるはず〜?

また、足付けにムラがあると塗料ののりに違いがでるし、特にパテの部分と他の部分の違いにも注意しないと。
当然、複雑な形による気流の乱れにも対応しないといけませんね〜
いずれにしても、共通して言える事は、一度で済まそうと思わない事でしょうか?

まず、薄く取っ掛かりを付けるように吹いて(バラ吹き)みながら、のりの具合とか不幸にしてはじく部分をチェック。
一旦、乾燥させてからそれらを修整します。
脱脂をやり直したり、足付けしたり。

そして、次は、修整部分や縁などの塗りにくい部分を吹きなおします。
再度乾燥させた後で、しっかりと全体に塗装します。
この時は、しっかりとした塗膜が出来るようにしっとりと濡れるように吹きますが、万一垂れても慌てずに後での修整とします。

決してペーパーで吸い取ったり、スプレーで延ばそうとしたりしない事。
さらに言うなら、回転させたり振ったりも無駄!

どこかにぶつけたり、落したりひどい目に遭う〜
 
下塗りでチェック(左)


アップ写真


アップ写真
 
 
「大事なのはここから!」

今までのところで1回分塗れたはず。
いわゆる1度塗りって事ですが、それでも実際には3度に分かれているわけ。

説明書に書かれてある、「ひどい場合は2〜3度塗った方が綺麗になる」っていうのは、これから先にもう1〜2度ってことですから念のため。

1度塗りで綺麗に塗れたと思っていても、乾燥させると色んなアラが見えてくるもの。
もし、何もなかったとしたら?
表面の素地調整を#1000程度で行い、ザラツキなどを修整すればOKです〜
もちろん、2度塗りをしても構いません。

構いませんって?

より良い下地になる場合もあるし、下手に吹いて荒らしてしまう可能性もあるしって事です〜
また、塗膜が厚くなると上塗りが神経質になる場合があります。
特に、エナメルやアクリルタイプの塗料を塗り重ねている場合は、ちぢみが発生して悲惨な目に遭う危険性が高まるのは事実。
 
良い下地が出来たならば、必要以上には塗らないってのが無難です〜
 
下塗りでチェック(アッパー)


アップ写真
 
 
アッパーカウルも割れを直してパテ修整されています。

下塗りに際しては、2色塗り分けって事で一考しないといけません。

白い部分は、上塗りの発色を良くするために白のサフェーサーを下塗りに使用します。
ところが、白いサフェーサーでは、素地にパテ色とかが有ると完全に隠す事が出来ません。
そこで、まずグレーで隠してから、さらに白を塗り重ねる事になるわけです。

その為、他の部分との厚みに差が生じることになりませんか?
そこで、白く仕上げる部分については、マスキングで他と縁を切った上で、それぞれの厚みを考えながら作業を進める事にします。
こうしておけば、後で、塗り分けのラインがオリジナルをトレース出来ないって失敗も防げるし〜

塗りに際しては、ダクト奥がスプレーに角度が付けれず塗料がのりにくいため、裏、表両方から確実に吹きます。
 
さらに手入れ


アップ写真
 
 
いよいよ、「大事なのはここから!」の続きです。

ここまでの段階でも、あの傷だらけの状態がまったく想像できない程に仕上がっています。

でも、元々が終わりのない作業に区切りを付けて、下塗りをスタートしたわけ。
だから、これで満足するわけにはいきません!
一通り1度塗りが終わったら、凹みやピンホールを徹底的にチェックします。
もちろん、新たに作った問題も!?
そう、垂れ虫のはりつきゴミかみ等です。

徹底的に手を入れますから、修正箇所は結構有ります。
虫やゴミかみは、凸も同様に削り落とせばいいんですけど、凹みは? 
この時は、ラッカーパテ(薄付け)を使用します。
絞りたてを素早く擦りつけ馴染ませます。
ラッカーですから、サフェーサーを多少溶かしながらピンホールや凹みが埋まっていくわけです。
その為、ゴソゴソ触りすぎると下地を荒らしてしまう事になります。

また、硬化しだしてポロポロしたパテでは、充分に馴染まず、研ぎの段階で取れてしまう事になるので無駄骨になります。
ここでの注意は、こうやって拾ったパテが研ぎ残しになりやすい事です。
元々がピンホールとかですから、ほとんどが余分。
当て物を使ってしっかりと削り落とさないといけません。
 
そして、今度こそOK!
全体のザラツキとかも同時に修整した後、2度塗りです。

下塗りは、確かに塗って研いでを繰り返す事で平滑で工芸品のようになっていくわけです。
でも、すり傷(スクラッチ)や小さな穴(ピンホール)は、スプレーではなかなか埋めれないという事が経験としてあります。(爆弾に対してざんごうに逃げ込んだら助かるわけね!)
それを無理に厚塗りで潰して、研いで修整してと繰り返していくのは大変です。
というのは、厚塗りでは、垂れや気泡等の新たな不具合を生じやすいからです。
下手をすれば、どんどん深みにはまってしまう?
挙句に、上塗りでちぢみではあまりに辛い〜!
ちぢみは、大抵の場合、根こそぎ全層を剥さないと塗り直しても同じ繰返しになります!

 
そこで、塗装の上からでもラッカーパテで修整しているわけです。
パテでも無理な場合は、タッチペンで潰してもいいわけです。
始めからそのつもりですから、無理に厚塗りはせず、2度塗りでも軽く仕上がり作業性もよく、さらには、上塗りもしやすいんです。

 
顔は、入念にってとこ
アップ写真
 

アップ写真
 

アップ写真
 
アッパーカウルは、2色塗り分けってことで、多少手間が増えます。
でも、ここは、大切な顔ってわけですから、手を抜くわけには参りません!

白い部分のマスキングを外して、今度は逆にサフェーサーを塗り終わった側をマスキングし、塗装を剥がします。
この時、ブラックフェイスもいいなって思ったりして〜
いかんいかん初志貫徹!
途中で浮気をするとろくなことないです〜


後は、他と同じ要領で、グレーを2度塗りし白で下地を仕上げます。

一番下の写真は、グレーを塗ったところ。
この後に、白を塗り重ねた写真はありません。

ところで、いい加減に撮ってる写真だけど、写真撮りながらの作業って、捗りませんよ〜 ボソ
境界線が大切




アップ写真
 
 
白で下地が出来たなら、続けて上塗りまで済ませます。
仕上げのカラーは、オリジナルはどうだか知りませんが、勝手に選んだパールホワイトマイカ!
さりげなく個性が出るのでは?という自己満足の選択〜!
怪しく光ってませんか〜?

上塗りが終わると、次は、また逆にマスキング。

この後、ライムグリーンを塗る準備に入ります。
それが2つ目の写真。

ちょっとプレデターのようになっていますけど、決してそんなに不細工ではありませんヨ〜!

こうして、しっかりと裏面まで押えていないと、折角出来上がったパールホワイトの部分に裏側からライムグリーンが舞い込む可能性が有ります。
 
ここでのマスキングが、最終的な塗り分けラインになるため、思い切って(決断が遅過ぎ〜)プロ用ハイテクテープっていう金目の武器を使用(大袈裟っていうかボンビー)。
それまでは、普通の曲線テープやカッター切り等で対応していたので、微妙に差が出る始末。

まあ、段差は研いであるので問題ないし、上塗りのライムグリーンにとって白とグレーの差は気にしなくていいでしょ?
それより、クリアなラインの方が重要なんで、この際、思い切って引きなおすぞ〜!
っていうのが下の写真。
 
リアフェンダーは、FRP  
最後に、前から気になっていたリアフェンダーも塗りなおし。
グリーンに塗装されていると、どことなく重ったるい感じがするんだよね〜

いよいよ残るは、上塗り!
ここまでくれば、出来たも同然かな〜?

 
 


タンクも綺麗に塗れました〜!
ではなくて、不思議な事にまったくの無傷!!
これは、本当に感謝感激、ありがとうございます m(_)m
ここだけは、あなたの為に守り通したって感じですか〜〜 ¥(^0^)/

 


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