事例紹介

  
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 これでも復活〜?
  (part3)
レース用補強フレームをベースに他機種レーサー用ラジエーターを取付けるという難関を突破!
残るは、いよいよ、外装のみ〜!で、一気にGOALへ〜のはずが‥‥‥
 
バイクの個性を決めるのは、外装!
有機的でありながらも全身からアクティブな雰囲気を発散し、ライダーを挑発する9R。
そのデザインにおいて、複雑なパーツ構成で成り立つカウル類は重要なはず〜?
ところが、用意されたパーツは、とあるレーシングチームが出品したレース用カウル!
やっぱり〜〜
確かに、安く手に入るのはわかるけど‥‥‥
ノッペリとしてペラっとして、表面モコモコなFRPの‥‥‥綺麗に仕上がるのか〜?
折角のスペシャルフレームが〜!!

それに加え、レース上がりのFRPパーツって、割れやキズ、さらには欠損まで当たり前!
それと、案外気を重くするのが、ストライプテープにステッカー、そして、ゼッケンの汚い塗装〜
しかも、真っ黒なオイル染みやタイヤ屑が裏と言わず表にも〜!

そして、最後に決定的なコメントが〜
『カウルは、E型のしかなかったから〜!』
「?!」
現車は、C型で1灯式ヘッドライトだから‥‥‥
「E型は、2灯式の新しいタイプやろ〜?」
『そやで〜、12Rみたいな顔のやつやけど、どっちみちヘッドライト付いてないから!』
確かに、レース用カウルなら付いていたとしても、耐久用で丸目1灯ってわけ!
「まあ、ええわ、この際、大差ないやろ〜」

「そやけど、どうやってヘッドライト取付けるねん!車検受けなあかんねんゾ〜!!」
と言った時には、既に姿なし!
 
そんなやり取りを経て生まれたのが、次に紹介するスペシャルカウルなのだ〜!
  

スペシャルな外装!
 
いきなり完成品〜!ってわけなんだけど、作業工程は、いつもと同じなんで‥‥‥
補強したり削ったり、パテを盛ったり下地塗装したりetc.については、他の事例を参照して下さい。

フロントフェンダーは、ノーマルと異なりワンピース構造です。
元の状態では、左右フォーク間の部分がスポイラー形状となっていました。
その為、正面からのラジエーター部への静的な開口面積が狭まります。
これは、超高速走行では良い流れかもしれないけれど、街中走行では不利と判断。
タイヤ側内面をFRP補強の上で作り直し、スポイラー状の盛り上がりは削り取りました。
後でフロントアングルの写真が出てきますので、その意味がわかると思います。
 
アッパーカウルは、これもノーマルと異なり両サイド一体のワンピース構造です。
ヘッドライト取付部は、穴あけ加工してあります。
また、ラムエアダクト部と両サイド上面の内装にあたる部分は、フレーム同様にブラックマイカ塗装をしています。
 

スポーツドリンク?
さて、カウルを付けようとして分かった事〜
それは、レース用カウルは、さすがはレース用!
ノーマルと比べてそんなにスリムでコンパクトでもないけど、ヘッドライトの有無だけではない違いが。
その副産物が、ドリンクボトル〜!
ラジエーターのサブタンクを取付けるスペースがカウル内に有りませんでした。
まさか、純レーサーのように目の前に置くわけにもいかないしね。

取付けは、困った時のタイラップ!?ちゃんとしたホルダーは、宿題にしておきましょう〜♪
 

レーサーの所以!
フレームスライダーは、本来の取付位置にデ〜ンと取付き、開口部はガバ〜っと。
スライダーは、カウル取付部ではなく、エンジンマウントボルト部に共締め。
少々の転倒で削れる前にボキッて事は、アリマセン〜!
 

鉄下駄〜!
  
サブタンクは、コンパクトに収まっています。
アンダーカウルもコンパクトで、その前方にジェネレーターカバーが露出するデザイン。
それで、コーナリングで削るわけにもいかず、ステンレス板でワンオフガードを追加。
打ち出してあるけど、厚みは0.5ミリあるので頑丈です!
その気なら火花を散らしながらコーナリングも出来ますので‥‥‥転倒時ですが
 

アルミラムエアダクト〜
ラムエアダクトは、ノーマルC型の分は使えませんでした。
カウルの開口部が、E型の方が横に長いデザインで合いません。
それで、部品の手配を待ちましたが、手配出来たとの連絡がなかなかきません。
まあ、無くても乗れなくはないのですが‥‥‥
そんなわけで、他の作業を進めながらも、やはり無いと他の部分も決まらない!
何せ、ヘッドライトの取付けってテーマがあるので、それとのクリアランスの問題。
特に、上下のクリアランスがギリギリ〜
そんな事情の中で、ワンオフした方が確実で早い!と結論。
デザインを決定するための試作品をアルミ板でサクサク〜って作ってフィッティング。
もちろん、TIG溶接は出来ませんので、リベットでの仮止め品。
ところが、『これでええやん!』
当然、TIG溶接で仕上げてもらいました〜♪
 

迫力の面構え!
ダクトは、アルミ地のままで鈍く光っています。
ここで問題点!キャブのベントホースは、片方だけしかありません。
理由は、まともな部品が一つしか無かっただけの事で、そこまではワンオフしなかったから。
この状況では、ノーマルと比較してブースト時に燃料が出にくくなる方向への改悪〜
とりあえず、出過ぎる方向ではないので、もしかしたらより良いフィーリングかもしれません。
しかし、現実にそれ程の差が生じるのか、実走行の上でフォローしていきましょう。
それよりも、シュイ〜ンとか、ちょっと共鳴ぎみな乾いた吸気音がしたらいいのにな〜♪
 

立体造形のワンオフ!
レース用カウル使用での最大のテーマは、ヘッドライトの取付け!
そもそも、レース用カウルとは言え、元はE型用。
だから、ラムエアダクト云々の前に、ヘッドライトでも問題はあるわけです〜
それは、E型の場合は、2灯式〜
だから、それ用のライトとスクリーンを用意して!
と言っても無理だろうし、個人的には1灯式が好き〜♪
そんなわけで、自然な流れで残る1個のノーマルヘッドライトを使用する事に。
それで、いざ位置決めをし加工に入ろうかという段階で問題発覚!
C型とE型では、カウル自体の傾斜が異なる為、そのまま面一にセットすれば照射角が空を向く〜(汗)
また、2灯式デザインに応じた?眉間の膨らみが1灯式ライトとのマッチングを難しくする〜(汗")

その答えが写真のとおりの立体造形!
切取ったカウル面にFRPやパテによる立体造形を施し、まずは二次元曲面を作る。
そこにポリカーボネート板を取付ける事で外面を形成。
ヘッドライト本体は、カウル内面へFRPで固定したブラケットへセット。
カウル面とライトレンズ面では、下部で最大3〜4センチの差があります。
ブラケットのセットは、カーボンミラーの修理事例を参照して下さい。
 
ノーマルのC型は、いかにも空気抵抗が小さいって感じの面一なデザインで、とっても9Rらしい。
けど、これはこれで、スクリーンサイドのダクト形状とシンクロした彫りのあるデザインでの新提案!
どこかのモデルで有りそうな、全く自然な仕上がりって感じで‥‥‥??!となる楽しみが〜♪
 

ここがポイント!
スクリーンは、C型のをカットして使用しました。
やっぱりKawasakiって入ってるのがいいよね!
それと、ミラーは傷ついていたのを修理してボディー色で塗装しました。
これは、高級感というか上質感って面で効果的だからお薦めしま〜す!

塗装の際には、表面の梨地面をしっかりと磨いて、ミラー面のマスキングは丁寧に。
面倒くさいようだけど、見た目が随分変わると思うでしょ?
さらにヤル気があるなら、お好みでウインカーの埋込みなんかもやってみれば〜?
 

排気熱対策です
アンダーカウルは、シルバー系で塗装。
エキパイとのクリアランスが小さい為、グラスウールマットを貼って熱対策しています。
 

エキパイ側も
最も接近するステップ付近では、エキパイ側にも巻き付けて念入りに対策〜
ですが、実は見た目の効果も大きかったりして!
 

ほぼ完成形の全体像〜
 
出来上がりました〜オリジナル9R改!(自称)
燃料タンクとシートカウルは、問題なく再使用出来ました。
  

マニアックなコクピット!
ヨシムラ製の水温、油温計は、以前からの装備。
でも、今回は、クーリングファンの作動状況をしっかりとモニターしてもらいます〜
この後、シーズンオフと共に、約半年間に渡って冬眠する事に〜
 

ムサシで事前チェック?
そして、シーズン到来!いよいよ、その実力を発揮する時がやってきました!
まずは、新規検査と登録手続き。そして、任意保険の書き換え(事故後も、ず〜っと継続中)

いざ、神戸登録のはずが、何故か姫路のムサシ〜?
実は、たまたまムサシに行く用事が出来たので、後ろに積んで行きました。
軽トラにとっては、何でやねん!って程のついで仕事です〜(笑)
それで、検査場近くのテスター屋さんでヘッドライト調整を事前に実施。
と言うのも、神戸で、しかも登録も同時って場合は、時間的に余裕がない。
道中も長くて何が起こるかわからないし、再検で慌てる可能性も(汗)
だから、とにかく、出来る事は事前に済ませておくに限るのです〜
特に、今回の光軸調整は一筋縄ではいかないはずだし。
 
『調整ネジを回し過ぎると外れてしまうけど、大丈夫〜?』
「ライトの取付け角度は、調整範囲の中心でやってあるから」
便利なギヤ式のリーチの長〜いオフセットドライバーで、キリキリ‥‥という間にOK!
これで、いつでも神戸に行けるゾ〜!!
 

いざ、受検〜!
そして、新規検査当日。
ここは、東灘の神戸登録事務所。
既に、先客が粛々と進んでいく中で、取り残されている〜?
のではなくて、ラインの入口がスロープでちょうどそこに差し掛かったわけです〜
と、その切れ目を利用してか、検査官の方がトコトコと近付いて来られました。
バイクをチラッと見るや、『まあ、ゆっくりやろうや!前の分済ませてからにするわな!』
アチャ〜、こってり見てくれるわけですか〜?
まあ、相手に不足なし!とことん解説してあげましょう〜
そんじょそこらの意味不明バイクとの違い、スペシャルの所以を〜!

『入ってきて!』
ラインに入ると、まずはフレームNO、エンジン型式の確認からスタート。
『このバイクは古い手やな!見たらわかる‥‥‥』
いきなりの鋭い話に次の言葉を期待しつつ、詳しい方やな〜って
『このな、横のとこにな、新しい分はKawasakiって書いてある』
えっ、それが新旧の見分け方?と言うか、これレーシングカウルなんですけど〜〜
結局、どのように感じてもらったのかとか、全く意味不明で検査は進むのでした〜(笑)
タイヤを点検ハンマーで叩かれるのは、当然として、
例のサブタンクが叩かれたかどうかは、秘密という事にしておきましょう(爆)
 
  そうきましたか〜(笑)の図

凱旋ツアーです〜♪
無事に登録も済ませ、やっぱり一安心〜で帰路は余裕タップリ!
ついつい、真っ直ぐ帰るのは、もったいないなって思っちゃいます〜
それで、立ち寄るならすぐ近くのサンシャインワーフ!
マクドでも買って‥‥‥しかも、深江IC.から即高速道へ上がれます。
のんびり下道で帰るなら、六甲パインモールですか〜?ハーレーショップもあるし!
とにかく、ボロイ軽トラとの対比で積荷が引き立つんだよね〜♪
 

 完成の証しダ〜ッ!!
見事に公道への復活を果した9R改!
こうやって事例紹介で書けば、わずか3ページで面白おかしく完結〜?
しかし、実際は、突然の事故からの立ち直りって、そんなに簡単じゃない!
もう乗れないかも?もう乗りたくないのかも?自動車があるからそれで充分‥‥‥そんなライダー自身の心の動揺もある。

たとえ、マシンだけが技術的に修復されたとしても、それでは真の復活とは言えない!
ライダーとマシン、その両方が復活してこそ、不幸な事故からの完全なリペアと言えるのではないか?
その為に、じっくりと時間をかけて、それぞれが少しずつ新しい方向へ自然体で動き出すように。
途中、何度も停滞しながら、ついには早く乗りたい〜!って心底思えるまでに。
そして、幾多の難関を時に共同作業で突破し、生まれ変わった姿でほぼ完成した時点が、既に秋も終わる頃。
ここで、賢く決断!来シーズンまで、このまま冬眠させるのが得策〜
そして、今シーズンインと共に、見事登録を済ませたのだ!
そんな手間と時間と技術を充分にかけ、そして、アイデア一杯の世界に1台の正真正銘なスペシャル。

【Kawasaki ZX9R改!】
その誕生のプロセスは、一瞬で奪われたバイクライフを取戻す長い道程に他ならない!

 

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