事例紹介
 
  
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写真と説明

 せせらぎ作り
 (パート2)
 
 楽しい泥遊びで、最も重要な水系のレベルの確認が出来ました〜♪


流れ出しから勢いよく下った流れは、中流で川幅を広げます。
そして、水深が増す事で水を貯めては、さらに下流へ流れ出す。
湾曲した部分の淀みでは、旋回流に加えて上下の対流も生じるはず〜
そうして流れ込む前池では、さらに流れはゆっくりと時間をかけて流れる。
上流では、充分に酸素を溶かし込み、下流では、虫等の浮遊物を滞留させる。

まさに、そういった水の流れを確認する事が出来たんです〜♪

そこで、いよいよ工事のスタート
次は、コンクリート(実際はモルタル)の厚み分を確保する為の作業です。
この状態からコンクリート作業をすると、その分だけ水路は浅くなります。
そこで、泥遊びの後の土が固まるのを待って、全体をさらに掘り下げ。
 

 金網で補強
ここからの作業は、まるでFRP(繊維強化プラスティック)での成形作業です。
掘り終わった土の面が雌型で金網がグラスファイバー、そして樹脂がモルタル!

まず、土は、しっかりと押えて滑らかに均しておきます。
別に、後で型抜きするわけでもないんだけど、凸凹だとモルタルの厚みが一定に出来ないから。
また、石が出たり、木の根が有ったりすると、その部分で基盤が弱くなるというわけで、どちらもモルタルの強度にとって重要ですね。
 
それでは、いよいよって前に、小さな池の際を掘り下げた部分の補強を実施。
小さな池の裏側部分の土を取り除き、モルタルを塗ります。
これで、2つの池の接合部は、しっかりと一体化する事になります。
 

 ラス網がグッド!
池の補強に使用する網は、亀甲網ではなくて、ラス網が便利!
ラス網は、建物の外壁をモルタル塗りする場合に下地に貼って使います。
ホームセンターの資材館で、とっても安く販売されていますからケチらずに〜
メッキラスと言って、亜鉛メッキされた上等な分(大袈裟)を10枚購入!
ラス網の良いところは、斜め編みで出来ている為、伸び縮み出来る事です。
凹んだ部分は、ぎゅ〜って押えれば、冷凍ミカンのネット同様に膨らみま〜す!
だから、土の面にピッタリと沿わせる事が出来るんです〜!
 

 しっかりと重ねる
ラス網は、とっても柔かいので、簡単に折り曲げる事が出来ます。
しかも、皮手袋ではなくてゴム手袋で充分に安全!
多分、素手でも大丈夫?
イケネ〜!皆が皆、自分のようなゴツイ手ではなかった〜

縁とか底をしっかりと〜と言って、どこからがどお?って感じなので〜す!
それで、全部が超頑丈に〜何重にも重なり合い、そして結束線で繋ぐ念の入様。
ついでに説明、結束線は、鉄筋同士を縛る為の細いナマシ番線です。
これも、驚く程安くて、しかも1束で充分足ります。
 

 完全一体仕様!
せせらぎの始まりの部分から前池まで、金網は、完全に一体化しました!
このまま持ち上げる事も可能なハズ〜?

で、ここからが重要!
この一体化した網が、土の面から1センチ程浮くようにセットします。
どうやってセットするかって?
網の下に石ころを置くと、最初に書いた強度が落ちるって説明と矛盾する〜(汗)
なので、モルタルに砂利を入れてコンクリートを少し作り、それを敷くので〜す!
そして、敷くだけなら浮きすぎる事にもなるので、同時に押えるものも必要です。
足場番線を切ってU字に曲げ、コンクリートの部分で、上から下向きに刺します。
この組合わせを、適当な間隔で全体に配置
すれば、準備完了です。

ちなみに、この足場番線も、同様に安くて1束で充分!
これもナマシ番線だから細工が簡単!
余った分は、色んな利用法を考えましょうね〜!
 
さて、金網をセットしてから、何日も作業を中断していると良い事はありません。
ゴミが溜まったり、ナメクジさんが大勢見学に来られたり〜!
ネコが荒らしてしまうかもしれませんし、特にミースケは要注意!
というわけで、金網をセットし終えたら少し休憩でもして‥‥‥
休憩の前には、面倒でもセメント道具を洗いましょうね〜
そんな感じで小一時間も経てば、次の作業に取り掛かりましょう!
 

 モルタル打設
 
以上の作業については、小さな池の作り方も参照してみてね〜
それと、モルタルとコンクリートの作り方は、こちら
 

モルタルの打設は、全てを一続きで仕上げます。
そうする事で継ぎ目が出来ず、漏水に強い構造になります。
塗る順番は、下流から上流へ、確実に勾配を取りながら手際よく!

まず、モルタルを金網の奥へしっかり押し込み、地盤に馴染ませる。
そして、網の上は、2センチ程の厚みで塗り広げて均します。
モルタルは、表面を均すと水が浮いてきて、下流に流れるハズ。
だから、下流から順番にしていけば、自動的に勾配の確認が出来ます。
 
一続きの作業で全体を塗り終えたら、すぐに濡れ新聞で養生します。
もし、日射や風が強いとかで、乾きが速ければ出来た部分からすぐに!
写真は、それからさらに数時間経った状態で、早くも水を張っています。
とっても気が早いようですが、白く乾かしてしまうのは失敗の素ですから〜
もちろん、水を張った状態で強く擦れば崩れ落ちてしまうはずです。
しかし、じっと触らずにしておけば、水の中でしっかりと固まる!

モルタルが固まるのは、乾いてではなく水との化学反応だからね。
これは、同時にセメントのアク抜き(強いアルカリ性分)です。
そして、少しでも早く生き物が暮らせる環境になるように♪
 
だったら、セメントなど使わずに防水シート類を使えば良いのでは?って
そうですね〜、確かに大きな規模になってくると、シートは効果的かも?
大きくなる程、セメントで漏水なく作るのは技術がいるし、作業も大変!
シートでも継ぎ目の処理とかあるけど、コーキング類も性能が良いし
第一、多少高くても、練ったり、硬化時間に追われるとかがない〜
しかも、やり直しも出来るわけだから〜セメントなら壊さないと!
でも、今回は、規模も小さく作業も簡単で強度も充分取れます。
周辺の大きな木々の成長を考えても強度面を最優先に〜
 
小さなせせらぎは、ちょっとした事故で干上がりま〜す!

 

 続く

さて、これで水を貯める器が出来ました!
しかし、それが趣きある庭の景になれるか否か?
そして、さらには、自然を補える程の豊かな水辺へと!
次からは、いよいよ、それを決定付ける段階になる〜
ここからが、本物の知識とセンスが問われるところ‥‥‥
要するに「作れる」っていう段階と、「魅せれる」っていう次元の差
それを乗り越えれていない場合は、浮いた存在?「○○さんの趣味の庭」

 まあ、お金をもらうわけでもないんだから、思うがままにやれば良いんだけどね〜
 

 <特別企画>
 せせらぎをイメージ!
 (バックボーン編)

蒸し暑い夏への
プレゼント〜♪
 
さあ、この先、「魅せれる」ようになるのか否か?
自分の中では、イメージは出来ているんですけど〜
多分、これまでの色んな出会いが活きてくるんじゃないかな?

求めるせせらぎのイメージ
<綺麗な水>
綺麗な庭園の池が、濁っているとガッカリしてしまう。
それが、仮に大雨の後であったとしても‥‥‥
池にしろ川にしろ、そして海でさえ、濁った水には、抵抗がある。
だから、アマゾン、黄河、ガンジス川、コロラド川‥‥etcにいくら大きな滝や大きな魚がいても羨ましいとは思わない。
どこまでも透明で、欲を言えば冷たいっていうのが理想なんだけど〜

<流れの変化>
形の無い水なのに、同じ調子で流れていては面白くない。
それでは、ただの水路、用水路や放水路と変わらないわけ!
流れは、向きを変えたり裏返ったり、速くなったり緩んだり、ゆらめいたり、あたかも水が無いかのように見通せたり‥‥‥
流れる水が、刻々と表情を変える様子が興味を引き付けるに違いない。
空気を巻き込んで白く見えたり、小さな気泡が出来たりするような〜
 
<水音>
水が動いて流れを作るだけでも、視覚的には、変化があって充分楽しい。
だけど、それに加えて、サラサラとかチョロチョロと水音まで聞こえてくるなら?
そばにいるだけで、涼しげな感じがするし、自然に心を癒してくれるハズ〜
やっぱり、せせらぎって言う限りは、さりげない水音を奏でて欲しい。
 
<生き物>
通りすがりの川の橋で、ついつい水の中を覗いてしまう。
ちっちゃな魚がススーと泳いでいると嬉しくなる。
よくある立派な施設の噴水やせせらぎでも、ポンプのコードやパイプしか見えないとガッカリ!
水だけを見せてもらっても〜って感じ?ゴミが有るよりはましだけど〜
きっと、流れと言いながら、水辺の環境を見るのが面白いんだろうね!
冷水にしか棲めない岩魚は無理でも、せせらぎらしい生き物を棲ませたい!
 
<生き物の暮らせる環境>
せせらぎで生き物が暮らす為には、自然な食物連鎖が生まれなければ‥‥‥
言うは易しで、これは、なかなか出来るものじゃない!
せいぜい、ボウフラを発生させてメダカを生かせるぐらい?
でも、もっと多彩な生き物を棲ませたいとなれば、ビオトープ的な要素は必須!
たとえ、観賞的な要素が強いせせらぎであっても、自然の成り行きを優先して。
流れの淀みに落ち葉が積もって、小エビやヤゴが隠れていたり、水草に貝が登ってみたり‥‥‥
自然に生き物の種類が増えてくるような、周辺環境に溶け込めるスタイルで!
 
せせらぎに必要な要件
<スケール感>
やっぱりこれが一番にくるのが、狭い庭の辛いところ〜
ピンコロでさえ、大きく感じてしまうスペースなわけだから、残りの縁石や植栽もその点を考慮して選ばないと。
鉄道ジオラマじゃないけど、小さくても本格的に〜!
しかも、部屋からも眺めるから、遠近感なんかも誇張したり〜?
でも、スズメが遊びにきたら怪獣だった〜!ってのも?やり過ぎは禁物です。

<見え隠れ>
これもやっぱり狭い庭ゆえ、ここからそこまでのスペースなんです〜
だから、一見では、全体が見通せないような陰になる部分を作れたら良いけど。
例えば、どこまで続いているかわからないとか、見えない部分に色んな想像がめぐったりして。
それをレイアウトの工夫や自然な遮る物を用いたりして演出しますか?

<目地の処理>
これは、縁石を使用する上で重要な事です。
目地をしっかりと入れて(幅を取って)石を貼る事で、漏水を防ぎます。
しかし、目地が目立つと自然な趣が損なわれてしまいます。
また、石と石との隙間は、小さな生き物達の絶好の隠れ場にもなります。
そういった相反する要件を考えながら仕上げないと、良いものは出来ません。

<豊富な水量>
小さなせせらぎをチャラチャラと流れている間に、湯立ってしまったとなれば生き物には過酷です。
水中の酸素量も欠乏し、それこそボウフラしか棲めない環境となるでしょう。
また、あっと言う間に、アオコでドロドロになってしまうって事もあります。
それを防ぐには、循環する水量を多くする事が何より効果的です。
土中に掘り込んだ深みの部分で水量を確保すれば、水温を低く抑えられます。

<水の維持>
綺麗な水が豊富に流れている状態が、昼も夜も夏でも冬でも当り前にある。
この事が、そこを生活の場とする生き物達には、当然の必要条件なんです。
水量や水質を維持するために、考慮すべき要件は、色々あります。
循環装置の仕様、循環装置の不具合、夏の蒸発量、雨による土の流入、オーバーフローの方法、暴風雨時の対応、多量の落ち葉、冬の凍結、積雪、etc.
常に番人をしておれれば良いんですけど、そうもいきませんから〜
 
 
こんな風な事をこれまでの知識と経験(バケツ一杯ザリガニを釣ったとか)
をフルに活用して、妄想、否、考えてはいるのです〜
何も無くても頭の中に、ぶ厚い企画書がある〜!
その結果、間違いや失敗とは無縁に

あっと驚く「アクアの世界」が、小さな庭で現実のものになる〜!

水槽で楽しむ「アクアワールド」って言わないところが自然のイメージ
 
では、特別企画のハイライトへどうぞ〜
 
せせらぎの源流の湧き出しは、大きな岩からコンコンと
絶え間なく湧き出る水への神秘的な思いが、自然と浮かぶ

流れ口が360度見える状態ながらも、これなら人工と気にならない
 
 
奥山で湧き出した水は、岩を伝い、やがて流れを生みだす
流れは、水を集めながら、山を削り渓流となって下る
硬い岩は、滝を作り、滝は、深い落ち込みを作る
水の音、水の輝き、最高に贅沢な流れの姿

本物以上にらしさを感じる見事な景です
 
山から出た流れは、川幅を広げせせらぎとなっている
せせらぎは、優しい流れとなって、多彩な表情を作る
大きな岩の淀み、岸辺に堆積した砂や小石
水辺の植物は、小さな生き物達を育む

白川砂の洲がせせらぎに変化を作り、見飽きません
 
里に辿り着いた流れは、人の営みと共にある
田に水を引く為の堰や護岸の蛇籠に石積み
人工の橋が、せせらぎを自然な存在へと
橋が作る陰は、魚達の休息の場所に

土橋なんて最高!これだけで見事に里を演出!
 
多くの流れを集めた川は、大河の趣を見せます
ゆったりとした流れは、豊かな水量で恵みをもたらす
大きな水面では、色とりどりの鯉達が悠然と暮らす

多量の水が余裕をもって多くの生き物を育める
 
ゆったりと水をたたえる池に、ようやく辿り着き緩やかに流れ込む
池に直接流れ落ちる滝は、水に新たな動きと水音を作り出す
大きな水面が作り出す、広大な景色と心地よい微気候

これらが、人工のせせらぎって事をすっかりと忘れていました〜
いかがです〜? こんなの大名屋敷でもないと無理〜って
誰だって自信もって言えますよね〜?
それにしても庭園技術って凄いネ!
 (以上は、姫路市の好古園)
 
 
ところが、そんな庭園技術も及ばないのが本物の自然の姿!
何も大きな滝や激しい渓流ばかりが、大自然とも限らない
たとえ小さくても、身近では有り得ないものは大自然!
例えば柿田川の流れ出しなんて有り得ないでしょ?

このせせらぎの水辺に生えている樹木は、いわゆる「水辺の植物」ではない
仮に、こんな事を庭でやってみようものなら、即座に破壊されかねない〜
そこかしこから、清らかな水が湧き出る自然のせせらぎなればこそ!
そして、その流れは清冽で暫く手を浸けると痛い程に冷たい
 
 
そこには、何の技も細工も加わらないというのに、見飽きる事のない景がある
小さな滝の落ち込みやわき返る深み、水辺に差し出る草木や岩に付く苔
ほんの小さな流れなのに、この水量!ああ〜感じる、岩魚の気配〜♪
 
(以上は、岡山県若杉原生林内の吉野川源流)
 
 
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