小さくても水辺のある暮らし

 
 
 
庭の景色にこのうえない変化を生み出す水辺
 

 
  
  
水辺の景

 

 
  
 
野趣あふれる水辺の様子
 
 最近、自然趣味の庭が増えております。
 イングリッシュガーデンに代表されるガーデニングブームのおかげでしょうか?
 とにかく、街に緑の空間が多くなる事は、喜ばしい限りです。

 しかし、元々、日本の庭は、土、緑、石、水を用いて正に、自然の景観を再現しようとした物でした。
 私達が育った民家の庭であれば、貴族の庭遊びというよりは、茶道や禅の影響が大きいでしょうか?
 狭い庭の中に、普遍的な自然を表現する、そのような中で、和庭作りのいろはが成り立っています。
 石を打ったり、泉水を掘ったりするのは、庭作りにおいて上等な部類となっています。

 庭に池を作るって動機は、そんな庭作りのステップという事ではなく、イケイケでいいんじゃない!? 
 縁日で子供が金魚をすくってきた。
 気が付けば、水槽が手狭になっている‥‥‥。これは、何とかしなくちゃ!

 ひょうたん池でもかまいませんが、ある程度以上の水量で出来れば埋込んで設置したいものです。
 土中に埋める事によって、水温が安定し、日射によるプラスチックの劣化も防ぐ事が出来ます。
 市販されているひょうたん池は、埋込みを前提に作られています。(ベランダ据置きタイプも一部有ります)

 でも、そこまでするなら、いっそ御自分で好きな形に作っちゃいませんか?
 庭にそんな場所が取れないよ〜!? 
 いいえ、畳1枚、否、テーブルサイズで充分なんです。
 ここでは、錦鯉を飼うような池、噴水の有るスイレン池といった本格的な池づくりは取り上げていません。

 手軽に作れて、しかし、小さな生き物が暮すには充分で、しかも野鳥や自然の生物が集まってくる‥‥。
 そんな小さな水辺がテーマです。
 ビオトープに出来なくても、野鳥の水飲み場や水浴び場にはなります。
 子供が、ザリガニやおたまじゃくしを採ってきても、もちろん困らなくてすみます。

 それでは、砂場でも作るような気軽な気持ちで、レッツトライ!
 わずかなスペースと、DIYのチャレンジ精神さえあれば、始めての方でも大丈夫!
 かわいい生き物観察にバードウオッチング、何より、庭の趣が一段と増すのは間違い有りません。
 庭作りに、何か物足りないとお感じの際は、特にお薦めです。
 

 

 
小さな池の簡単な作り方
 
ポイント なぜ?
大きくしないで深くする 大きな鯉を泳がすのでなければ、広さはいりません。
しかし、水量が多い程、水質や水温も安定しますので、小さくても深くがポイント!
他にも工事が簡単、水替えが簡単、魚は天敵から深みに逃げれる、何より場所を取らない!!
とはいえ、作業性を考えると、しゃがんで手が届く程度(5〜60cmぐらい?)にしておきます。
 
排水栓を設けない 池の底から勾配をとって排水するとなると、設置場所の条件や工事が難しくなったりと大変です。
排水を考えない事で、工事が簡単、しかも万一の水漏れで、魚が全滅する事もありません。
水替え時や掃除の時には、大きな池なら必要かも知れませんが、小さい池ならバケツで汲み出す事で充分です。
しかも、池の水を植え込みへの水やりに有効活用出来ます。
 
循環装置を取り付けよう 池の側面に塩ビパイプを貫通させておきます。
パイプには、給水用の16〜20mmがパーツも揃っていて後々の工作に最適。
深さは中程に、万一水漏れしても空っぽにはなりません!
循環装置を取付けるまでの間は、水が漏れないようにキャップを取付けておきます。
貫通部は、モルタルを厚くします。
 
深さに変化を付けよう 縁のそばに2〜5cmぐらいに徐々に深まる浅瀬を設けると、野鳥の水浴び場になります。
広さは、30cm角も有れば数羽で遊ぶ様子が観れます。
それと逆に、一段の深みを設けると、魚の越冬用の場所として、また、大掃除の時に水の汲み出しが大変しやすくなります。
広さは、洗面器程度は見込まないと、池を作る時に作業がしにくく、気が付けば深みが無くなっていたと云う事になります。
 
穴掘りはオーバーハングをつけるぐらいで 穴掘りは力仕事です。
深く掘り下げるのは、簡単なようで意外と難しい。
随分掘ったと思っていても、計れば30cmといったところ。
そこからのあと少しが大変です。

でも、それと逆で簡単に掘れてしまう場所は、設置に適しておりません。
何等かの地盤補強が必要になります。
それと、深い穴を掘ると底になるほど、狭まりがちです。
目で見て、底の方が膨らんでいるのでは? と感じるぐらいで丁度。
もちろん、本当にオーバーハングでもOK!
また、出来上がりが、モルタルの厚み分だけ小さくなりますので、その分も計算に入れて下さい。
 

モルタルは金網を2重にいれて3cm以上に打つ 穴を掘って、土を押し固めたら次はモルタル打ちです。
ラスと呼ばれている外壁用の金網を補強に使います。
切り売りの金網でも結構ですが、ビニールのかぶっていない物にします。
網は、全体に貼り、針金で土の面に固定します。
長さ10cmぐらいの太めの針金をU字形にし、重ねた網が面に沿うよう土に刺して、池の形を作っていきます。
土から網の表面までは、1〜2cmぐらいであればOK。

網が、浮き過ぎて手で押さえても、落ち着かない部分には、針金を追加します。
網の貼り方のポイントは、2重にした網の端を20cm程、折り返して、縁から底に向けて貼ります。
貼り重ね代を10cm程度は取りながら、周囲を貼り終えます。
底が長さ余りで、幾重にも重なりあっておれば良いですが、そうでなければ、貼り足します。
また、パイプの廻りと浅瀬から深みへの折れ目部分にも追加します。
全体の感じは、縁の部分と底の部分の強化と云う事です。
以上で、結果的に、縁と底の厚みが増えていると思います。
それが下地モルタルの厚みになります。

モルタルは、強度をもたせるため1:1程度の配分です。
まず、土に湿り気をあたえた後、全体を続けて打ち上げます。
打つというのは、網の中にしっかりと押し込むからです。
底から上の順に、網が隠れるまで隙間なく一体に打ち上げます。
 

モルタルは絶対に乾かさない 下地モルタルが打ち終わったら、池を新聞紙やビニールで覆って乾かさないようにします。
そのまま、丸1日養生してから仕上げます。
なぜ乾かさないかという理由は、ひびを発生させないためです。
仕上げは、やはり1:1程度のモルタルですが、砂は、きめ細かい袋入りの物かフルイでとおして使います。
1〜2cmの厚みで一度で塗り上げ、やはり乾かさないように養生します。
半日程養生させて、再度1〜2cmの厚みで塗り重ねて仕上げます。
これで仕上がりとなりますので、コテむらが残らないように滑らかに仕上げます。
はけ引き仕上げでも細かい筋なら結構です。
作業後は、再度乾かさないようにして、以後は、1日置き程度に軽く水を打って、2〜3日養生します。
(縁を化粧する場合は、ここで作業に入ります。)
養生が済めば、たわしで大掃除して、早い様ですが、水を張ってしまいます。

モルタルは、乾燥して固まる泥と違って、化学反応で硬化しますので湿っていても(逆に早く乾燥するとダメ)完全に硬化して、再度柔らかくなる事はありません。
水を張れば、覆いは必要有りません。
その後、水にアクが溶け出しますので、2〜3度水替えをしながら、あわてず1ケ月程待ちます。
藻が付いてくる様なら充分ですが、そうでなくても様子を観ながら生き物を入れますが、その前にもう一度、掃除をしておきます。

以上は、季節気温、設置場所の条件によっても変わってきますので、目安として考えてください。
ただモルタルを乾かさないことに違いはありません。
また、冬期には凍結の問題がありますので、しっかりと覆いをして保温するか、出来れば無理をせずに、避けたほうが無難です。
 

縁を自然に仕上げよう 池の本体が出来てから、縁を周囲の景観にあわせて化粧します。
レンガ、自然石等をモルタルでしっかりと固定します。
縁の上は、子供が必ず歩きます。
ポロッと取れないように、強度優先で美観を考えて下さい。
 
モルタルの作り方へ
 
水質維持のために簡単な浄化装置を作ろう
 
 
 単に、水をはっただけであれば、よどんですぐに水が腐ってしまいます。 
 水草を入れ、水を循環させておけば防ぐ事が出来ますが、出来れば何か生き物を飼ってみたいものです。 
 例え小さなメダカであっても、ボウフラの住処になる事を防いでくれますし、何より生き物は心を癒してくれます。 
 とはいえ、生き物を飼うとなると、適切な水質管理が必要となります。
 市販の循環装置ですが、水槽用は色々とありますが、屋外の池用となれば、庭園灯付とかの大型の物ばかりです。
 小さな池では、少し持て余しますので、簡単な循環装置を作ってしまいましょう!
 オブジェや自然石等と組み合わせて化粧すれば、さらに素敵な水辺になります。
 
 
ニッソーのアイデア水中ポンプです。 
使い方は自由の100V水中ポンプですが、本来は、循環フィルターセットの取替え用ポンプです。
 
 
エアポンプによるフィルターでしたら、容量が小さいために、水の汚れ易い季節では、毎日のように清掃しないと追いつきません。 
それでも、週に1度、半分の水替えが必要と世話が大変な状態です。(一度に全部の水替えは、あまりしない様にします)
 
セキスイ カセットハンギングポケット3P
  
貫通させていた塩ビパイプをつないで、池の上部に立ち上げ、池の中側には、キャップを外して水中ポンプを取付けます。
 
  
ストロベリーポットのハンギングタイプにフィルターをセット。 
落ち口は、角度を動かせるので汚れるにつれフィルターを広く使えます。 
 
フィルターは上から順に、粗い外部フィルター、グラスウール、活性炭フィルターと3層構造にしてあります。 
ポットの植え穴周辺の隙間は、コーキングする事で、口から綺麗にオーバーフローする様になります。 

水質が良く、酸素が豊富で水の流れもあります。 
渓流魚のタカハヤが、金魚やフナと一緒に元気に暮らしています。 
普段は、テトラフィンを食べているけど、たまにもらえるミミズがご馳走です。
  
  
 自家製フィルターの手入れ
  

見苦しいので写真を小さくしています

およそ3ケ月ぶりの清掃です。
途中、粗いフィルターだけを数回、清掃しています。 
目詰まりしてきますと、左右の出口の流れが悪くなって、中央の出口の水位が上昇してきます。 
そのころが、清掃の目安。 
そのまま放置すれば、中央からも流れ出るようになって濾過し続けますが、さすがに浄化力が落ちますので。 
それにしても、回数が少なくて、とても助かります。

上部の粗いフィルターを取り外すと、グラスウールは一面茶色に汚れていました。
しかし、特に目詰まりしている様子は有りません。
グラスウールを取り外すと活性炭フィルターが出てきますが、
見かけ上では、ほとんど汚れていません。
活性炭フィルターは、バクテリアの着床として出来れば洗わないようにします。
水の汚れの化学分解は、フィルターやモルタルに付いた藻類やバクテリアがしてくれていますので、一度に大掃除をしてしまうのは禁物です。
 

グラスウールを崩さぬように丁寧に清掃し、ふんわりと広げます。
 
水中ポンプも簡単に取り外せますので、同時に清掃します。
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