事例紹介
 
 
旧車的面手何為事例
  
 前編では、全体的な点検と目立った不調について面手何為しました。 
 さすが現役マシンだけの事はあります。 
 ステアリングステム、前後ブレーキ等はこれといって問題なし! 
 作動部へのグリス給油でOKです。 

 このあたりは、前回認証工場での車検整備時より、2000kmしか走って無い事が活きているようです。 
 このあたりに関しては! 

 車検整備といえば、ブレーキ分解って一番に思う程に重要な項目なんですけど ‥‥‥‥ 

 逆にワンパターンで、それを中心になされ過ぎてない? 
 その結果、分解の必要ない部分は、何年経ってもそのまんま!?
 これぐらいの車になると、時には、その裏を行くような作業の方が重要な場合もあるのでは!?
 要するに、定期点検整備基準の想定を超えた年齢に達しているってことかな? 

 続編では、そういった部分も含めて残る点検作業の一部を紹介します。 
 

 
  
テーマ
写真 内容
続編   
スターターの点検の中でカバーを外す為、ドライブスプロケットの掃除をしました。 

カバーを外すと、まるで石鹸のようになった汚れの固まり。 
その中で、削りながら回っていたかのようなスプロケットとチェーンが有りました。 
ドライバー、ブラシ、チェーンクリーナーを駆使して発掘!? 
カバー組付け前に、しっかりとホワイトルーブを塗布しました。 

そして、続いてのチェーン洗浄です。 
下にトレイを置いて、チェーンクリーナーとブラシで洗浄。 
真っ黒な汚れが落ちる程に、隠れていたリンクのプレートがくっきりと見えてきました。 
ただ、埋もれていただけあってまだまだ使えそうです。 
 

ホワイトグリスを擦り込む   
洗浄後は、ホワイトルーブをローラー部とリンク裏表に全周スプレー。 
スプレー後には、しっかりブラシで擦り込みます。 

ホワイトルーブは、硬くて走行中に飛散し難い良さがありますが、狭い部分に吹き込み難い面も有ります。 
ブラシで擦り込む事で、余分な分の拭き取りと隅々への擦り込みを同時に出来るわけです。 
最後に、チェーンの遊びを調整します。 
左右同じ引き量(これが案外ずれる)において、正しい遊びを出します。
この際、アクスルシャフトのロックナット部割りピンは新品に取替えます。 

ところで、ここで1つの事実に気付きました。 
最初に一通り点検した時に、2番シリンダーの排圧が低いな〜と感じていたんです。 
バルブを突いているか(ロッカーアームとの間にバルブクリアランスがなくて閉り不良になっている)、当たり不良(消耗やカーボンスラッジ等での密着不良)で圧縮ダウンかな〜?と 

それがなんと! 
普通では有り得ない理由 ‥‥‥‥ 
もうわかりました? 
この2番だけマフラーの種類が違ったんです! 
どちらが正解かは知りませんが、バランスって面では良くないはずです。 
でも、事情が事情ですから ‥‥‥‥ 
 

これが正解のテールエンド    
これが右バンク(3番4番)の様子です。 

上の写真の下側(2番)のテールデザインだけが、異なっているのがわかります。 

4本の内の1本だけ、年式が異なる種類の物が使われている。(もしかしたら逆かも) 
新しい間は、そんなに違いは無いのかもしれませんが、劣化の仕方に差が出たようです。 
種類の違い以上の明らかな差が生じています。 
でも、まだ100%マフラーが原因と決まったわけではないですが。 
とにかく、分解して掃除です。 
  
ところが、問題の2番シリンダーのディフューザーを取外そうとして問題が見つかりました。 

取付ボルトを回しても回しても、ちっとも抜け出てきません! 
抵抗は有るんですけど、ネジ山は潰れているようです。 
これは、長い事手入れされてないぞ〜〜! 
  

元はグラスウールだった!   
やっぱり予想どおり! 
ボルトの頭を切断して取出してみるとこんな具合。 

巻き付けてあるはずのグラスウールは、まったく原形を留めず炭の塊になっています。 
まったく繊維の面影はありません! 
その炭の中にニッパを突き刺して〜 
かろうじてそれとわかる針金を3本切断し、ドライバーで削り落としました。 
  

全部目詰まりでした! グラスウール部分の穴はすべて詰まっていました。 

排気ガスは、ウールの巻かれていない部分の大きい穴7個から出ている状態でした。

マフラー側も詰まり〜 ディフューザーを取外したマフラーです。 

内部の壁は、錆とカーボンが付着して何も見えません!

全部貫通させました! ディフューザーをワイヤーブラシで掃除し、穴はすべてドライバーでほじくりました。 

大きな穴もすべて発掘! 
 

これが放ったらかされた理由    
掃除が終わったところで、取付け部の修理です。 

ばかになったねじ山は、ドリルでワンサイズ大きく開け直しです。 
タップで雌ネジをたてなおして出来上がり。 

この後、小さい穴の部分には、圧縮ウールを薄く巻き付け完成です。
 

リーマで広げます   
取付けボルトがワンサイズ大きくなるので、取付穴も広げます。 

この程度の事であれば、リーマが便利! 

テーパーに刃が付いていますので、捩りながら必要な大きさに広げていけます。 

使用上の注意としては、外す時も含めて常に右回転で(切れる方向)、それと、回して止める位置は、毎回ずらす事です。 
これは、刃先を守ったり、綺麗な穴を開ける為に必要な事です。 
 

マフラー側も貫通! マフラー側もワイヤーブラシと先を曲げた番線で掃除です。 

こんなに沢山の穴があったんだ〜!

他はこのとおり   
他の3本は、キャップはあるけどディフューザーではありません。 

グラスウール無しで、穴の位置をずらしたり、反転させたりして音を打ち消しているわけです。 
音は多少元気ですけど、このような劣化による詰まりに対しては有利です。 

実は、 
ここで、またまた問題発見! 
3番を外そうとしたら、ボルトの頭が有りません! 
あ〜あ、またですか? 
今度は、ボルトが折れ込んでいます。 
幸いキャップの雌ネジ内で折れている為、キャップを叩き抜く事が出来ました。 
 

テールキャップです    
どうして、キャップが飛ばされてなかったか? 

それは、マスキングテープをぐるぐる巻きにして叩き込んでいたからです〜! 
確信犯やん!? 
  

これもやっぱり!?   
これは折れ込みですから、折れたボルトを取り除けばOKです。 
まず、ワンサイズ小さいドリルで折れ込んだボルトの中心に穴を開けます。 
次に、タップでたてなおしながら、残ったくずを取り除きます。 

他に逆タップ(スクリューエキストラクター)を使って左回しで抜き取る方法もあります。 
でも、緩める時に折った場合は硬くて難しい場合があります。 
 

ショックも作動チェック!    
 
  
リアを上下にスイングさせ、各部の動きを観察。 
振動や音を含めてしっかりと! 

スプリングのイニシャルセットが、少し柔らかいぐらいでしょうか? 
特に問題はありません。 
でも、一通り手入れです。 
まず、リアショックの取付部のブッシュを点検します。 
外してみるとラバーブッシュが劣化し、ワッシャやフレーム、スイングアームにこびりついています。 
取付け面を綺麗に掃除し、シリコングリスを塗ります。 
この時、ワッシャも含めて側面にも塗ります。 
 

スイングアームもチェック! スイングアームのピボットにグリスアップ。 

普通のリチウムグリスをグリスガンでしっかりと圧入します。

グリースニップル付です〜 しっかり圧入されておれば、ニップルを押さえればグリスが出てきます。 
バッテリー液のチェック   
バッテリーは、最近交換している様子。 
その為、ターミナルを磨いて液補充です。 

何が珍しいって? 
バッテリー液補充って、まわりに液をこぼしていると気が付けば腐食でボロボロって事に。 
市販のボトルタイプの物は、口がノズル状にはなっているけれどバイク用には大きすぎる〜! 
そこで、以前バッテリーを買った時に、電解液が入っていた容器を使っています。 
しかも、中身は電解液。 
ちょっと頼りないバッテリーにも安心です。 
 

ブレーキフルード交換  
リアはロッド式ですから、フロントのみ。 

マスターシリンダー、キャリパー共に漏れなし。 
唯一、マスターシリンダーのホース取付部が滲んでいたため、締め直して確認。 
その後、充分な量を使って入替えです。 
最後に確認のエア抜きをして出来上がり。

*エア抜き作業については、ガンマ復活プロジェクト ブレーキ編で解説しています。
 

ステップラバーが欠品  
ステップラバーが、左右欠損しています。 

まさか、これが好みってわけじゃないでしょう? 

バーの太さは16ミリ。
カブかそのようなバイクで使われてそうな?
 
これに合うようなラバーなんて、掃いて捨てる程売られてるでしょう!?
 

やっと手に入れた〜!   
バイク用品店では、色々な種類が売られていると思って行ってみたら? 

それは、グリップラバーだけの話しでした〜! 

数件回っても同じ事、まったくありません! 

そんなグリップラバーをステップに転用するアダプターが売られていたりして ‥‥‥‥ 

そんなこんなで、最後の頼みが中古パーツ屋さん! 
案外、適当なバーステップが無くて ‥‥‥‥ 

やっと見つけたいけそうな分!? 
何と、モンキーでした〜! 
モンキーで大きく見えるステップ、CBなら小さいかな〜? 
でも、乗る人の足の大きさは一緒なんだから問題無いジャン! 
でも、でも、そのモンキーは、中古車の商品車?といえるような、ほぼ完全な車体! 

ちょっと無理かな〜と不安がよぎるや否や、 
「おい、モンキーのステップラバー外したって!」 
とっても、話し、心のわかる大将に助けられました〜!! 
 

どんぴしゃ!   
ボンドG17を塗って一気に差し込みます。 

ここでのポイントは、ボンドG17を滑り材として使う事です。 
完全な接着力を求めるというのではなく、滑り半分、接着半分で使います。 
何もなしでは、とても差し込めない程きついですから、これで大丈夫なわけです。 

本来の使い方では、接着しようとする両面に薄く塗布し、オープンタイムをとってから圧着接着します。 
同じメーカーの兄弟車?だけあって、拒絶反応は出ていないようです。 
 

 完成!   
この他にも、点検整備記録簿に基づき各部を点検整備しました。 
完全整備をしたわけではないですが、効果的に手入れが出来たと思います。 

これまでも現役マシンだったわけですが、随分乗り易くなりました。 
大きなアップハンドルは、今で言えばアメリカンです。 
低重心のどっしりした安定感と相まって、転けるような気がしません。 
まるで、やじろべえか起き上がりこぼしに乗っているようです。 
Uターン等の取り回しのし易さといい、乾燥重量が240kg程も有るようには、とても思えません! 

永らく普通に現役を続けて来れた理由がわかったような気がします。 
 

 
 
 
出来上がりはどんな感じ〜?

ブリッピングへ(最初と同じような感じで)
 
 何か、金目?の物が多いバイクって、手入れしていけばどこまでも良くなっちゃいそうで ‥‥‥‥

 レストアされる方たちの気持ちがわかりますね! プラスティックの塊とは、ちょっと違うわ!?

 やっぱり、当初はオーバークオリティーだったっていうか、お金がかかっていたんだって!

 これからも、40年50年を目指して、現役生活を続けられるように頑張って〜!!
 
 誰がって? バイクやチャレンジャーだけでは難しいでしょ!? メーカーさんも何とか〜 ‥‥‥!!

 それと、DIYヘルパーも仲間に入れて〜〜〜!!!
 
 
スターター修理後日編へ

 
戻る ページトップへ DIY事例紹介トップ  バイク事例集
 

Copyright  2001-2008  Makoto Nagai. All rights reserved.