オリジナルな建具作り
せっかくイメージが高まっているのに、既製品(市販品)のデザインでは表現出来ない!
そういったケースは、良くある事と思います。
それもそのはず、窓や扉といった建具は、料理で言うならトッピング!
建築デザインの中では、機能や個性を決定付ける大切な要素だから‥‥‥
逆に言えば、オリジナルな建具は、決定的に個性溢れるデザインを生み出すってワケ!!

木製スイング窓 木製引戸 木製ドア
(窓枠一体ポリカーボネートペアすべり出し窓) (ポリカツイン窓付Vレールフラッシュ片引戸) (断熱ペアガラス入り木製框ドア)

【建具作りにおける注意点】
<全般的な事> まず1番に挙げられる事は、決して安く出来るわけではないと言う事。
次に挙げられる事は、設備的な問題について。
これは、作る物によって変わる点ではあるけど、一つは作業スペースの問題。
さらに、平坦な作業台も当然必要になります。
その他は、いわゆる工作作業に共通する事であって、特に取上げるほどの事はありません。
強いて言うなら、サイズによっては材料が手に入り難くなる事でしょうか?

安く出来ないという点は、絶対的な金額の事ですから誤解の無いように。
同じ物を他者に依頼すれば、当然ながら自作時よりは高くなるはずです。
室内ドアを例にあげると、パッと見、カジュアルな雰囲気の木製ドアが枠共で2〜3万円ぐらいから売られています。
ホームセンターの資材館でも、1〜2種類程度なら実物に触れる事も出来ますから。
ただし、物は、それなりの物!
フラッシュ構造は当然として、パネルはプリント合板で木口はプリントテープ貼り、ドア枠はハードボードにプリントシールという具合。
だから、グレードアップという観点では使えないけど、取替えという意味では、色調を合わせれば何とかなりそう。
仮に、それと同等の物を作ろうとすれば、統一感を出せるか?という点で材料探しに苦労するはず〜
安上がりか否かは、材料代次第とは言え、楽しめるという点を別にすれば、果たして幾らのメリットでしょうか?
比較する相手の価格が価格ですから、数万円ってわけにはいきませんね〜
しかし、このような事は、現実にはあまりない例えでの話。
本当のところは、素材の良さを活かした作品にこそ、手作りの価値が有ろうというものです。
材料に奢るというわけではないけど、材料代にコストをまわせるし、また、大量生産と少量生産では、適した材料にも違いがあるもの。
そんなわけで、自ずと少しグレードアップした物になるだろうと‥‥‥
その結果が、材料代だけで既製品のセット価格をオーバーするって事も簡単に発生してしまう。
しかも、手作りの場合は、この先に、上手く出来るかどうかの問題が残っているのですが‥‥‥
さらに、ネットオークション等で、出物というのがピッタリであれば、相当なグレードの物が驚きの価格でって!
また、アンティークな中古品とか直輸入品、国産手作り品なんてのも有りますから〜
以上からもわかるように、既製品には無いデザイン、サイズ、既製品では得られない性能、機能‥‥‥
と言ったような手作りの必然性が有れば、何もコストにこだわる事はありませんね!

作業スペースの問題については、建具は、正確な枠組みでなければ実用にはなりません。
その為には、何よりも、きちっとした平面を出せる作業台の上で作り上げるのが一番!
一つ一つのパーツを正確に加工出来れば大丈夫〜と言える程、簡単ではありません。
本音を言えば、大きなプレーナーで、組み上がったフレームを丸々、一気に削り直したいぐらい‥‥‥
とにかく、作ろうとするサイズ以上の大きさで、体重を掛けた位では狂わない台であれば万全!

材料手配の問題について、ホームセンターでは、角材、パネル共に、長さ1820ミリを超えると途端に取扱いが激減します。
また、金具類については、ドア錠、ドアクローザー、クレセント錠、戸車、丁番といった取替需要の期待出来る物はまずまずの品揃え。
しかし、問題となるのは、開き戸であれば上下落し金具類、開き窓であればスライドアームやタイトロック類、トップライトであればガスダンパーやキャッチ類‥‥‥etc. 困難な分野は、沢山有りそう?
ではどうすれば?
ネットで本格的なパーツを探すのも一考ではあるけれど‥‥‥
一方、手近なパーツを工夫して使ってみるのも、手作りの設計ならでは可能な事。
高価な専用のパーツに比べれば、機能的に若干劣るけれども、簡単で分かり易くて安心感が有るのが取り得。
将来のメンテナンスにおいても、良否が分かり易く、また、取替えも当然し易い利点が有ります。
 
<技術的な事> 切る削る打つの前に、何より大切な点は、<構造の設計と材料の吟味>!
この点は、しっかりと考察して、既製品以上と自負出来るような物を作る為に努力したいものです。

建具は、外壁に取付ける物である限り、外壁同等の性能でなければ、建物の性能が低下してしまいます。
それは、防風性や防水性といった強度面に加えて、防音や断熱という居住性能に大きく影響する部分まであります。
また、住まいのパーツとして、使い勝手はもちろん、人に対する安全性も当然必要になりますね!
さらに、最近では、特に防犯防災という観点が重要となってきています。

それらを踏まえた上で、出入り口や採光、眺望、通風、換気といった開口部としての機能が求められるわけです。
(補足:はめ殺し窓も建具ですが、機能面では限定されます)
開口部には、建物を支えるという部分までの強度は求められません。
しかし、強風による風圧や地震による枠の変形等は、考慮しなければなりません。
また、可動に伴う重力加速度の影響や、逆に長期にわたる偏荷重による影響も強度面での重要なポイントです。
さらに、使用頻度の大小、雨水や結露の有無、内外の温度差や太陽光線の強弱、といった耐久性に影響する部分も疎かには出来ません。
もちろん、イメージに合った物を自作しようとする話ですから、以上の点にデザイン性という観点が加わるわけです。
そして、忘れてならないポイントとして、製作条件とのマッチングの問題があります。
これは、自作においては大きな位置を占めるかもしれません?
道具、技術、材料調達、予算、時間‥‥‥無理なく成果が見込める物を〜
既製品であれば、製造コストは重要ですが、技術力については売り文句でしょうから‥‥‥

以上のような背景から、<構造の設計と材料の吟味>が、基本的で重要なポイントであるという意味がわかると思います。
具体的には、実際に自作する場合に、各要素がどのような具体的要件になるかを掘り下げて‥‥‥
その一端は、各事例紹介にて記していきたいと思います。

この事例紹介では、木製建具を取上げています。
現在、既製品ではアルミサッシ(ドアを含めて)が主流となっており、室内建具にも新境地を開きつつあります。
しかし、アルミサッシは、軽量且つ耐久性に優れてはいますが、複雑な形状の押出し材を組合せてこそ強度を持たせる事が出来るものです。
その為、一般的形材(L、□、コ等)を組合せて自作するとなれば、その材厚や接合において過大や過剰といった策を講じなければ、とても実用に耐えれるものには成り得ません。
要するに、アルミ素材の良さを得ようとするのであれば、多数ある既製品の中から選択し、規定の加工範囲で利用すべきと言う事です。
また、樹脂製に至っては、一般形材そのものが無いに等しく、さらに困難と言えます。
もし、それらを自作に反映したいとすれば、主要部分よりも外装や内装等のように部分的に特長を活かすべきでしょう。
その点、木製であれば自作の可能性が大いに広がるのではないでしょうか?

今でも、建具屋さんの前を通ると敷地内に沢山の板材が積み上げられ、長期に渡り自然乾燥させています。
中には、衝立やカウンターでも作れそうな大きなサイズの物まで有ります。
木材は、一言で優れた素材とは言っても、天然素材としてのさまざまな長所短所を併せ持っています。
樹種による個性、素材の不均一性、形状の変化、腐朽‥‥‥
それらを熟知した町の建具屋さんが、意外な費用でオーダーを受けてくれるのも事実!

木製とは言え、決して簡単ではないオリジナルの建具作り!
各事例から、何か得るものがあれば良いのですが‥‥‥
 
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