耳寄りな情報 
 
 
野鳥を庭に招くなら、これからの季節(秋〜冬)が一番です!
 

庭木の足下にあるマンリョウの群落 
 

  
 野鳥を庭に招こうとして、最も大事な事はやはり身の安全の確保でしょう。  
 安全といっても、ネコに飛びかかられる、犬に追われるといった本当の危険だけではありません。  
 人の気配や騒音、光の反射等、特に急な動きは、小鳥にとっては、安心出来ない事でしょう。 
 狭い空間では、危険に対してより迅速に反応する必要があるわけで、緊張を強いられている状態なんです。 
 自然でない物が急な変化を雰囲気に及ぼす事が、特に問題なわけです。  
 庭といっても、独立した庭でもない限りは、アプローチや勝手口等と接しているはずです。  
 また、大抵の場合、道路にも面しているはずです。  
 そういった条件は、簡単には変えれませんので、その中でどこまで配慮出来るかが大切なんです。  

 では、どのように配慮すればいいのでしょう?  
 それは、小鳥に聞いてみないと本当のところはわかりません。  
 そこで、小鳥の気持ちに少しでも近付く為に、まず、逆から考えてみましょう!  
 仮に、何も配慮しなければ今と同じってことです。  
 庭に出てみたら、スズメが虫を置き忘れて慌てて飛び上がった。  
 近くの電線でキジバトが、デデッボーと鳴いている。  
 外を見ていると、ヒヨドリが2羽、ピーヨピーヨと並んで庭を横切り飛んで行った。  
 勝手口を開けると、名前のわからない鳥が、竿の上から飛んで逃げた。  
 こういった事は経験ありませんか?  

 安心感を確保するって事は、まずは現状の確認からって‥‥‥  
 そして、それを少しづつ改善していくのが近道ってわけです。  
 だって、付近にいない鳥をいきなり連れてくる事って、出来ないでしょう?  
 まずは、我が家を知っている小鳥達から寄ってもらいましょうよ!  
 そして、出来ればゆっくりしてもらって、可愛い姿を楽しませてもらいましょう! 
 
 春にツグミが綺麗なさえずりで旅立ちをする時まで、まさにこれからが絶好のシーズンです!!
 

 
  
庭に招く為に効果的な事 
 
  
ポイントと注意点 
 
安全な環境を用意する   
 それでは、前文を例に考えてみましょう。 
 スズメは、人の生活する場所を利用して生活出来る鳥です。 
 でも、警戒心が弱いってわけではないようです。 
 むしろ、人間関連の取扱い(人、犬、ネコ、車等)に経験と自信があるんでしょう。 
 今でも、上手に距離を取りながら家や庭を利用しているわけです。 
 勝手口を開けると竿の上から飛んで逃げた鳥、ジョウビタキでしょうか?それともモズ? 
 もし、勝手口の近くに実のなる木があるとしたら、ジョウビタキに限らず、既に野鳥が訪れているのに違い有りません! 
 また、仮にモズであったとしても、我が家を餌探しのルートに入れている事に変わり有りません。 
 では、このように既に訪れてくれている野鳥に対して、どうやってお近づきになれるでしょうか? 
 庭に出ないようにする、勝手口から出入りしない、確かにそれが出来るに越した事は有りません。 
 でも、それでは、あまりに日常生活にとって犠牲が大きすぎます。 
 その部分は、事前に窓から様子をみるとか、静かな動きを心掛けてあげるとかで良いと思います。 
 一言で言えば、驚かさないって事でしょう。 
 間髪入れずに飛び立つのと、辺りを確認してから飛び立つのとでは、野鳥の受けるストレスに差が出ると思いませんか? 
 簡単な事ですが、家族皆が心掛けてこその思いやりです。 
  
 ところで、この状態では、野鳥にとって有り難い事ですが、その姿を少し楽しませて頂くって意味では、不足がありますよね? 
 でも、この思いやりが、より積極的に招こうとする上においても、最も基本となる大切な事です。 
 このような思いやりの中で、もし、野鳥の為に安心出来るスペースを用意出来るとしたら? 
 それは、きっと最高のプレゼントとなるに違いありません! 
 
実のなる木を庭に植える   
 柿の木は、野鳥の好む果樹として、正にスーパースターですが、完熟すると落果してしまいます。 
 でも、野鳥を庭に招くには、むしろ野山や付近の柿の実が無くなってからが最適なんです。 
 話が難しくなりましたね〜? 
 という事は、我が家の柿の木だけ、遅くまで実が残っていれば〜? 
 それは、無理ですよね! 
 でも、スペースに余裕が有れば、桃栗3年柿8年ですから苗木を植えておきましょう! 
 いわゆる果物のなる果樹(みかん、柿、りんご等)っていうのは、野鳥を招くっていう以上の目的が有りますので、それはそれで楽しんで下さい。 

 では、本題に入りましょう! 
 秋の深まりとともに実が色着く植物が、冬の野鳥達の目当てです。 
 また、実のなる木は、自然趣味な庭に彩りと四季の移り変わりを楽しませてくれます。 
 新緑や紅葉を楽しめる物も多く有ります。 
 グランドカバーから生垣、シンボルツリーになるものまで、意外と多くの種類が身近に有ります。 
 見上げる様な物から、うっかり踏んづけそうな物、目立たない物から、一面派手に実をつける物。 
 これから、庭作りをされるなら、きっと、色んな種類を植える事が出来ると思います。 

 でも、多くの方は、既に有る庭の中でどうしようかとお考えでしょうね!? 
 まず、スペースに余裕がない限りは、今ある植え込みの周囲や足下の活用が適当と思います。 
 一般的に、成り物は日当たりを好みます。 
 その為、植え込みの外縁部で良く日が当たる場所は、沢山の実を付けるのに好条件です。 
 多くの低木、潅木が有りますので、色んな選択が出来ます。 
 また、植え込みの中にも少し余地が有る場合や、植木が大きくなって足下が空いている場合は? 
 センリョウ、マンリョウ、ヒサカキ、アオキ等の日陰に強い種類も有ります。 
 もしそれが、通路等から離れて、しかも、リビング等から眺めれる場所なら言う事はありません。 
 ある程度、自然のままに茂らせてやるのが、沢山の実を付けさせる為に大切です。 
  
 では、実のなる木の手に入れ方ですが、苗木としてガーデンセンター等で販売されています。 
 丁度この時期、沢山実を付けた状態で根上げしたモチ、タチバナモドキ、ウメモドキ、ナンテン、ポット植えのムラサキシキブ、センリョウ、マンリョウ等は、手っ取り早くて大変便利です。 
 それと、本来実のなる木は、山野において実生で増えようと実を付けているわけですよ。 
 そこで、年数はかかりますが、しっかりと熟して落ちている実を少し持ち帰って育てる事も出来ます。 
 ここで注意する事として、特別保護区等で落ちている物でも触ってはいけない場合が有る事と、そのまま播くのではなく、小鳥が食べた時と同様に果肉を洗い取って播く事です。 
 また、挿し木で増やせる物も有りますが、この場合は、剪定時などにお話をして分けて頂くしかありません。 
  
 (小鳥が好む実のなる木) 
  
 高木では、ムク、エゴ、モチ(クロガネモチ)、モッコク、キリ、センダン、クスノキ 
 中低木では、柿、ウメモドキ、ガマズミ、マサキ、ヒサカキ、サンゴジュ、ネズミモチ 
 潅木では、ナンテン、アオキ、ヤツデ、タチバナモドキ、センリョウ、マンリョウ、イヌツゲ、ムラサキシキブ 
 変わったところで、下草のように小さく地下茎で増えるヤブコウジ、下草のリュウノヒゲ、花の蜜が目当てのツバキ、サザンカ類 
 注)太字は、剪定によって成育を抑えられますので、庭では中低木的な扱いでしょう。 
  

高木を植える   
 ここで言う高木は、10メートル以上も有る成木ではなく、庭にあっての高木ってことです。 
 そこで、せいぜい5〜6メートルまでのサイズの話しです。 

 住宅地であれば、街路樹や電柱、電線、アンテナなど高い位置で、止まり木の役目となる物が有ります。 
 また、高木を植えるには、落ち葉や日照の問題から庭のスペースもそれなりに必要です。 
 という事で、必ずしもってわけでは有りません。 

 でも、もしシンボルツリーでもと考えが有り、コニファーではなく広葉樹を植えたとしたら? 
 その木は、野鳥の集会場になること、間違いなしです! 
 人気のアメリカハナミズキやヤマボウシ、エゴやシャラ等、自然樹形が美しく、花に新緑、紅葉と四季折々に楽しませてくれます。 
 出来れば、株立ちよりは枝張りのいい単木の方が、この場合には適しています。 
 ピーヨ、ピーヨと飛びすぎたヒヨドリはもちろん、多くの野鳥が立ち寄ることでしょう。 
 高木は、電線等からのアプローチとして、また安全な避難場所や食後の休憩所や待ち合わせ場所。 
 将来、茂みの中で巣作りだって夢では有りません! 
 

目隠しとなる木を植える   
 家族で安心な環境を作ろうとする中で、出入りの多い通路等を目隠しするのも一考です。 
 本当の目隠しとしては、常緑樹の生垣や竹垣等が利用出来ます。 
 成長の早いアベリアやプリペット、実のなる木で一挙両得のマサキやタチバナモドキ。 
 他にも色んな種類が有ります。 
 また、仮に、1本の常緑樹であっても、効果的な緩衝材とする事も出来ます。 
 枝先の詰まった良く茂る種類を選びましょう。 
 
茂みとなる潅木を植える   
 ツツジやジンチョウゲ、ユキヤナギ、ハギ等は、小枝が詰まった茂みを作ります。 
 この茂みは、ネコやイヌでも入りにくい安全なバリアの役目をします。 
 また、薄暗いところを好むウグイス等の通り道や餌場となる等、より多くのタイプの野鳥を招く事が出来るようになります。 
  
 また、広葉樹の生垣や、単木でもツバキ、キンモクセイ、モチ等を刈り込んで仕立てていると、同様の効果が有ります。 
 
餌台を設ける   
 今までの部分は、野鳥にとって極自然な範囲の方法です。 
 自然に対しては、まず害とはならない行為のはずです。 
 でも、さらに積極的かつ継続的に野鳥を庭に招きたい!
 その方法として、餌台の設置が有ります。

 餌台は、野鳥に対して安全に餌を提供する為の工作物です。 
 そこに、野鳥を集める限りは充分に安全への配慮が必要です。 
 ふいにネコが飛びつく事が出来ないように、周りの見通しが良く、仮に接近出来ても一息では飛びつけない距離が必要です。 
 それには、物陰や、地面、塀、庇等から1メートル以上は離しておくのが良いと思います。 
 餌台は、風で壊されたり、餌が雨に濡れたり風で散ったりしないように作ります。 
 餌には、穀類、果物、脂肪、虫、パン、ジュース等と色々有り、野鳥によって好みも分かれています。 
 中でも、真っ赤に熟した柿は大人気です。 
 野鳥達に、保管しておいた柿を一番に提供してみましょう! 
 後は、餌台に慣れてくれるのを辛抱強く待つだけです。 
 数日で食べないと言って、ああでもない、こうでもないと手をいれるのは逆効果です。 
 決まったところにいつもある事で、信頼を得る事が出来ます。
 その結果、今までの行動パターンを変更して、新たにお食事コースに加えてもらえるわけです。
 こんな事は、人間でも同じですよね! 
 あるレストランが、定休日も適当で売り切れもしょっちゅうとなれば、誰も、短い昼休み時間に食事に行かなくなります。
 もし、そこでだめだったときに、次を探す時間的な余裕が無いからです。
 まして、野鳥は毎日が命がけの食事をしているわけですから。

 そのような苦労の結果、餌台に慣れたスズメやヒヨドリが集まりだし、それに安心して色んな野鳥が訪れ、色んな餌を食べてくれるようになります。
 こうなると、毎日の楽しみがつきません!
 晩秋から、春に虫が動き出す頃まで、野鳥とのコミュニケーションを楽しんで下さい。
 餌の補充も決まった時間にするようにして憶えてもらわないと、驚かしてしまう事になります。
 
 冬の最高の楽しみになると思いますが、注意点も有ります。
 それは、木の実であれば、後どれくらいで無くなるかがわかりますし、いつかはなくなります。
 ところが、餌台の場合は、どうでしょう?
 日を経るうちに、気が付けば我が家の餌台の位置付けが、大変重要な物となっているわけです。
 きっと、野鳥達は、自分では理解出来ない部分で餌にありついていると思います。
 
 すなわち、与える側には、責任とともに野鳥の生態についての知識も必要であるわけです。

 最後に、繰返しますが、餌台は不自然な物です。 
 ある意味で、一線を超えています。 
 悪く言えば、過保護にしているわけです。 
 餌台に頼り切った野鳥が沢山集まり、ある日、そこに餌が無かったとしたら? 
 小鳥は、空を飛ぶ為に食いだめが出来ません! 
 結果は、おわかりですね!? 
 自信と条件が伴わなかったら、無理には一線を越えないで下さい! 
 それが、可愛い野鳥の為です。 
 

水場を設ける   
 住宅地では、水場もそんなに多くはないはずです。 
 おそらく、多少離れた池や川、或は、大きな公園に作られたせせらぎ等を 水飲み場として利用しているのではないでしょうか? 
 もし、綺麗な水がお気に入りの餌場に常に用意されていたら、水を飲んだり水浴びをする姿もきっと楽しめると思います。 
 浅くて大きめの安定した容器で用意しましょう! 
 
野鳥について知ってみよう!    
 公園で野鳥が好む実のなる木、庭に呼べる野鳥の種類、いろんな事が為になります。 
 インターネット、図書館、自然観察センター等も利用しましょう。 
 最近では、一般図書も増えている様です。 

 参考までに我が家を訪ねてくれる野鳥を紹介しましょう。 

 スズメ、ヒヨドリ、ムクドリ、キジバト、モズ、ツグミ、メジロ、ウグイス、コカワラヒワ、ジョウビタキ、ルリビタキ、シジュウカラ、エナガ、ヤマガラ、コゲラ、アオジ、セグロセキレイ、ハシボソガラス 
 

一軒よりはご近所ぐるみで!    
 もし同じ価値観で、野鳥に接してくれるお友達がご近所にいたら? 
 一緒になってやってみましょう? 
 やりがい楽しみも2倍3倍に膨らみます。 
 お互いに訪問しあって、お披露目会なんて素敵でしょう!? 

 もちろん、野鳥にとって、安心して餌を取れる環境が、点より面と広がっていくのはとても良い事です。 
 自然林と公園が、愛鳥家の庭によって面で一体となったとしたら‥‥‥ 
 訪れる野鳥の種類も数も、全く違って来ることでしょう。 
 1本の実のなる木から始まり、我が家の庭が、野鳥の楽園になるのも決して夢では有りません!! 
 

 
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2003.03.15

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