浴室全景



 

このリフォームで大変な点は、大掛かりな工事を望まない点に加えて、全体の工期が長くなっても良いから風呂に入れない日数を出来る限り短くするという要望。
要するに、養生をする事で風呂が入れる状態を維持出来るのであれば、そこまでは壊す事も可能。
しかし、それ以上に進む時は、資材を揃えて「エイヤッ!」で済まさなければならない!
そこで、解体してから発注するという安全な手順が取れず、現状の中でレイアウトや機種選定をする事となる。
もちろん、建築図面も詳細図はなく見取り図程度との事で、しかも、青写真でボロボロらしい。
要は、施工図が作成出来るレベルの現地調査で現状を把握し、プランニングをスタートさせるしかない。

さて、浴室を手前入り口サッシ戸から見下ろした写真。
写真左が外壁でRC造。上と右が間仕切壁でCB造
手前は20センチ程の袖壁と浴室用のアルミ引き違いサッシ戸。
床は、モザイクタイル貼りで段差が設けてある。
浴槽は、L118×W71×D60センチの鋳物ホーローバスで、洗い場からの立ち上がりは、52センチ。
これで、設置足は別としても最低8センチは埋め込まれている点がわかる。
スラブを床下から確認すると、浴室部には段差が設けてあり、埋め込み式に対応している。
間接的に求めたスラブ厚は、床排水穴部で約18センチであり、躯体部は15センチと推定される。
その結果、段差はちょうどスラブ1枚分下げた事となり、その補強(2枚分の厚み)部分は30センチ程度となる。
床下段差位置から30センチ程ずらした位置が、タイル下に隠れる床上のスラブ段差面。
そこから、壁面(写真上部)までの寸法は?
上手くいけば、浴槽+排水ピットが据えれるぐらいの寸法がありそう。
しかし、こればかりは床上の形状とは異なっている為、はつって見るまでわからない!
が、少なくとも現状サイズの浴槽であれば、現洗い場レベルから15センチ程度は埋め込める事と推定できる。
それにしても、最も重要でプランの中心となる浴槽自体を推測の中で決定しなければならないとは‥‥‥
ところで、スラブは下げてある部分なのに一段上がった仕上がりの床面。
果たして何でかさ上げしてあるのか?
もし、生コンなら「嫌!」。でも、それはないからシンダーコンか?バサモルタルか?それともガラ?!
こういった事も作業時間に大きく関係する部分だが、?のままで進むしかない。

外壁は、仕上がり面での壁厚が約20センチ。その下には水平梁があり、1段下がったスラブとの取り合いの形状が?
分かり易く言えば、通常のスラブ高の部分なら「梁天=スラブ天」となるが、一段下がった部分には、梁天の角が出る。
そこが、斜め形状とか、梁成(はりせい)が切り下げてあるとか‥‥‥柱も無い部分で高さは変えまいし、多分、そのままの角か?
この部分がなぜ問題かは、浴槽をどれだけ外壁面に近づけられるかという部分に影響する事。
もし、浴槽の形状とか梁の張り出しとかが悪い方に向かうと、浴槽と壁面が離れてしまう。
そうなると、タイル貼りのカウンターを設けなければならなくなる。
ところが、数センチといったカウンターは、中途半端でデザイン的に無理があり、その場合には、カウンター付水栓に変更するとか全体のデザインを見直す必要も生ずる。
安全策は、当初より程よいカウンター付でデザインする事。
もしくは、躯体の寸法を出来る限り正確に割り出し、そして、浴槽の種類を吟味する事で、壁面に隣接させる事。
結局、フレキシビリティーな床面を広くする事を優先し、後者の方向で。
左下にタライが見え、実は、撮影前には、バケツも風呂の中に置いてあった〜

<補足説明>
RC造 鉄筋補強コンクリート造の略
CB造 コンクリートブロック組積み造の略
スラブ RC造での配筋されたコンクリート床
はつる コンクリートを削り取る事
シンダーコン ≒軽量コンクリート、語源は石炭ガラを骨材にした為
バサモルタル 水分が少ないバサバサのモルタルで流動せず空気を含む
梁成(はりせい) 梁の断面高さ
躯体 仕上げ等の付帯物を除いた構造体
注)以上は私見につき、正しく知りたい場合にはご自身でお調べ下さい。

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