事例紹介
 
   エンジン右側のパルサーが丸見え! 見事にカバーが割れちゃってます〜
しかも、4本の取付けボルトの内、無事そうなのは? 
上側は、前が折れ込んで後ろが‥‥‥悪いのを見た感じ〜 
下側の2本は、カバーのかけらとともにかろうじて、その分は、大丈夫そう?
いや〜どちらも大したかけらじゃないから、根こそぎ曲がってるかも〜?
写真右上のエンジンマウントボルトが、ばつ悪そう? 
ここに、スライダーが付けられてたら‥‥‥ でも、この酷さじゃ守れなかったかもね〜?
ここまでなるってよっぽどだけど、転んで滑ったバイクが運悪く何かにぶつかったのかな〜? 
こうなると、オイルたら〜で戦意喪失間違いなし! 本当に辛い光景としかいいようがありません。 
 
  
やっぱり、予感的中! 
前側は、ケースごと割れてくれてます〜 
あ〜あ、合わせ面も歪んじゃってるし〜 

これなら、クランクケース交換って泣くしかない? 
中古エンジンに載せ換え? 
どっちにしても、工賃ともで云十万円は覚悟って話しでしょう! 
下手をすれば、同程度の中古車が買えるかもしれない金額って有り得ない〜〜!! 
しかも、一度転んだだけで可哀想過ぎるじゃんじゃん!

メーカーさん、転ける前提でバイクを作れないかい? 
製造段階なら、僅かなコストでどうにかなるんじゃ〜? 
な〜んて愚痴も当然出るでしょう! 
経験者を代弁して書いときます〜 

さてと、ここで何とかするのがDIYヘルパー!のはず? 
自分に言い聞かせて、最善(何が?)の方法を探すことに‥‥‥ 

努めて明るく、『まあ、何とかなるわ!』 
そう言った時には、大体はやり方を決めてるんだけど。 
 

 
  
テーマ
写真 内容
  
 クランクケース修理
  
これは、デブコンメタリックパテっていうエポキシ系補修材 
連続使用温度160℃が決めてです〜

ちなみに、一般にエポキシ接着剤って売られているのは、大体が使用限度120℃。 
だから、エンジン部分に使用するには、不安があります。

デブコンメタリックパテは、アルミの微粉が混ざっている為、磨けば金属調の光沢が出るメタリックパテの1種。 
でも、普通のアルミホイール補修パテとは、強度がかなり違うようです。 
まだまだ店頭で買うのは難しいですが、工具のストレートでは8000円程のお買得価格で販売されています。 
一般的には、この200グラム入り3点セットで1万円程します。 
 
欠損してる〜! 容赦なしにもぎ取れています。

ここにデブコンを肉盛りして、タップを立てれば完成ですね〜?

確かにそれも有り!っていうか、普通はそうでしょ?

でも、ここからが、日頃鍛えた臆病神の腕の見せ所〜! 
 
2段仕掛けがミソ!     
欠けた部分に何かが置いてあります。 
これが、超超ジュラルミンの7075材の丸棒! 
で、今回の準主役ってところです〜 
切ったり削ったりする時、まるで鉄〜! 
元よりオーバークオリティーなぐらい?

そんな丸棒にネジ係を担当してもらって、デブコンの肩の荷を少し降ろしてやろうって作戦! 
これで樹脂にタップを立てれるかどうかって、問題で悩まずに済む〜

デブコンならタップも大丈夫だろうけど、世の中には○カ力で締める人もいるかもしれない?
そんな時には、間違いなくボルトをねじ切ってあげないといけないのだ〜! 
 
失敗作?   
そして、これがカバーに丸棒をボルトで締め付けたところ。

れれれ〜?センターが出ていない〜!と思うでしょ? 
ところが、実際はごく僅かなオフセットです〜 
カバーの外面がテーパーになってるんですわ。

でも、良い所をご指摘頂きました。 
実は、センターを外しているのは、穴の位置なんです〜 
上の写真をもう一度見て下さい。 
丸棒の中心に穴が開いてませんよね? 
センターをずらした位置から斜に‥‥‥僅かですが 
そこがみそです! 
仮に、センターであれば、ボルトを回そうとする力がそのまま丸棒の回転力となります。 
その場合は、丸棒表面の付着力だけが抗力です。 
ところが、センターを外す事で、丸棒は偏心運動を伴う事となり、容易には回転出来なくなります。 
簡単なイメージですが、伸ばした右手の人指し指を左手で軽く握ってみて下さい。 
右手は簡単に回転出来るはずです。 
では、指を曲げながらではどうでしょう? 
大きな力でも回転しないと思います。 
その握っている力は樹脂の強度で、大きな力というのは締付けトルクです。 
結局、同じ樹脂の強度でも、より大きな力に耐えれるって事ですね!

えっ?丸棒を削って平面を作れば、回り止めになるって〜 
はい、そういったひと工夫が、隠し味じゃなくてみそですよ〜!

と言いながら、その方法を採ってないのは、何故〜? 
 
ガリガリと〜 それでは、荒療治ではなく下地作りのスタート!

ドリルの先端に超鋼カッターを付けてギュイーン
その2 先端パーツを付け替えて、いよいよ仕上げ段階 
丸棒を当ててみては、さらに削るの繰返し 
この超硬バーは、角が有るので助かります。

あまり余分に削りたくないもんね! 
デブコンが、沢山必要だから〜 やっぱり!
こんな風に 上手く納まるように削れました。

でも、このフレークを何かに混ぜたくなるのは、自分だけではないはず〜 
あなたも、相当なボンビーじゃなくてDIYフレークです?

(フリーク=ばか? ばかは、怒られるんでフレークのままにしておこ)
クラックは広げて直す? 作業は、内外両面からクラックの方向に合わせて掘込むように行います。 
クラックの断面は、外面から内面に向け奥から手前方向に斜になっていました。
(写真は作業後です)
その2   
これは、前側の破損部を下から上向きに写したもの。 
幸いな事に、クランクケース合わせボルトの部分までは、影響がありませんでした。

要するに、ケースの端のカバー取付部だけの破損だったわけです。 ヤレヤレ 
少しでもキズは軽いに越した事はありません。

それでは修理の開始です。 
細かなクラックのままでは、歪みを直せませんし、充填も出来ません。 
その為、まずクラックをルータ−で削って広げます。 
端から端までをしっかりと削り終えたら、当て金を使ってコツコツとハンマーで均します。

どうやら合わせ面は、面一に戻ったようです。
これをしっかりせずに充填してしまうと、カバーを締め付けた時にピシピシと圧縮であったり、逆なら引っ張りのストレスを生じてしまいます。
とはいえ、カバー取付け前には、オイルスト−ンで面の仕上げが必要です〜

では、接着部の下地調整をしていよいよ充填です。 
 
配合が大切!   
それでは、いよいよデブコンの出番!

下地を掃除し、脱脂後に同梱の耐熱プライマを薄く塗ったら配合です。 
2液配合タイプで大事なのは、硬化剤の分量と撹拌です。 
しかも、チューブ入りで1対1の等量配合なら目分量って事ですけど。 
瓶詰めで5対1なら、計るしかないでしょ? 
そこで、上皿天秤ばかりで正確にってしたいところだけど、これでやってます〜 
家庭用デジタル秤!
確か、980円ぐらいだったよ! 
電池は、別だったかな? 
ちゃんと1グラムから計れるから、こんな作業程度なら充分でしょ? 
しまった!一押ししときゃ良かった〜

ブリスターパックの平らな部分を切取ってトレイにして、秤にのせて0グラムセット。 
そして、主剤5グラムと硬化剤1グラムを順番に計量。

この秤の精度がどれ程だかわからないけど、0〜1の間は、計れないって事?
だから、少しずつ載せながら、表示が変わった瞬間で条件を統一して計量しました。
また、1グラムを計る際は、0〜1の時よりも5〜6の方が正確ではないかと、勝手な直線性理論に基づき主剤から順に計測。
980円のをせめて1980円並みにしようと、日々努力しているのではあります。
(ウンチクとしてもらって結構です)

といった具合で、正確な配合が重要って事をおわかり下さいね!
そして、攪拌もまたまた重要!
どちらもグレー系の色で混ざり具合がわかりにくいだけに、し〜っかりと混ぜ合わせます。 
 
2回に分けて   
1回目は、丸棒をケースにしっかりと馴染ませる程度の分量で接着しています。 
もし、一度で仕上げレベルまでやっちゃうと、万一途中でしまった〜とかの時に手が出せなくなっちゃいます。 
でも、手を出さないといけないから、仕上げ部分まで汚くなってしまう。 
最悪やり直しって場合なら、材料もそれだけ沢山無駄になるしね!

そこで、まずはしっかりと位置決めをして、仕上げは後から気兼ねなくって感じです。

それと、予めカバーに丸棒をセットした状態で位置決めすれば確実。 
後からドリルで穴を開けるとなると、一発勝負ですからね! 
そのかわり、離型材として、やはりブリスターパックを挟んでいます。 
 
しっかりと充填 こちらもしっかりと!

エアが噛まないように片方からしっかりと充填し、はみ出した分をブチュ−って均します。 
面の凸凹がない内側から確実に入れ、外側は広めにカバーしています。 
ここは、ピンホールとか出来るとオイル洩れの原因にもなりかねません。
何これ? 2液タイプは、ラッカーの蒸発ではなく、硬化剤との化学反応で硬化しますので、温度が低いと反応が進みません。 
冬の寒い時期は、貼るカイロでしっかり加温します。
この上から、タオルでくるんで一昼夜保温です。
2回目で仕上げ   
しっかりと接着が出来たら、次は仕上げ段階です。

再度、6グラム分作って肉盛りや、他の箇所の作業を実施。 
またまた、貼るカイロで同様に〜 
 
最後は整形 パッキンの形状に合わせてラインを削り揃えます。 
それと、合わせ面にはみ出た部分もしっかりと削らないといけませんね。
塗装後 耐熱塗料の半艶タイプで仕上げです。

部分的なちょっとした塗装ではあるんだけど、気温の低い時期は要注意です。 
しっかりとヒーターで予熱と焼付けをしないと台無しになります。
 
 
 
カバーを交換しているのは丸わかりだけど、それ以上は?

やった本人は、ひいきめに見てしまうので〜 

といっても、この解像度じゃさっぱりわからないって!

とにかくきっちり取付いてるし、オイル漏れも無いので、今のところはマル?

エポキシ樹脂ってのは、フッ素樹脂のように酸やオイルに完全無欠ってまでではないので、ほんのちょっと?
世の中には、色んなオイルや添加剤があるから絶対ってのはない!
でも、条件的には、楽だし、こんな事書いたらメーカーさんに叱られるかな?
 


余談
白く見えているのは液状シールです。
しっかり手入れされていると思うんだけど
世間では、これを汚らしいって言うのかも?
  
次のも完成写真、全体はこうですって、綺麗なカバーの写真になってるだけかも?

最後にデブコンを使用した感想 
通常のエポキシ樹脂と変わらない取扱いで、仕上がりには大きな差が出る感じです。 
今回は、塗装仕上げだったので素地の特性が活かせなかったけど、仕上げで削っていると確かにアルミ地に輝いていました。 
削っている時も、少し硬い感じでアルミの硬度に近付いているのは間違いない! 
アルミパウダーは、単に見た目の効果だけではないと思うよ〜 
おそらく、モルタルに砂利を入れたのと同じようになってるんじゃない?

それと、値段が高そうだけど、こんな修理なら10回20回出来ると思えば決して高くないです。

この他にも、シリンダーフィンやレバーの先、フォークチューブなんかにも使えるから、色んな擦り傷を全部まとめて修理出来るんだね〜

デブコンには、他にも色んな種類が有るけど、何種類も揃えるのは大変です。
まずは、このタイプからが良いのでは?

でも、買うのは転けてからでいいよ〜やっぱり高いから 
 
 
 
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