事例紹介
 
 
  
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ステアリングギヤボックスのブーツ交換
 
 

一見、破れていないようでもこのとおり!

  
「ブーツ破れてますよ!」 

えっ!どうしたらいいんですか? 

「すぐにどうこうは、ないでしょうけど‥‥‥ 
交換されたほうがいいですよ!?」 
 
じゃあ、お願いします。 

それでは、手配しておきますので、入荷次第連絡させてもらいます。 
 
えっ!いま出来るんじゃないの〜〜 

エンジンオイル交換時に、こんな経験ありませんか? 

クルマの下回りなんて、普段は見る事出来ないですよね! 
ですから、オイル交換等は絶好の機会なわけです。 
でも、ピット内は、危険な為、原則立ち入り禁止かもしれません。 
もし、作業の邪魔をしない事で覗かせてもらえるのであれば、お願いしてみる価値はあります。 
リフトの下に入らなければ、OKの場合もあるでしょうか? 
ただ、足下にも鉄板やボルト頭、溝、オイルじみ、エアホース等が有ったりして、上も下も注意しないといけません! 

話を戻して、自覚症状?のなかった不具合、ブーツの破れをどうします? 

知らぬが仏ではなくて、良くぞ見つけて下さったと喜ばねばなりません。 
いつからかは分かりませんが、このままではさらにひどい不具合になるのに違い有りません。 

でも、同時にやれば安上がりなんじゃあって考えると‥‥‥ 
素直に頼めず考えときますって、勝手に口が動いてました。 

以上のような訳で、このブーツ破れてたらあかんのん?って疑問から事例スタートです。 
  

これは正常な左側です   
 

左側は既に交換されて程度良好でした! 
(タイラップの色が右側と違っています)

   
ラック&ピニオン式のラックギヤのブーツは、ドライブシャフトのブーツ(これは、もう少し大変)とともに破れやすい物です。 
正確にいうと、稀に石はねとかの事故的な原因も有るでしょうが、消耗で破れるんですね。 

直進状態なら無理がないんですが、ハンドルを切る事で伸びたり縮んだり。
正確にいうと、引っ張られたり押しつぶされたり。

で、このブーツの中には、ラックギヤが有ります。 
ステアリングホイールの回転力をタイヤを動かす為に、左右方向への直線的力に変えている重要なギヤです。 
と言うか、ラックが汚れたり損傷すると、当然、噛み合うピニオンギヤにも影響します。 
って事は、ステアリングギヤボックスそのものすべて! 
パワーステアリングであれば、云万円ではなく1桁変わってしまいます。 

さっさと交換するに限ります! 
ところで、これってどうせなら左右両方替えた方がいいんじゃない? 
靴だったら右だけ履き替えるってしないし〜! 

そのとおりなんです。 
同じ条件で消耗するものは、いずれ同様の結果に至るわけですから、ついでにやるに越した事は有りません。 
その都度、簡単に取り替え出来る電球等はいいとしても、ブレーキやタイヤ、スパークプラグ等に至っては、バランス面からも同時交換が必須です。 

そして大切な事、DIYで出来るの?

安全作業に注意すれば、ガレージジャッキとリジッドラックで何とか出来る範囲内でしょう。 

* ジャッキアップ作業やタイヤ脱着作業については省略。 
 

純正ブーツセットです ディーラーで部品注文しました。 

1ケ所分の消耗品がセットになっています。 
ブーツとOリング、そしてタイラップではなくてツイストワイヤーが各1個 
ただしグリスは付属していません。 

32スカイラインの場合は、2000円ぐらいでした。

ここを分解します   

青い印が合いマーク

   
タイヤの後側から覗いたところです。 

上に見えるのは、サスペンションロアアーム。 
右は、ナックルやハブでタイヤ側です。 
ロアアームと平行している細いロッドは、タイロッドで左に見えるのがラックブーツです。 
仮に、ハンドルを左に切ると、ラックが右に動きタイロッドも右に動きます。 
タイヤの後側を右に押されますから、タイヤは左に向くわけです。 

ちなみに、矢印の部分がハンドル切れ角のストッパーです。 
グリス切れでは、ハンドルを一杯に切って走行時にゴキゴキ異音が出ます。 
右側は右の切れ角、左側は左の切れ角のストッパーですから、両方に給脂します。 

それではいよいよ作業開始! 

ソケットとロックナットにマジックか何かで、写真の様に合いマークを付けます。 
この理由は、後で説明します。 
そして、ロックナットをひと緩めして、緩んだら合いマーク付近まで出来る範囲手で締め戻しておきます。 
 

正しい割ピンの抜き方?   
タイロッドのタイヤ側の端は、ソケット(タイロッドエンド)といって、ボールジョイントでナックルアーム(ハブのナックル部)に接続されています。 

ソケットのボールジョイントは、タイヤの上下動と左右転舵に対応しています。 

ところで、ここがもし走行中に外れると‥‥‥? 
! 
その為、ナットの緩み止めで割ピンが用いられています。 

狭い場所での作業ですから、テコの原理で片手で安全に外しましょう。 
まず、折り曲げてある先を出来るだけ真直ぐに戻します。 
そして、頭をニッパでくわえて、ナットを支点にテコで引き出します。 
次に、ナックルアームを支点としてくわえなおし、さらに引き抜きます。 
さらにくわえなおせば、最後まで出来るはずです。 
  
なお、一度使用した割ピンは、新品に交換しますが、別途用意する必要があります。 
 

ナットを緩めても?   
割ピンを抜いてナットを緩めても外れてきません。 

理由は、赤線のようにしっかりとテーパーで接合されているからです。 

専用工具もありますが、ギヤプーラの腕をナックル部にシャフトをナット部にセットして押し抜きます。
 

ゴツン!   
でも、狭い場所での作業ですから、もっと簡単な方法でしたいものです。 

そこで、加減のわかる人向きな方法です。 
ハンマーで取付部の側面をゴツンと。 
決して叩き潰すっていうんじゃなくて、ショックを伝えるという程度。 
あまり小さいハンマーで力を込めるよりは、大きい物で極軽く。 
ポイントは、タイロッドの動く左右方向ではなく、それに対して直角方向(ナックルアームの軸方向)に叩く事です。 
そうすれば、力が逃げずに小さい力で外す事が出来ます。 
 

外れました 外れたタイロッド。 

そ〜と、下に降ろしておきます。 

これでハブは、さらにぐるっと回せるようになるので作業が楽です。 
 

ソケットを取外します   
いよいよソケットを取外します。 

ここで大切な事!

ロックナットの元の位置を正確に記録する事です。 
ソケットの取付けは、締め込み加減で位置が変わってきます。 
すなわち、タイロッドの長さが長くなったり短くなったりするわけです。 
この長さは、ホイールアライメントのトーインを変化させます。
 
トーイン調整は、タイロッド側を回してこの長さを変化させています。
トーインは、タイヤ先端でのせいぜいプラスマイナス5ミリ程度の左右平行差の数値ですから、タイロッド1回転の違いでも大きいわけです。 

では、どの程度、どうやって記録すればいいのか? 
 
 

ネジ山で取付け位置がわかる? 1つは、ロックナットからタイロッド先端までの長さを正確に図る方法です。 
ネジ山数、または金尺などでミリ単位で正確に。 
2つめは、ソケットを外す時に何回回るかを何回転と何分の1まで正確に。 

この時、記録し終わるまでは、ロックナットが動かないように注意します。

ブーツを外します ロックナットを外せば、ブーツを引き出せます。 

この時、ブーツの両端がどこでどのように取付けられているかをよく見ておきます。

ラックギヤを掃除します   
ブーツを外せば、ラックギヤとタイロッドのボールジョイント部が出てきます。 
ハンドルを左一杯に切っていれば、このように出て来ているはず。 

程度の差こそあれ汚れているはずですから、しっかり掃除です。 
特に歯面やジョイント部に汚れが残り易いので注意します。 
また、ブーツ取付部も綺麗にしておかないと、せっかく新品に替えても密着不良となります。 
 

グリスをたっぷりと 掃除が出来れば、モリブデングリスをたっぷり塗ります。
 完成   
新しいブーツを取付け、タイロッド側はOリング、ギヤボックス側はワイヤーで固定します。 

この時、ブーツの自由長(自然な状態での長さ)に合わせてラックの出加減を調整するとやり易いです。 

残る作業は、取外しの逆です。 

注意する点は、 
まず、ソケットの締め込み加減です。 
ロックナットを先に付け、記録した寸法や回転数どおりにソケットを締め込みます。 
ロックナットをしっかりと締めて、ソケットをロック(Wナット状態)します。
合いマークがほぼ揃っていればOK!

次に、ソケットをナックル部に取り付ける際に、ナットを締め込んでも雄ネジ(軸)も共回りしてしまう事があります。 
この場合は、テーパー部をしっかりと押し付けて摩擦を大きくし共回りを防ぎます。 
そして、しっかりと締付け方向に回してピン穴を揃え、新しい割ピンを取り付ければ出来上がり。 

出来れば、早めにサイドスリップテスターでのホイールアライメント確認をお勧めします。 

もともと自覚症状がなかったので、何も変化を感じません!
でも、今までマフラーぐらいしか気にして無かった下回りが、ぐっと身近に感じるようになってます。
下回りでも、DIYで結構出来る作業はありますよね〜!
ただし、失敗すると整備工場にも持って行けなくなるので、無理は禁物です〜!!
 

 
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