事例紹介
 
 
  
テーマ
内容
  
キャブ換装

お宝箱が届きました〜! 最終モデルのSPR用
 

 
 生っ粋の2ストレーサーレプリカ
 
 YAMAHA TZR250R! 
 

 DXを源流とするパラレルを昇華し誕生したVツイン 3XV! 
 左右独立したシリンダーは、構造の複雑化と引換えにスムーズな回転とパワーバンドの広がりを生み出している。 
 とはいえ、今回のテーマに関連する完全に独立した吸気系レイアウトっていうのも含めて、相当なコスト増につながっているはず。 
 
 そんな吸気系一切が、段ボール箱にぎっしりと〜! 何で〜!? 
 
 走行会でもストレート以外では、現状で不足はないはず〜!? 
 えっ!180km/h以上でR1に抜かれるって〜〜でも突っ込みで抜き返すでしょ! 
 少し前のスーパーバイクの750と1000みたいな事を言ってるわけ〜? 
 それでケリを付けたいって〜! 
 今のもピックアップが鋭く、しかも強いってのを売りにしてたんだけどな〜! 
 より本格的レベルアップを目指すわけね〜!! 

 取り敢えず、お宝箱の全体を眺めてみると、大きくはパーツに2色あるのがわかる。
 1つは、レースで使用していたパーツで、残りはそれに対する未使用のノーマルパーツ。 
 ノーマルエアクリーナーに袋入りのノーマルスロットルワイヤー?
 1本のワイヤーが途中で2本のワイヤーに分かれているY字の形をしている。 
 ?って理由は、ワイヤーにオイルポンプワイヤーが付属しておらず、この年式では、電子制御オイルポンプなわけっ?て意味です。 
 レース用のは、ラムエア用らしきFRPパーツとキャッチタンク、そしてハイスロから独立ワイヤー2本で直結のキャブ。 
 そして、ケース入りジェッティングパーツと梱包されたインシュレータ−とリードバルブ。 
 以上の宝箱と既存パーツを組み合わせて答えを探してゆく、否、創っていくってのが正しい! 

 概要としては、分離給油のままで大口径キャブのメリットを加えるって感じ〜! 
 ラムボックスは、エアクリーナーレスになるのであきらめて、元と同様エアクリーナー仕様にします。 
 
 では、それに至るまでの問題点を考えてみると? 
 1番にわかる問題は、レースパーツは、当然混合ガス仕様になってるって事。 
 そして、悪い事にノーマルワイヤー?にもオイルポンプ制御が加味されていない果たして既存ワイヤーと上手くフィット出来るのだろうか? 
 あとの部分は、基本的にエンジンも車体も同じなんだから何とかなるでしょうね! 
 大口径っていっても、それ用のエアクリーナーとインシュレータ−が有るんだから‥‥‥ 

 まあ、本当の問題は取付けてからのセッティングなんだけどね! 
 
こんなに違いが〜!
 
 これが、換装する大口径キャブをエアクリーナー側から見たところ 
 ファンネル状に大きく広がって、いかにも高出力って感じ! 
 しかも、奥のベンチュリ部は、真円ではなく洋ナシが逆立ちしたようになっている。 
 これは、低速域を残しながら上でパワーを稼ぐ為のスペシャルな構造。 
 ただし、にょきっと突き出たパワージェットは、吸気抵抗になってるんじゃない〜!?

 というか、そんなの元のには付いて無い! 
 って事は、パワーバルブが電気制御に変わってるって問題が追加されたわけ? 

 で、元のと比較したのが右の写真 
 もう全く別物って感じでしょ〜? 
 でも、実のところは、直径は28ミリから32ミリと4ミリの差なんです。 
 エンジン側なら、こんなにも違っては見えないって事なんですが、(写真が無い〜!) 
 それでも、約30%の面積アップだから凄い!
 これは、レギュレーションによる為です。
 
 その制限の中で最大限工夫されているから、別物程に見えるんですね!
 

これが現状!  
 
 ギシッと凝縮されたパワーユニットは、一見何がどうなっているのかわからないぐらい? 
 右下に見えるタイヤは、フロントタイヤ、右上から左下にのびるのは、黒塗りのアルミフレーム。 
 フレームの手前にあるのが、前バンク用のエアボックスで、吸入口は、フレームをくぐって上向きに四角く開いている。 
 そして、エアダクトはラジエーターの下を通ってキャブへと続く。 
 もう一方のキャブは、上に見えるエアボックス後ろ寄りの真下にある。
  
 そして、どちらのエアボックスにもダーティーサイドには、特製カーボンリードバルブが追加されている〜! 
 
違いはここまでかな?
 
 キャブの口径が違うわけだから、それを取り付けるインシュレータ−も当然交換します。 
 ここで忘れてならないのが、オイルノズルの付け替えです。 
 レース用は、当然取外され、代わりにブラインドプラグが付いてます。 
 スロットルポジションセンサーが付いた前バンクのキャブは、比較的スムーズに付け替えが出来た方。 
 といっても、細かな加工は必要だったけど‥‥‥ 
 キャブの温水ホースの取り合いを調整したり、スロットルワイヤーの引き回しを変えたり。 
 その要因は、口径が大きい為にわずか外寸も大きくなっているからです。 
 
 レプリカには、それだけ無駄なスペースが無いってわけね! 
 
前後で明暗
 
 ところが、後ろバンクの場合は、やっかいな問題が有りました。 
 元々のワイヤー長に余裕がなく、それにビッグキャブを取り付けるとスロットルが全閉出来ません。 
 ワイヤーの調整範囲一杯にしても、インナー長が数ミリ分不足します。
 その為、その長さ分は、スロットルバルブが引かれたのと同じ状態になってしまうわけです。 
 左写真は、キャブ取付け側のインナーの長さです。
 これにキャブを取付けた時、スロットルが全閉出来ないといけないわけ。 
 右写真は、逆にワイヤーをキャブ側に組んでみたところです。
 このわずかなインナー長で、下左写真のジョイントに組めないといけないわけ。
 
 どちらにしても無理!当り前か?
 
ワイヤーの差
 
 スロットルワイヤーのジョイントを分解し後ろバンク用ワイヤーを取外します。 
 手前2本のワイヤーの内、左側が後バンク用で右が前バンク用。 
 左のワイヤーはキャブが外されてフリーな為、写真の状態は中立位置ではありません。 

 右写真の下側がジョイントから取外した元々のワイヤー。 
 遊び調整部分が、アウターのほとんどを占めるような状態の短さです。 
 上側は、お宝箱にあったノーマル用?のを分解して取出したワイヤー。 
 これなら、加工するにも充分な長さがあるけど、ここで新たな問題が発生! 
 元々のワイヤーは、ジョイント側のエンドが横型(T字)のタイコです。
 それに対して、このワイヤーは、縦型(I字)のタイコなのだ〜! 
 ジョイントには、横型でないと取付けできないわけ。
 しかも、分離給油を生かそうとすれば、元々のワイヤー組を使用しないと〜
 
 やっぱり、混合にするしかないか〜!?

 
作ったら?
 
 こうなりゃ作るしかないのは、お天道様も承知の助!
 
 アウターチューブを切り詰め、インナーケーブルの長さに余裕を設けることにします。 
 まずカシメを外し、アウターチューブをニッパで必要分切り取ります。 
 この際、アウターとインナー間のクリアランスを潰さないように刃先で少しずつ丁寧にカットします。 
 インナーの作動に全く問題なければ、カシメを元どおり取付けます。 
 次は、ワイヤーの先端に新たにタイコを作ります。 
 ハンダを溶かした中にワイヤーを鋳込み原型を作ります。 
 この後は、丁寧にヤスリで削って整形すると右のようになります。 
 ただし、正確に作らないと引っ掛かりが発生したりしてスムーズに作動しなくなるよ。
 
完成  
 

やっぱりキャブがでかい! 
どんなフィーリングになるのかな〜? 
とにかくレーシングでは大丈夫!
最後に、お楽しみパワーバルブの配線
元のキャブ用エアソレノイド制御回路を流用する事に
セッティング時、作動域を数通り試せるように回路を製作

走行テストが楽しみだ〜! 

でもこの続きは、サーキットでやりましょう!

 
DIY事例紹介トップ  バイク事例集
 

Copyright  2001-2008  Makoto Nagai. All rights reserved