事例紹介
 
 


 ブレーキキャリパーのOH(オーバーホール)って、簡単に言えば、「そそうなく、ラバーシールを交換するだけ〜!」

 と簡単に書いてしまえば、出口に辿り着けないケースが多発するかもしれない?
 その可能性の有る事例として、オフロード車のエア抜き作業も含まれるのでは?
 と言う事で、この事例は、D-トラッカーだけど、そのままKLXやKDXにも共通するテーマです。
 その他、キャリパーOHの一般的な部分は、他の事例も参照して下さい。
 
 
  
テーマ
写真 内容
  
キャリパーOH事例
(D-トラッカー)
 
何故か狭苦しいガレージ風景が〜?

D-トラッカーのすぐ脇にメッシュラックが接近中!
こんな状態で作業にかかれるのか〜?

実は、このメッシュラックこそが、事例紹介の主役なんで〜す!


そして、迎え撃つ敵は、黄色い矢印〜!
サスペンス小説ではないので、初めに正体を明かしておきましょう。
この黄色い矢印が指す部分は、クラッチワイヤーではなくてブレーキホース
とにかく長〜いのは、サスストロークが大きいから当然として、何が問題なのか?

この部分の右ハンドルバーにマスターシリンダーが少し低い位置で取付けられている。
と言う訳で、この矢印部分が油圧ラインの中で一番高い位置に在る事になる。

当然、その部分にエアブリーダー(エア抜き)プラグが有ろうはずもない!
だから、その点に気付かなければ、エア抜き段階で困ってしまう訳だ!
キャリパーのエアブリーダープラグで、エア抜き作業をいつまでやってもダメ〜
仮にわかっていたとしても、マスターを持ち上げるとか何がしかの手間が必要〜

でした!過去形?
 
簡単なポイントなんで、「当然そうするでしょ?」
って、事にはなると思いますが
ご参考までに〜〜
 
作業台です〜  
接近して置かれたメッシュラックは、作業台〜

ちょっと、頼りないようですが、そんな力作業ではありませんから‥‥‥

それよりも、高さが大事、高さが〜!
メッシュラックの良さは、棚板の高さ調整がきめ細かく出来て、しかもキャスター付の便利さ。

マスターシリンダーよりは高く、尚且つ、作業がし易いように出来るだけ低く〜と言った調子。
 
こんな感じで    棚上には、ステンレスバットを置く事で作業中の汚れやブレーキフルードの飛散を防止。
さらに、その中の丸いトレーでフルードを受ける段取り。

尚、キャリパー外観の掃除は、この作業台以前に済ませています。

 *ブレーキフルード(俗に言うブレーキオイル)
ピストンを出す  
説明が遅れた形になるけど、キャリパーOHの理由は、ブレーキ引きずり
平地で押し回しをする時に、シフトが入ってるんと違う〜?って思うほど、バイクが重い!

試しにフロントディスクパッドを外して押してみると軽い軽い〜♪

で、キャリパーのピストンの動きを点検してみると‥‥‥
装着時の状態で下側(以後、下側と表現)のピストンが、手の力ではビクとも動きません〜
(写真では上側の出が少ない方)
それなら、毎度お馴染みのピストンのウォーミングアップを!
と、試してみたところが、ダストシールの破片がピストンにまとわり付いて、出たり入ったりしている状態。
これじゃ〜ダメです!

という事で、部品を発注し、キャリパーOHをする事になったわけ。

では、作業の続き、シールを交換する為には、ピストンを取外さなければなりません
そこで、油圧を利用してやるわけですが、そのままやるとピストンの動きの良い方ばかりが出てきてポロッと取れてしまう〜
すると、動きの悪いピストンが奥に入ったままの状態で油圧が掛けられなくなってしまう。

そこで、動きの良い方が出るのを制限しながら悪い方から出てくるようにします。
制限の仕方は、古いパッドを噛ます、板を噛ます、ウォーターポンププライヤでピストン〜シリンダーを挟んでおく‥‥‥安全な方法で!
決して、握力で押さえようとか指を噛ますとかのDIY(YOUR BODY)をしないように〜
 
補充しながら ピストンを出していく為には、ドンドン、フルードをキャリパーに送らなければなりません。
そこで、マスターシリンダーへこまめに補充して、決してエアを吸わさないように注意します。

作業中のフルードの取扱いには、充分注意します。
補充時にこぼさないようにしていても、レバー操作をすると噴水のように飛び出す場合があるので、ウエスでしっかりとガードがベター
まだ出るか〜? 2つのピストンが、無事に目一杯の位置まで出てきました。
この先は、どちらがポロリと飛び出そうが、残った方のピストンも手で簡単に取れそうです。

と言う事で、フルードの補充だけ気にしながらグイグイ握ってフィニッシュへ〜
1個目がポロリ やっぱり、滑りの良かった上側のピストンが、先にポロリ。(写真では下側)
同時に、ドボドボってフルードが流れ出ます。

でも、リザーバータンクよりも高い位置にあるおかげで、シリンダー内のフルードが出てくるだけで済むわけです。
2個目は手で 下側も残り数ミリ程度ですから、簡単に手で取れました。

ここでエアブリーダープラグを一旦緩めてから、軽く締め直しておきます。
これは、後の作業で必要になるからです。

もちろん、もっと前の段階でやっておいても良いですが、その場合は、少ししっかりと締めておきます。
硬化シールはどれ?  
太いシールがピストンシールで、細い方はダストシール

細いマイナスドライバー等でシリンダーに傷を付けないように外します。
取外した際の変形が大きく残っているシールが、下側の滑りが悪かった分。
手で触った感じでも、どれも硬化はしているけど、下側の分がやっぱり硬い。

下側は、ブレーキ作動時にリーディング側となる為、熱負荷が大きいってわけですね。
 
フルードで満たす  
シールを外した後は、フルードを満たしてから古い歯ブラシ等でゴシゴシと掃除。

シール溝にグリスやフルードのカスが、こびり付いている場合は、傷付けないように細いマイナスドライバー等で擦ります。

掃除が終われば、汚れたフルードを捨て残りもウエスで吸い取ります。
すっかり綺麗な状態になったシリンダー内に、フルードをタップリと満たしておく。
この時、キャリパーは当然仰向けで置いています。
 
シリコングリス使用 相変わらず、一つ一つが梱包された部品。
ゴミの軽減もそうだけど、破いて開けるのも凄い手間!
それと、もし、ホッチキスで留まっている梱包なら、パーツを傷付けないように注意しないとね!

指先にシリコングリスをひとつまみして、シールリングを4本まとめて、全周にクチュクチュと塗るだけ。
シールをセット まずは、奥側のピストンシールから4本を優しくはめる。

別に向きも何もないので、溝の中にスムーズに落着けばOK!

ちょっと、作業中にフルードが減ったので、再度注ぎ足しておきます。
ピストンを取付  
フルードを満たしたシリンダーにピストンを真っ直ぐに手で押し込めば出来上がり〜!

と、簡単に済ませると効果半減かな〜?
そこで、微妙な手順を念の為に‥‥‥

まず、2個を同時に入れるのではなく、1つずつ順番に。
それで、1つ目は、エアブリーダープラグから遠いシリンダー、すなわち下側から。
満々としたシリンダーにピストンを静かに押し込んでいくと、隣のシリンダーからフルードがその分溢れる。
この作業で、一つ目のシリンダーには、ほぼエアが無い状態となっているはず。
次に、同じく満々とした二つ目のシリンダーにピストンを少しだけ入れる。
その状態で、エアブリーダーが高い位置になるようにキャリパーを起こし、プラグを緩める。
フルードが飛散しないようにウエス等でガードした後、ピストンを押し込む。
これで、1つ目2つ目のシリンダー内に僅か残っていたかもしれないエアも逆流する事なく、ブリーダーから排出されたはず。
最後に忘れず、エアブリーダープラグを締める。
 
完成  
シール関連が出来れば、2ヶ所有るスライドピンやパッド周りの手入れを忘れずに実施。
組み上がったキャリパーをフロントフォークに取付け、レバーを数回握ってピストンを出します。
この時もリザーブタンクのフルードを切らさないように注意。

すると作戦通りに、ピストンがパッドに達するやレバーの握り代が発生!
ストロークの半分程は残っている〜
最後に、リザーブタンクの液面調整を兼ねて、エア抜き作業を実施。
予想通り2〜3度抜いただけで、エアも出なくなり、ガッチリとしたフィーリングとなりました。

無事終了!

最初から分かっていれば簡単な事です。
でも、仮に普通どおりに足元で作業をしたら?
中々、エアが抜けないな〜?って、それで、ワンマンブリーダーとかバキュームポンプとかガンバッテ‥‥‥
注ぎ足すフルードも尽き果て、何でやねん!?冷静になって、はたと気付いて後手後手ゴソゴソ対応する事となるに違いません。
そうなると、2倍3倍時間が変わってくるから〜
 
 
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