事例紹介
 
 DIYで作業をしていると、時として壁にぶち当たる事はありませんか?
 それは、作業手順がわからない(やり方が読み切れない)場合。
 また、作業に特殊工具や専用工具が必要とわかった場合とか。

 仮に、作業途中でそんな事にでもなったらくたびれ儲けもいいところ。
 元通りに組み直したり、ショップに引き取りを頼んだりって、ちょっと気恥ずかしいでしょ?
 そこで、何よりお勧めしているのが、機種に応じたサービスマニュアルの手配!
 いくら知識と経験が有っても、作業に際してのマニュアルは、必須というか最低条件です。

 でも、現実には、そんなマニュアルには決して書かれない方法も活躍中!
 そんな一例紹介ですけど、くれぐれも無理のないように〜
 誰もにお勧めしているわけではありませんので
 
 
  
テーマ
写真 内容
  
ベアリング交換事例
 
これは、何かわかりますか〜?

フレームのヘッドパイプを下から見たところです。
ここに、ステアリングステムが取付き、フロントタイヤが左右に向きを変えるんですね。
このヘッドパイプとステムシャフトの間には、上下2ケ所にベアリングが有ります。

というわけで、ステムベアリングの交換作業の一例を紹介

このベアリングがスムーズに作動しないと、当然セルフステアに悪影響します。
その結果、ハンドルの振れや取られ、酷ければ引っ掛かり等も起こりかねない重要な部分。

その重要性を知っておれば、この状態にはビックリ〜!
ロア側のアウターレ−ス表面がガタガタの写真です。
茶色いグリスではありません!錆びです!!

ロア側は、水がまわりやすいのか〜?
 
これをどうやって?  
そして、ステム側のベアリング本体がこれ。
ローラーもまっ茶色で、指で触っても回らない状態!
これじゃ、アウターレースもガタガタになるはず〜

下側のダストシールが消耗したのかな〜?

ところで、このロア側のベアリング
アッパーのベアリングのように、ポロッと簡単には外れない。
ステムシャフトにしっかりと圧入されているんです〜!

そこで、どうやって外すのかといった疑問が生まれるわけですね?
 
これが道具!   
ベニヤを敷いてステムを守っています
 
答えは、『こうやって外します』

否、『こうやっても外せます』が正解!
あくまでも一例ですから‥‥‥

では、続きを〜
昔なら立派な汎用工具って言えた?

 タガネハンマー登場!

○○とタガネは使いようってよく言ったものです〜?

何ともいい加減な作業をしているように見えるでしょうね!
進んで人前でお見せするような作業ではありません。
でも、しっかりとわかってやれば、何の問題もないって言うのが正直なところです。

でも、ベアリングプ−ラやギヤプ−ラのリーチの長〜いのが有ればそれがベストです。
 
お断り) アッパー組付け後のプリロード調整については、省略しています。各サービスマニュアルに基づいて実施して下さい。
 
交換だからこれでいい?  
 タガネ使用上の注意点

これに限らず、タガネの利用範囲は広いんです。
上手に使えれば、作業の幅が広がるのは間違いない!

まず最初に、
タガネを見ながらでないと手を叩いてしまうようなレベルの場合は、作業用の革手袋をはめて刃先に視線を集中させる。
(ツバ付きのタガネもあるよ!)
それと、安全メガネと周囲への気配り!

1)壊して良いものと良くないものをしっかりと区別する。
大胆にやらないと部分的に壊すばかりで、全体に力が及ばない。
部分的に壊す場合は、その逆でコチコチと
2)切るのか叩くのかの区別をする 
タガネを当てる角度によって、力の加わり方が変化するので、常にベクトルを考えて。
寝かせると削るようになり、立てると割るようになる。
力を伝えるならその中間で、硬度や剛性に応じて最適の角度を探す。
3)歯先を使い分ける
エッジや全体を使い分けるだけでなく、刃先の角度が鋭角から鈍角と、数種類のタガネを用意しておくとさらに便利。
 
後は、使い慣れることかな?
今の時代にって感じだけど、特に、ゴツイやつ相手には出番があると思うんだけど‥‥‥
 
ベアリング組付け 
 (写真なし)
 
取付は、新品ベアリングにしっかりとグリスを充填してから。
充填の仕方は、ローラーにグリスを塗り付ければ良いって程度ではなくて。
ローラーとキャリア、インナーレースの隙間にしっかりと詰め込まないといけないんです。
蛇腹入り等のリチウムグリスを手の平に大さじ一杯程取り、その端から少しずつベアリングでかき取るようにして擦り込みます。
ベアリングの口径の大きい方のインナーとキャリアの隙間から擦り込み、小さい方の隙間から溢れてくるまで。
これを全周にしますから、結構な回数と時間をかけて擦り込む事になります。

充填が出来たら、取付け。

取付は圧入ですから、専用のインストーラと油圧プレスがあればグッドですが、そうはいかない?
でも、これをドライバーやピンポンチでやるのは、まず無理!
そこで、適当なパイプを見つけて叩き込む事に。
その時の注意点は、パイプの直径!
この場合は、ステムシャフトとベアリングインナー間に抵抗が有ります。
その為、インナーレースだけを叩かないとベアリングに無理な力が加わり傷めてしまう。
そこで、内径何ミリ以上(ステムシャフトより太く)、外径何ミリ以下(キャリアに当たらないように)って条件の適当なパイプ探しを実施〜
普段からホームセンターの金物コーナー等で、1メートル長ぐらいのを色々買い揃えておくと便利かな?
パイプは、釣り竿みたいに収納出来るから、場所を取る事もないし。
結局、ステンの手摺用かハンガー用?薄肉ながらもしっかり打ち込めました。
 
この場合は?  
さて、次の事例は?
ホイールベアリングの交換作業の一例紹介です。

これも問題ありのベアリングです。


ホイールベアリングもとっても重要なベアリングですね!

でも、普段、不具合に体感出来るかどうかって考えると、答えはまず無理ってところ。
だから、こういった不具合も起きるって事を知って、機会ある時には点検を忘れずに〜

特に、走行距離が多い場合や雨の日にもよく乗る場合は、積極的に交換しても無駄ではないはず。
 
これは必要です  
ダストシールを外したら、
錆びに埋もれているスナップリングをスナップリングプライヤで丁寧に外す。
(普通は、こんなに錆びてなくてグリスに細かい土埃が混じったようなものです)
正確には、丁寧っていうよりも慎重に焦らずっていうか?
リングを摘みながら、円のセンターに確実に移動させないと取り外せません。

ちょっと浮いたからといって、ドライバーとかでこじても外れないから、しないほうがいい〜
基本的にスナップリングは、その都度交換。だけど割ピンとは違って、しっかりしておれば再使用する事も多いでしょ?
だから、丁寧に取外すってわけ。
それに、適当にやって、双方に滑り癖が付いてくると出来るものも出来なくなってしまう〜
だから、一度目から真剣勝負です。

ところでベアリングを外す順番は、反対側が先になりました。
その理由は、後でわかりますので〜
 
ここが狙い目!  
このホイールの穴からわずかに反対側のベアリングが見えています。

そこで、赤いシール部分をいらなくなった貫通ドライバー等で叩き抜くんです〜!

当然ながら、ベアリングは再使用出来なくなります。
 
打ち抜いたところ 片方のベアリングが外れ、ベアリングとベアリングの間に入っているディスタンスカラーもポロリと出てきます。
残りは簡単!  

 
アンカーには、色んなタイプ、サイズがある

片方が外れると、ホイールの穴が小さい側のベアリングも叩けるようになりました。
これで理由がわかりましたね!
ディスタンスカラーが有る状態では、叩く余地がない〜

でも、これは一例ですよ〜
ホイールの形状によっては、まったく変わってきますから‥‥‥
最悪の場合は、ベアリングを裏から叩く為の穴がホイールに全くない事も。
そんな場合は、、正規のベアリングプ−ラを使用するしかない?

でも、一つのセットで全てのサイズに適応出来るわけではないし、1セット1万円ぐらいはするよね〜

そこでっていうか、市販のアンカーボルト類をインナーにしっかりと食い付かせて、それを裏から叩き抜くって方法もあります。
1つ数百円ぐらい? 
取付は逆の順で  
ベアリングの取付は、取外しとは逆の順。

ホイールの穴が小さい方が先です。
そうすると、万一、どちらのベアリングを取付に失敗した場合でも、そのベアリングだけを外す事が出来ます。
しかし、逆の順の場合には、正常なベアリングが道連れに外される事になります。
 
まずはハンマー  
プラスティックハンマーで、対角に。
少し入りだしたら、出ている部分を攻める感じで、周囲を均等に叩いて取付けます。

この場合は、ベアリングアウターとホイールの間に摩擦があります。
そこで、ベアリングアウターを叩くとベアリングに無理な力が加わりません。
ステムの場合とは、逆になりますね!
 
ソケットも使いよう?  
ホイール面から奥への打ち込みは、ピンポンチとかを使って出来なくもないけど、作業性が悪くて大変。
それに、少し滑ってもベアリング部にダメージを与える危険性があります。

そこで、アウターとちょうど同じサイズのソケットってわけ!
普通のハンマーで、直接叩くと差し込み部を潰してしまうので、その場合はアルミとかの当て板を使用して。

もちろん、パイプでもいいです。
 
完成  
ベアリング全周がきっちりと密着するまで打ち込めたら、(ピッタリのサイズのソケットなら簡単に出来る)念のためにベアリングインナーを指で回してみます。
最初と同じフリクションでスムーズであればOK!
スナップリングを取付ければ1ケ所出来上がり。

左右組付けて、ダストシールを取付ければ完成!
 
 
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