事例紹介
 
 
  
カウルの凸部が路面と接触により樹脂が削られ繊維が毛羽立ち、取付部は砕けて破損しています。
(余談ですが、この写真しかなかっただけで、赤い車はこの破損とは関係ありません〜)

 バイクの修理で特徴的な事として、プラスチック類の修理があります。
 破損したら新品と取替えという事であれば、DIYでも簡単に新車然りとなって修理の悩みもありません〜!
 しかし、現実には、そうは問屋が卸しません〜というのは、新品カウルがめっぽう高い〜!!
 仮に、12Rの場合、アッパー、両サイドカウルの大物3点を交換しようとすれば、部品代だけで、20万円に迫る金額が必要です。
 それに、バックミラーやウインカー等の小物が加わわるとなれば、軽く20万円オーバーとなるわけです!
 若いライダーなら、
うっかり一転びで月給パー!!
 それも乗る以上は、承知の事と当り前にやってる人が‥‥‥身近には一人も居ません〜(笑)
 そんなに大金を掛けて直したとして、元と同じバイク?って考える回路があるようで〜
 と言う事で、この事例は、
ZX12Rが、そういった経緯を経て市販カウルにカスタマイズされた後に、さらに転けた(爆)
 この上は、旨味も何も選択肢は有りません〜
タダ直すのみ!!

 そんなわけで、とにかく直しましょ!(この事例は、プラスチックの中でもFRPカウルの修理事例です。)
 もちろん、
タダ起きただけでは納得出来ないでしょ〜〜♪
 だから、出来る範囲の事はやりましょう!
 
 それでなければ、「DIYガレージファクトリー」でやる意味が無いし、「TryR2」の楽しみも無い〜!!(どちらもBGM有り)
 
 カウルの修理や塗装については、他の事例紹介も参照して下さい。

 
 
 
  
テーマ
写真 内容

FRPカウルの修理
(12Rの市販品)
FRPが割れたヒビの部分は、グシャグシャと繊維が切れた状態になっています。
しかも、毛羽立って浮き上がった部分もある為、そのままでは、元の面と面一に補修する事が出来ません。

そこで、切れた繊維や砕けた樹脂の部分は、少し範囲を広げてリューターで削り取ってしまいます。

こうする事で、破損部分に確実に樹脂を充填出来るようになります。

これは、アンダーカウル破損部の一例です。
まずは、裏当て
樹脂が流れないようにカウルの角度を保持
両面の破損部を削った後、表にマスキングテープを貼った上で、裏当てによる補修をします。

この際、破損部に段差やズレ等の歪みが生じている場合には、テープでは修整出来ません。
そこで、添え木で面の出入りを揃えて〜と考える?
ところが、そうではなく、歪みが解消するまで削るのが正解です〜!
絡んだ繊維や割れの延長に有る見えないヒビ等、破損部の削り残しが有る為、応力が開放されずに歪んだまま残っているのです。

不具合部分を取除くと自然にピタッと位置が合ってきます。
樹脂が垂れないように表面をマスキングテープで閉じてから、FRPで補強します。
裏当ては、状況に応じて2〜3層以上で実施します。
FRPは、ポリエステル樹脂をガラス繊維で補強したもので、材料はホームセンターで買えます。
ポリエステル樹脂、硬化剤、ガラスマットの3点は必需品です。
樹脂は、長期保存すると固まってしまうので、補修には1kg缶が便利です。


 
次に表の修理 表側は、ガラスマットを貼ると仕上げ面が困難になる為、樹脂だけを充填し、仕上げはパテで。

裏面の作業と同時には出来ないので、樹脂は少しずつ何度も調合する事になり、器具の手入れ等、手間のかかる作業です。
樹脂を充填
充填された部分は飴色に見えます
凸部の裏当ては、一連の凹部という事もあって、一度にまとめてFRP補強が出来ます。
ところが、表面は、まとめてはおろか一箇所ずつでも樹脂が垂れてしまいます。

そこで、垂れるのは承知の上で、ベストな状態で保持します。
ところで、垂れた樹脂の始末が気になるでしょう?
でも、大した事はありません。
30分とか1時間とか経過の半硬化状態で、剥がして切取ればOK!
強いて言えば、必要な部分までペラペラとめくってしまわないように〜
仮に、完全硬化させてしまっても、綺麗な塗装面との密着力はないのでバキッと剥がせますが、簡単に上手くとはいきません。
最悪なのは、垂れたのを慌ててウエス等で拭き散らかす事!
こうなれば、硬化前に溶剤で綺麗に拭き取ってしまうしかありません。
微妙な角度に保持している状態で、そんな作業は危険です〜
 
余分を削り取る 余分の除去は、マスキング部分を含めて半硬化時点で大雑把に実施します。
さらに、完全硬化後に金属製のプラスチック用ヤスリ等(金属用でも可)で削って形を整えます。


この際、仕上げはパテでやりますから、削り残しよりは削り過ぎがベターって具合。
その理由は、以後のパテ工程では、サンドペーパーでの削りとなる為、FRPの凸は硬くて仕上げの妨げになるからです。
仕上げはパテで 樹脂の下地を調整後、ポリエステルパテ(厚塗りパテ)で面の仕上げと成型を行います。
パテ削り サンドペーパーの#300、#600と面を仕上げるつもりで研ぎ進めます。
細部のアップ この段階での破損部のアップです。

まるでガタガタの傷口のように見えますが、手で触るとツルツルです!
白く見えている部分は、FRP繊維で表面には透明のポリエステル樹脂が覆っています。
水色の部分は、パテで、緑は旧の塗膜です。
さらに修整
この後、取付部のネジ穴をドリルで開けます
一度でパテを盛れない部分やピンホールに研ぎ過ぎといった手直しの為に、再度ポリエステルパテ(黄色)で補修します。

この際、同じポリエステルパテであっても製品の色を変える事によって各段階を見分ける事が出来ます。
その事で、ピンホールを埋め潰したり、確実に盛り足したりした状態が目で見てわかるわけです。

もし、この段階でも問題点が残れば、他に白や黒色がありますので、数種類を準備していれば便利でしょう。
ラッカーパテ(薄付けパテ)は、一液性で使い易いのですが、最後の最後の微細な補修に使う程度がベターです。
 
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塗装準備 傷や割れの補修に塗装は付き物です。
塗装面の足付けと脱脂、マスキングを確実に実施する事は、全てにおいて必須作業です〜!

これは、タンクカバーの例です。
裏側も塗装 裏も塗装となれば、手間と材料代が増えるのは当然ですが、仕上がりのクオリティが断然良くなりますので〜

塗装は、裏面から実施し表面で仕上げる順番になります。
アッパーカウル 燃料タンクはまだしも、アッパーカウル等では、どこまでが表って言えない部分もあるわけで、両面塗装がベターです。

大きな一体カウルは、木の補強と吊りバンドで安定させた上で塗装しています。
下塗り終了 下塗りをサフェーサーで実施し、微細な不具合が見つかれば補修します。

下塗りは、サンドペーパーで研ぐ事で、さらに肌理(きめ)の細かい面に仕上げる事が出来ます。
その為、スプレーの多少の粒等は、触らずに乾燥後の処置とします。
下塗りは、全体を2工程ぐらいで仕上げたいところです。
その為には、二度目に入る前にしっかりと不具合箇所を発見し処置しておく事が大切。
この際、サフェーサーで出来たピンホール等は、ラッカーパテで修整すれば作業が捗りますが、触り過ぎるとサフェーサーを溶かして荒らしてしまうので注意です〜

裏面、表面と工程を重ね、さらに各オープンタイムも取りますので、一日で簡単に〜とはいかないかも?
中塗り 中塗りは、ブラックマイカ色でイメージチェンジ!

ソフト99やホルツの補修ペイントから、好きな色をチョイスするのも楽しみの大切な部分です〜♪
中塗り完成 マイカやパール等のメタリック系には、上塗り(クリア塗装)が必要です。

この後、充分なオープンタイムを取ってから、2液性ウレタンクリアで仕上げです。


大きな一体型のアッパーカウルにフロントフェンダー、シートカウル、シングルシートカバー、さらにタンクカバーが2個(1個は、形状を変えたスペシャルで予備)
となると塗装中も養生時も、まるで一大イベントです〜
アンダーカウル アンダーカウルは、色を変えてステンカラー調に軽快なイメージにしました。
サイドのウイングも一人前に扱ってますから〜

スプレーなら色の切り替えといっても何の支障も無いようですが、お互いのミストが付着しないように養生には注意しないといけません。
 


完成

クリア塗装後に1週間程度の充分な乾燥硬化時間を取ってから装着しました。
不思議な事にふと気が付くとデミオと同様の配色になっちゃいました〜♪
と言う事は、高級車に相応しいカラーリングって事になる〜(笑)
これから艶が引けてる部分を磨いて、真実の完成です〜
単品ではフニャフニャだから磨いて壊しかねない(汗)
磨く分を見越して、厚みで勝負がポイントかも?

 
 
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