再生工程
  

前世は、どんなバイクだったのか?まるでツタンカーメンのマスクみたい〜
アッパーカウル

SSやレプリカバイクで避けて通れないのは、カウルの破損!
それに引き換え、ネイキッドで多いタンクの損傷というのは、案外少ないもの。
タンクを守る為に、アッパー、サイド、シートカウルって全滅するわけではないけれど‥‥‥

そんなカウル類は、純正ならABS樹脂製で結構粘り強い!
取付部等、力が集中してしまう部分が欠けるのは致し方ないところ。
でも、大きな面の部分なら、削れたり割れが走ったとしても、簡単に欠落したりはしない。
そこで、修理の話に
欠落して無くなった部分を復元するとなったら大変な作業だし、失敗する可能性も大きくなる。
しかし、削れたり割れたりという事なら、原型もある程度わかる上にとりあえず下地がある〜
やればわかるけど、この差はでかい!!
仮に、左右の片方が欠損したとすると
コンピューターの画像処理なら、残った方をコピーして取ってきてから左右反転を加えれば作れる〜
けど、現実の修理では、左は左、右は右〜 所詮は、あっちを見ながらこっちでゴソゴソ〜!
ポイントを何ヶ所も決めて寸法を測りながら成形しても、そのポイント間が、手探り状態なのは同じ。
そんなのきりが無いと言う事だが、それぐらい確信を得られない修復作業で有るって事!

ところで、用意されたカウルは、ツートンに塗り分けられたC型らしからぬマスク。
幸いな事に、歴戦?の傷は多数有るものの、欠損箇所は見当たらない。
こんなパーツが、ジャンク品という事で破格で流通しているなら、使わない手はない〜
もちろん、手間と技術が有れば! ‥‥‥それが REBORN のルール!!

これならスムーズに復元出来そうだ!
とは言え、現状の転倒傷だらけを中途半端な気持ちでは復元できないから〜(汗)
C型の魅力は、大きなライトが作るフラッシュサーフェスでプレーンな曲面とアグレッシブなエアインテークの絶妙な組合せ。
思いっきり綺麗な、世界で一番新しくて初々しいC型に REBORN させてあげましょう!
何かの縁で辿り着いたガラクタガレージ(涙)‥‥‥ところが、そこは幸運な事に、「DIYガレージ工房」でもあったのだ〜!
華々しかったか辛かったか?この際、前世の記憶は、一切白紙に戻して
‥‥‥新たなライダーとの新しいバイク出(船出)を目指そう!!
 
<問題部位クローズアップ>
割れるでなく鼻面だけを削り取られている〜
一体、どんな転倒をすれば‥‥‥?
わかってはいるけど、アップで見たくない部分〜
深い傷、細い傷、砂が食付いたピンホール!
凸が綺麗に削れた左サイドのグリップ部
割れてはないから純正カウルは強い!
カウル裏側には、綺麗?な修理痕が遠慮なしに‥‥‥
ミミズ腫れは仕方ないけど、ピシピシ音が出るのは〜

表を拭き拭き点検を終了〜 で、裏に目をやると‥‥‥
 
ABS樹脂の修理は、割れの場合なら溶着させるのが、一番簡単で確実な方法。
これは、ABS樹脂にかぎらず、いわゆるプラスティック全般にあてはまる事。
同一の樹脂同士であれば、端切れを溶かし足して補強する事も可能。
だから、樹脂の種類の記号表示とかも、普段から意識して見るように習慣づけておきましょう!
例えば、ABS、PP、PE、PS、PVC、PC、EP、PET‥‥‥etc.
そして、溶かし方については、熱で溶かすのだが、電気ゴテの容量の大きい物を使用する。
もし、ハンダゴテなら100Wが最適!
それは、アッパーカウルは、他のカウル類と比べて樹脂の厚みが大きい。
正面で風圧を受けたり、スクリーン、ヘッドライトや他のカウルの拠り所となってなっているからか?
特に、補強の意味でリブ状となっている縁の部分では、5ミリ以上もあろうかって感じ!
だから、コテのW数が小さいと奥まで溶かし込むのに、時間と力を相当使う事になり作業が捗らない。
もちろん、破損の程度によって変わってくる事であって、60や80Wが使い物にならないわけではないから、念の為。

次に、溶かし方で重要な点は、表面ではなく断面をしっかりと溶かし合わせる事。
これは、わかっていても、ついつい出来ていない場合が多いので、敢えて念押し〜!
実際に、コテを破損部に当ててみると、ツルっと溶けて表面が綺麗に均せてしまう。
その為、ついつい表面を撫でるように、いきなり均しにかかってしまうのだ。
特に、割れが表裏のどちらか片面で止まっている場合は、なおさら、そうなり易いはず。
しかし、表面が均され、仮に、肉盛りまでされていたとしても、内部に破損部が残る以上、ピキピキ音が出る状態という事。
だから、まずは、しっかりとコテを沈み込ませて溶かし合わせ、表面を均す事を最終の作業としなければならない。
それさえ意識してやれば、以下の作業は、簡単な事かもしれない?
でも、決して、「REBORN なんて大袈裟な〜!」 って思わないで‥‥‥

きっと、見るとするとでは大違いって事が有るハズ〜!
だから、自分自身で、愛車の修理にチャレンジする〜♪ その時まで REBORN の意味は不変!!
 
細部まで入念に点検し、ヘアークラックも見落とさずに拾い出しておく
とにかくすぐにマーキングし、他と合わせてしっかりと溶着で修理
目に見えないようなヒビでも、塗装後にはくっきりと目立つ存在になるもの
多少のペイントが混ざろうが、深く溶かし直せば、しっかりと接着出来る
元々の修理痕には、手付かずの細かなヒビが四方に走り、広い部分を溶かし直す事に
ところが、その範囲外に新たにヘアークラックを発見!やけどの範囲はさらに拡大〜
ヘッドライトの取付け部は、グラスウールとパテで修理されているが、小汚いって感じ〜
力を加えるとピキピキと音が出るぐらいで、見た目同様の大雑把な修理具合
グラスファイバーの浮き上がったような部分は、リューターで全て削り落とし
ABS樹脂の端切れを溶かして、取付部の周囲をガッチリと補強
ミミズ腫れの補修部分は、表面だけを溶かし合わせたぐらいの強度しかない
そこで、裏から表に達するぐらいに深くしっかりと溶かし合わせてから均す
樹脂の溶着で強度が回復すれば、次はパテ補修
ポリパテ(厚付けパテ)で肉盛りをしっかりと
鼻先は、2回のパテ盛りでも綺麗に成形出来てない〜
内部のスを無くそうと圧力を掛けると盛れないし
コテ溶着、パテ盛りと全体の修復が、ほぼ完成状態に
コテ部には厚めにパテが残る (カーソルで元の写真)
最後の仕上げに、ピンホールを黒いポリパテで潰す
盛らなくても良いのに、曲面だから残ってしまう
鼻先の仕上がりをサフェーサーでチェック 厚塗りパテの為、養生期間を取って最終チェックへ
最初のサフェーサー吹きで、パテ補修以外の微細なキズも消去〜(でもまだ下地!)
ここまで、まんだら模様ばかり眺めていたので、C型の綺麗な面にうっとり〜


各再生工程一覧へ 戻る


Copyright  2001-2009  Makoto Nagai. All rights reserved.