壁まわり



 

浴室出入り口と相対する大きな壁面には、鏡とタオル掛けが無造作に取り付けられている。
この壁は、RC造の躯体の中に積まれたCB造だが、隣接する部屋は無くインナーテラスとなっている。
その為、背面は外気と接しているわけだ。
ところが、外断熱はおろか内断熱も無い!
タイル部の壁の構造は、外から順に、
ボンタイル吹付け→モルタル→CB→モルタル(分厚い)→貼り付けモルタル→タイル
プリント合板部は、同じく(略)→CB→胴縁→プリント合板
その2種類の仕上げ部が面一となっているわけで、タイル下地のモルタルの厚みは3センチ程ある計算。
こんなコンクリートの塊の様なものが、外気と接しながら脱衣場で一番の存在と主張している。
ただでさえ冷たい印象のタイルが、本当に冷たいのだから想像するだけでクシャミが出る。
もし、これが蓄熱壁として作られていたなら、さすがはRC造と感心もするのだが、実際は最強の冷輻射器!
風呂もそうだが、洗面所のリフォームにおいても、設備の更新とともに住環境の改善が重要なテーマ。
ごつくて頑丈な躯体だけのような建物の性能を今日的な考えで更新させる。
それも、浴室暖房や床暖房、エアコンなどの設備に頼るのではなく基本性能を高める事で!
煩わしい操作やメンテナンス、故障などは、高齢者が暮す住宅においては要注意部分である。
今まで使ってきた、例えばヒーターや扇風機といった物が、最も安全でストレスなく生活できるのではないか?

 

<補足説明>
RC造 鉄筋補強コンクリート造の略
CB造 コンクリートブロック組積み造の略
インナーテラス 中庭(インナーガーデン)とは異なり、躯体(構造体)内に設けられた半戸外空間。
外断熱 建物の外側を包み込むように断熱材でカバーする為、構造体は室内の熱容量となる
内断熱 建物の内面で断熱する為、室内の熱容量は空気と僅かな仕上材となるが、一般的には、構造内(壁、床、天井)
へ断熱材を入れる場合(充填工法)も含めている為、木造の柱等も熱容量に含まれる
蓄熱壁(体) RCや石、レンガ積みの様に比熱の大きい蓄熱体を各種エネルギー源と組合せ、温熱、冷熱に活用する事でマイルドな空調を得られる。(例、パッシブソーラー:壁や床を蓄熱体に用いて太陽熱、地熱、対流を活用したもの)
冷輻射 輻射暖房の赤外線がポカポカと温める事に反対の意味での表現で、冷たい窓辺のヒンヤリした感じ等で用いる
注)以上は私見につき、正しく知りたい場合にはご自身でお調べ下さい。

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