エンジン

 
   
   水冷式2サイクルVツイン 

   45PS/9500rpm  3.9kgm/8000rpm 
    
   キャブレターは、アマル式のビッグボア 34φ(SP以外は32φ) 

   そして各メーカーが競い合うパワーデバイス、排気バルブは全域補正! 
    
   クラッチは、マニア垂涎の乾式多板式 ! (SP以外は湿式多板) 
    
   ミッションは、レ−スメンテに適応したカートリッジ式。 

    
   イタリアのアプリリアが、ガンマのエンジンを積んで70PS+αを絞り出しています。 

   それに対してガンマは、エンジン性能曲線図をみても、上で強く絞られているのがわかります。 

   とはいえ、4スト400並みの凄いパワーには違い有りませんので、ノーマルで充分です。 

   しっかりと、分解点検整備(OH)して新車時に一歩でも近付けたいところです。 

   もちろん、不具合が有れば直します。 
  
 


 
   
  
 取外したエンジンをプラスチックコンテナに載せています。 
 回転台を置く事で、さらに作業性アップ!? 
 でも実際のところは、下側ヘッドが邪魔〜! 
 Vバンクの上側のヘッド、シリンダーを外しています。 
  
 
   
 取外した シリンダーのキズや磨耗をチェックします。 
 排気ポートが2、掃気ポートが5の計7ポートがずらり! ポートまわりのメッキの剥離やカジリを重点的に〜 
 
  
 ヘッドは、ドーム型で中心にプラグが配置されています。 
 いかにも燃焼効率のよさそうな究極の燃焼室です。 
  ウオータージャケットの中が虹色に光っています〜!? 
 まさかチタン!? 実は、ボロンメッキです。 
 スピーカーのツイータ−でも使用される高硬度金属です。 
  
 
  
 ピストンの付いた状態で、ピンまわりのガタをチェック 
 キズや磨耗もチェックします。 
 とっとこバラして洗浄していく前に、元の状態(錆び付いていたら仕方ないですが)での作動確認と外観検査はしておきます。 
 作業を急ぐあまりに、重要な情報を失う事になりかねません。 
  
 
  
  
  
 ピストンまわり、リードバルブもしっかり点検清掃 
 パーツクリーナーでラフに洗った後の写真です。 
 リードバルブは、全周が均等に密着するように1枚づつしっかり掃除。 
  
 
  
 これが、ハイテク(排テク)の排気バルブの作動室です。 
 かなりのスラッジが付着しています。 
 これでも、ラフに洗った後です。 
  
 
  
 排気バルブの作動の様子です。 
 ガイドに沿って、重なった2つのバルブがスライドします。 
 バルブ先端は、全閉時にシリンダー面と面一となってポートタイミングを決定しています。 
 閉じている状態(低回転軽負荷時) 
  
 
    
 開いた状態(高回転高負荷時) 
 一番手前の綺麗なバルブが全開して、奥の汚いバルブが良く見えます。 
 これは、ちょっと手強そうな‥‥‥ 
 
  
 排気バルブを分解します。 
 取付けネジにネジロックが塗られている為、ショックドライバーを使用します。 
  
 
   
 エンジン分解点検の為、事前に用意したパーツは? 
 ヘッドガスケットとベースガスケット各2枚だけ!? 
 後から、色々と必要な物が出てくるんでしょう‥‥きっと! 
  
 
  
 単に整備だけじゃ〜夢が無い! 
 えっ!掃除だけでもいいつもりだったんじゃ〜!? 
 ポート内を研磨してるけど、掃除の範中でしょう? 
 これは、排気ポートです。 
  
  
  
 こちらは、掃気ポートです。 
 各ポート内の四隅は、特にバリが多いので入念に。 
 でも、ポートタイミングは変えておりませんので、吸入抵抗の低減程度の効果でしょうか?(いわゆる自己満足) 
  
 
  
 燃焼室のカーボンは、綺麗に掃除します。 
 外面のプラグ取付部もネジ部同様、忘れず掃除します。 
 結構なスラッジで放熱やアース不良になっています。 
 肝心のプラグは、後で取替えます。 
 理由は、元の焼け具合を見てから〜? 
 標準でいいでしょ?  単に買って無かっただけです〜 
  
  
 
  
 コンロッド、クランクの点検をします。 
 いわゆるガタのチェックと、回転時のスムーズさをチェックです。 
 問題なければ、クランクケースは割りません! 
 無意味な分解は、手間が増えるだけの事ですね!? 
 いかにチャレンジャーといえども、リスクも天秤にのせて〜! 
 でも、勉強したい場合は御自由にどうぞ! 
  
 
  
 分解しない代わりにスーパーゾイル(金属改質性潤滑剤)! 
 コンロッド大端部にチェーン用の高粘度タイプをブシュ−−! 
 シャフトを回しながら全周たっぷりと 
  
 
  
 これは、オイルホースを外してそこから、同じくブシュ−−! 
 クランクシャフトのジャーナル部です。 
 2ケ所ありますが、これもクランクシャフトを回しながら   
 
     
  
クランクの他の組付けには、スーパーゾイルのボトルを使いました。 
オーバーホ−ルでは、各部クリアランスと締付けトルク管理、そして整備後の洗浄が重要です。 
そして、初期馴染みを助ける?スーパーゾイル! 
普通の2ストオイルでいいんですけど、夢が〜!! 
 
 

 
  
   エンジンはVツインという事に加えて、一つは下側に出ている〜! 

   その為、台の上で上品に分解とはいきません。 

   作業中はコンクリート床の上にござを敷いて、寝かしたり、立てたりと‥‥‥一人で持てる重量でやれやれ、でも足腰が〜 

   今回は、不具合が発生して分解しているわけではありません。 

   いわゆる腰上OHっていう事になりました。 

   ただし、クランクまわりにはスーパーゾイル(金属表面改質性潤滑材)を注入し(効果に期待〜!)ごまかし気をつかっています。

   もし、何ごとも無ければ、各種ブラシとスクレーパー、ケミカルをフル活用しての大掃除リフレッシュ作戦って感じとなります。 

   スラッジを落として、各所計測(内径、外径、合い口、隙間、厚み、振れ、‥‥)、パッキン、ガスケットを削って〜 

   残る作業は、排気バルブの洗浄と、キャブと乾式クラッチのOH、‥‥‥ミッションはカセット式なんで走行テスト後までパス!? 
  
   取り敢えずは、オイル交換で充分でしょう! 
   
 


 

  
分解した1シリンダー分の排気バルブです。

果たして、これの点検整備は如何に〜?

ちょっとマニアックな内容ですので、別ぺージに分けています。 
  
排気バルブ編へ
 

  
 ラフ洗い後のキャブレターです。 
 
  
キャブレターのジェット類の清掃にとても重宝します。 
 
  
 髪の毛程も細いのに、しっかりして汚れを削り出します。 
 太いものは、ギザギザ加工がしてあるので、サイズを選んで数回こするだけで綺麗に掃除出来ます。 
 
  
 仕上げには、キャブクリーナーを使います。 
 物理的な清掃で、完全な掃除は難しいものです。 
 まして、見えない程の穴の中や通路の奥等‥‥ 
 これにたよるしかありません! 
 いろんなタイプが有りますので、試してみて下さい。 
 
 
 忘れがちな部分が2ケ所有ります。 
  
 これは、フロートチャンバーの底です。 
 1ケ所目は、右寄りに見えるパワージェット! 
 キャブレターOHといえば、本体側は、外せるものは全て外し、穴という穴は、開いていない物も開ける程に突き‥‥ 
 ところが、フロートチャンバーは、スラッジを擦り落としてお終い〜!? 

 だって、ドレーンとオーバーフローしか付いて無いじゃん!? 

 まさかこんな所に、ジェットが有るなんて〜! 
 確かにパワージェットは、付いて無い方が多いと思います。 
 大体、パワーバルブ系統は、後から付け足したような補正機構ですから、スペース上や加工上の問題でこうなっているんでしょう。 

 でも、ドレーンにしろ、詰まりで緩めてもガソリンが出てこない場合は、ドレーンを外す事となって、作業性の悪さに大変困る事になります。 
 オーバーフローが発生した場合に、ドレーンを緩めガソリンを抜く事で、フロートバルブの密着が回復する事もあるんです。 
 まして、オーバーフローパイプも詰まっていたら、シリンダー内にガソリンが流入する事になります。 
 マルチシリンダーなら、知らぬ間に1気筒を壊してしまう可能性が‥‥ 
 やはり、取外して突いて下さい〜! 

 で、パワージェットは、高負荷時に燃料を増量する役目ですから、詰まってても普通に乗ってたらわかりません〜! 
 ところが、すっかり牙を抜かれた状態なわけです。 
 

  
 2ケ所目は、スロットルバルブです。 
 強制開閉式では、スロットルワイヤーにつながっています。 
 そのため、取付時までそのままで放りっぱなし〜! 
 でも、キャブレターの中では、最も重要な部品です。 
 特に、ジェットニードルは、メーンジェットと1対の物ですから、曲げたりすると大変です。 
 もちろん、カーボンとかも付着していますので、優しく掃除します。 
 また、スロットルバルブの磨耗やキズが結構有るもんです。 
 そこで、本体側とあわせてよ〜く点検。 
 問題がないようなので、ゾイルを付けて摺り合わせることにします。 
 
  
 キャブレターの燃料パイプ(L形に上を向いている)にストレーナーが差し込んでありますので、汚れを掃除しておきます。 
 いよいよ手入れ完了です。 
 
  
 忘れないうちにプラグ交換。 
 手元に白金プラグが有りました〜! 
 TZRに、イリジウムを付けた時のあぶれもの? 
 全く同じ品番で、これはいいじゃん! 
 確か、1000kmも走ってないはず? 
 
  
 乾式クラッチのOHです。 
 カバーを外してもオイルが出る事も無く、パッキンも無く楽チン〜! 
 
  
 しかし、その分中身は‥‥‥? 
 まるでクルマのような気合いの入った汚れ方です。 
 
  
 プレートを点検清掃します。 
 ひととおり目視チェックした後で、パーツクリーナーで清掃します。 
 そして、徹底手入れに入ります。 
 
  
 スプラインには極薄くモリブデンを塗って摺り合わせ。 
 歯ブラシに薄くグリスを付けて塗ると便利です。 
 乾式ですから、ブレーキと同じで摩擦面に脂っ気は禁物! 
 
   

 SPのチャームポイントです。
 
 折角ですから、エンジン唯一の化粧直しとして、フレーク風塗装しました〜!

 能ある鷹は、爪を研ぐ!! (何か違った?)

 

 

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