DIYでもそれらしく作るには?  


プロの仕様に倣う

DIYの良さって、思うがままの自分仕様のはず〜 なのに、プロの仕様にならうって?
その理由?簡単に言えば、繰り返す事になるんだけど、それなりに作る為の近道ってことでしょうか?
一言で言うなら、お金を取ろうとしているプロがわけのわからない物を作らんでしょう?
てな感じでスタートしましょう!

先の「調和の取れたデザイン」で、色んな素材や方法の中からベターな物を選択する必要性について述べました。
ところが、その選択において注意しなければならないポイントがあります。
それは、いくらそうやって説明されても、やはり、実力以上の部分は考えが及ばないって事なんです。
当り前って叱られそうですが、勉強ですぐに身に付けば苦労は無いって‥‥‥
そこで、より良くする為の近道として、あえてプロの仕様をよく見て下さいってわけです。
一口にプロと言っても、それは幅広いものですから、当然やり方も色々あります。
予算にまかせた贅沢な物から、取りあえずって条件での物もあるでしょう。
さらには、自分の得意な部分で押し通した物も?
要するに、選ばないといけないわけね!
いいな〜って見とれてしまうようなものをじっくりと観察。
大切な点は、自分で作るとして見つめてみる事。
どういった順番で作ったんだろう?とか、どうやって固定しているんだろう?とか
作業中であれば、どんな材料や道具を使っているのか?とか、何人で何日ぐらいかかった?とか
そういった中で、適切な構造や必要な材料に道具、加工の仕方や作業の手順が見えてくればしめたもの!
後は、自分に置き換えてみればよいわけです。
材料が手に入るか、道具は買い足さないといけないか、費用はどのくらい掛かりそうか、時期はいつ頃がベターか等々。

ところでキットや既製品を組み立てたり、取り付けたりするのも広い意味では、プロの仕様に倣っています。
工場で品質や性能を作り込まれているわけですから、適した物があればいうことありません。
施工マニュアルまであるんですから〜 それも当然DIY!
プロでも、アルミ屋さんが塀や門柱を作ったり、造園屋さんがウッドデッキを作ったりと既製品を上手く活用していますし、大工さんもキットの組立屋さんになりつつあるのかもしれません。
いやいや、これじゃプロの仕様に倣えって部分を既製品に倣えって言い換えた方が良さそうですね?

今は、ホームセンターやネットショップ等で色んな物が手配できますし、必要な情報も手に入ります。
既製品を上手く使う、その選択や組み合わせ、さらにはアレンジを加えてみる。
そういった事でも、DIYらしさや個性を充分発揮出来る時代ではあります。
まずそこから考えてみて、ダメなら完全オリジナルにチャレンジ!

さて、具体的なところに話を戻して、例えばサンルームを考えてみましょうか?
サンルームといえば、もちろん各種既製品が発売されています。
サッシメーカーやエクステリアメーカーなど、共通しているのはどちらもアルミの製造やアルミ材加工メーカーである点。
既製品のサンルームは、光いっぱい開口いっぱいの半戸外的な開放的な空間として作られているようです。
さらに、もっぱら後付用ですから寸法的にも小さいものが基準になります。
そこで、構造的にも簡単で、耐候性に優れたアルミやガラスが主となる構造が一般的です。
初期は、まさにサッシの組み合わせみたいで、潤いに欠ける温室的なデザインばかりでした。
ところが、最近では、サッシのカラーバリエーションや開口部材も多様化し、個性を出せるようになってきています。
ウッドやウッド調のも色々登場してきましたし、コンサバタリーって呼ぶほどのオシャレなものまであります。
しかし、どれも居室として、その特性を活用出来るまでには至りませんし、デザイン面での建物への一体化は無理な要求です。
また、それ以外にも3方ガラス張りでは、プライバシー確保や防災面でも不充分かもしれません。
この辺りが、既製品のレベルってところでしょうか?
それでも、建物に溶け込むデザインではなく、総ガラスのいかにもサンルームが付いてます〜っていうのが良くて、しかもプラスアルファ−の部屋として割り切って使えるなら‥‥‥
既製品を選んで取り付ければ、完成はもちろんの事、それなりに性能や価格まで保証されたようなものです。

既製品のサンルームの特徴は、耐候性に優れた主材料の特性に大いによります。
日射によって熱しやすく、そうでなければ冷めやすいという、その熱容量の小ささにあります。
冬は、陽射しによってポカポカとすぐに温まり、夏の夜は放射冷却でさっと涼しくなって〜
そして、いかにもプラスアルファ−の部屋っていう開放感から生まれる、ゆとりの空間。

しかし、そのままでは、逆の部分がマイナス面として大いに問題になります。
夏は暑く、冬の夜間や日射のない時は寒くて居室になりません。
そこで、そのマイナス部分を改善する事が、DIYのテーマになりうるわけです。
メーカーも手がけていないわけではありません。
居住性改善の為に、オプションやグレードを上げたりと対策を実施しました。
ところが、手を入れ高価格になるほど、サンルームらしくないおかしな物へと変化したのです。

そういった事を研究した上で、オリジナルにチャレンジするとしないとでは、デザインを含めた設計の裏づけに大きな差が出ると思いませんか?
何か回り道みたいだけど、そのプロセスによって、既製品の良さが自然と取り込まれてくる。
その結果、わがまま仕様でありながらも、それらしい物となるに違いない〜
仮に、結局は考えを切替えて、既製品を取り付けるとなっても決して無駄ではないと思います。
種々検討した結果、目的を既製品に合わせましたって‥‥‥これなら失望も不満もない?
言い換えれば逆向きに合理的な設計をしたようなもの‥‥‥しかも品質性能は保証付き!

結局のところ、同じような話の繰返しのようですけど、それだけオリジナルは難しいってことかな?
い〜え、こういったプロセスを経過していけば‥‥‥‥‥‥‥‥(先は長そう?)
きっと、「DIYでもそれらしく作る」事が出来ると信じて書いているんですから〜〜
 
2005.01.31
 
Copyright  2001〜2005 Makoto Nagai. All rights reserved.




合理的な設計

DIYであっても、プロの仕様に倣ってみる意味をわかっていただけたでしょうか?
見た事もない物を作れないっていうより、よりレベルの高い物を知っておくのが大切!
そして、結果的に既製品でいいやってなった場合も決して敗北ではないと‥‥‥‥
それは、逆向きに合理的な設計をしたようなもので、それらしくなる保証付きって事!

では、不幸にして、じゃなくて果敢にもオリジナルへのチャレンジの道を選んだ場合は?
予想どおり、さらに留意しなければならないポイントが、次から次と‥‥‥‥
でも、既にステップは確実に上へと向かっています。
ここまで来たら、楽しく先へ進めましょう〜!

さて、オリジナルを目指すって事は、DIYを100%楽しめるって道!
例えるなら、出来上がったラジコンで遊ぶのではなく、プラモデルを組み立てて遊ぶでもなく‥‥‥
素材から作り出して遊ぶんだから〜!
だからって遊び過ぎるのは、それらしくって面では考え物?
余暇を活かした楽しいDIYは、その反面、子供じみた印象を与えかねません。
ここにちょっと細工をして‥‥‥余分な物が本来の姿を見えなくしてしまいます。
DIYですから、遊び心も大切ですが、自分の悦に浸り過ぎは禁物!

さらに、無駄の無い優れたデザインだとしても、機能がマルチ過ぎるのも困りもの。
例えば、十徳ナイフにコレクションテーブル‥‥‥
十徳ナイフって、どれも使いづらくて、一徳にもならないから畳んだまま錆び付いたり〜
テーブルは、コレクションが溢れるのは確実、しかも、掃除とかで動くたびに倒れたり〜
本当に必要な目的に的を絞って、シンプルにすれば美しく見える。

そして、デザイン全体のバランスを取る。
アンバランスやボトルネックに代表されるような一貫性の無さは、無駄の原因です。
先に「調和の取れたデザイン」って話しましたけど、これは、もっと小さな部分の話。
使用する素材のグレードや構造面での強度や耐久性のバランスとか。
仮に2〜3年の使用目的に、10年〜20年もの耐久性がある材料では、オーバークオリティーかもしれません。
例えばベビーフェンスなら、転用や材料の再利用の事まで考えておきたいものです。

DIYで合理的に設計されたオリジナルって物は、言い換えればさらに可能性を秘めているって事!
合理的な設計で素材を無駄なく使用出来るだけでなく、作品自体に発展性や素材の可能性がある。
しかも、再利用まで計算ずみなら、楽しんでも楽しんでも無駄が無い!
もちろん、手っ取り早くいい加減な物を作れってんじゃなくて、目的に応じて無駄なく設計って事。
オリジナルの物をより多くの要素でレーダーチャート分析し、無駄なくバランスを取る。
ところが、その要素が欠ける事で、後々に予期せぬ不具合や不評を招くものです。
その一つ一つの要素を知る事は、素材を選択したり構造や工法を決める上でとっても重要です。
それでは、より良いオリジナルを目指して、さらに掘り下げていく事にしましょうか?
 
2005.04.14
 
Copyright  2001〜2005 Makoto Nagai. All rights reserved.




材料の選択

DIYにおいて、最もメリットとしてあげれる部分は何かと言えば、材料に奢れる点です。
自分で作業をするから材料代以外に費用がいらない!
これは、誰もが納得のDIYならではのメリットに違いありません。
だから、作業工賃の浮いた部分を材料代金にまわす事が出来る。
とは言え、同時に手配できる材料が制限されるのもDIYならではの難しい部分。
こういった状況の中で、人それぞれのレベルに応じたDIYがなされている。

さて、そんな材料を生かすも殺すも使う人、そうDIYer次第!
いくら高い材料を選んだとしても、使い方を間違っていれば、期待した効果は望むべくもありません。
思ったように使えなかったり、いくらも経たない内に駄目になったり〜
そこで、重要になってくるのが、適材適所って知識!

適材適所は、材料を選定するに際しての最も重要で基本的な知識です。
そして、基本的であって、なおかつ、合理的な考えであるといえます。
基本的と書けば、とても簡単そうに思いがちですが、そうではありません。
世の中の数ある素材や製品に対して、その特性を理解しなければならないわけですから。
ただ、その知識を素直に活用出来れば、無理のない合理的なプランに近付くのは間違い有りません。

「目的(創作、使用)や条件(環境、要求)に最適な特性の物(材料、製品)を使用する」
一言で言えば、それだけの事!
ところが、それすら難しい!
ましてや、奇をてらったり斬新な出来上がり等を目指そうとするのは無謀です。
DIYerには、実験施設もサンプルを作る余裕もないのが普通です。
それを敢えて、非常識な材料で挑戦するとなれば、相当な覚悟で臨むしかありません。
一般にお目にかからないような材料の選定では、それを使いこなす高度な知識と技術が伴わなければ、ろくな物、すなわち、それらしい物にはならないわけです。

では、実際には、どうやって材料を選定していけば良いのでしょうか?
それには、先にあげた2つの要素「目的や条件」と「最適な特性」をしっかりと研究することです。
目的では、「5W1H」によって細かく分析しましょう。
5W1Hとは、「Who,When,Where,What,Why,How」
「誰が、いつ、どこで、何を、何故、どうやって」のことです。
DIYしようとする事について、こういった角度から出来るだけ細かく分析します。
当然、これまでにも目的なんて考えてはいるはずです。
それを、さらに具体的な材料の必要要件として、把握し直してみるわけです。
「家族皆が使えるように」であれば、「子供の背丈は、力は?」って風に具体的に。

次に、条件では、物理的な面だけではなくソフトな面の分析も必要です。
「屋外で」とか、「大きな力が加わる」とかハード面を具体的に分析する事は、当然に必要です。
しかし、それだけでは不十分なのです。
「関連法規に適応した」とか、「周囲に迷惑を及ぼさない」といった要素も決して忘れてはならないことだからです。
もちろん、「自分の好み」とか「コーディネートする」等といったデザイン性もソフト面での重要な要素です。

そして、条件については、5W1Hにさらに1Hを加えて、「How much」の観点も必要でしょう!
「どれぐらい」とか「いくらぐらいで」といった、コストバランス面も無視出来ません。
高価な材料は、他よりも抜きん出た性能を得る為に膨大な開発費や貴重な素材の使用、さらには管理コスト(ライセンス料等やPR等の販売コストも)まで加わっている場合があります。
そこで、物にもよりますが、DIYerが使用すべきは、少なくとも一般に良く知れて普及したものということでしょう。
また逆に、「とりあえず応急処置で」といった場合にもこの要素は重要です。

以上の部分が言うなれば、設計上求められる要求性能って事になります。
材料選定においては、何よりもこの部分が重要なわけです。
後は、それに最適な材料を見つける作業だけ〜
同様の事例があるなら、実物や書籍等での研究は欠かせません。
単に、見よう見まねではなく、同様に分析し、自分のプランと比較してみるのです。
そして、同じく当てはまる部分、また、そうではない部分とそれぞれに応じて検討し、より良い選択を導きます。

そして、ある程度的絞りが進んできたら、詳細は、売場でパッケージ情報を良く見て比較したり、カタログで検討する。
もちろん、インターネットもフル活用でしょう?
特に、材木などの素材については、パッケージなんてありがたい物はない〜
しかも、材木といっても、とんでもなく種類もグレードもあるから。
だから、仮に、材木を使用するって決めてからでも、大変な選定作業が必要なわけ。
それを、疎かにすると、まさに不適材不適所状態で、すぐに狂ったり腐ったりする〜!

冒頭、「DIYは、材料に奢れる」とは言いましたが、これも程度問題、バランスが大事です。
高価な材料を安普請で殺してしまうよりは、粗末な材料でもタップリと手間を掛けて見違えるような仕上がりにする方が、DIY冥利ではあります。

要するに、繰り返しになりますが、材料を生かすも殺すも腕次第!
腕もそうですが、その前に適切な工法を見つけておかねばなりません。
材料の選択と工法の選定は、表裏一体2つで1つです。
商品のパッケージにも必ず、特性と使用法が併記されています。
誤った使用法であれば、材料本来の性能を発揮出来ないどころか、危害を生じることすらあります。

最後になりますが、呉々も、そこにある材料とか、たまたま安売りされていた材料といった次元で取り掛からない事です。
せっかくの貴重な時間と労力が、水の泡、否、それ以上にご自身の評価を失墜させる事にもなりかねませんから〜

「それらしく作るには?」いよいよ腕を磨くって領域に近付きつつあります。

 
2006.10.06
 
Copyright  2001〜2006 Makoto Nagai. All rights reserved.