耳寄りな情報
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 建物の外壁塗装やりかえについて  問題点や注意点等
色を変えるのが目的? 建物の性能を、維持回復させるための総合作業と考えて下さい。 
決して悪い部分、汚い部分にふたをする為では有りません。 

  1、建物の洗浄

下地に何も欠点が無いとしても、埃、汚れを落とすことは必須作業です。 
一般には、高圧洗浄(100〜150kg/平方センチ程度)がなされています。 
その際、特に汚染されたところは、事前に下処理が必要です。 
かび、藻、苔には、塩素系漂白剤でブラッシング、換気扇部の油汚れは、中性洗剤で。 
さらに、塗装の割れ、浮き、剥がれ、チョ−キング(粉が手につく塗料の劣化)がある場合は、下地調整が必要となります。 
劣化した部分をケレン(クリーンから変化した語)といって、スチールウール、ワイヤーブラシ、スクレーパー、ディスクサンダ−で削り落としたり、剥離剤と超高圧(300kg/)洗浄で剥がしたりします。 

 2、建物の補修

モルタル壁のひび、欠け、浮き、剥離やサイディング壁のコーキング目地のひびは、事前に補修します。 
新築後5年〜10年経れば、何等かの不具合があるのが普通です。 
モルタル壁のひびでしたら、開口部(窓など)の四隅、バルコニーや小庇まわりで見つかります。 
また、コーキングは、経年劣化しますのでひびが入っていて普通です。 

モルタル壁の浮きは、取り除いた上で下地の損傷を入念にチェックします。 
欠け、剥離同様に、下地の補修後、モルタル仕上げします。 

小さなひびについては、変性シリコン(POSシール)で補修します。 
一般のシリコンシーラントでは、油分が塗料をはじきますのでよくありません。 
サイディング の目地は、カッターでV字に切取り、同じく変性シリコンで再コーキングします。 

鉄部の錆は、出来れば地肌が出るまで削り取り、錆び止め塗装します。 
腐食部も取り去り、エポキシ粘土パテ等で補修します。 
    
 3、付帯物について

一般的に雨とゆ、手摺、玄関ドア、雨戸、戸袋、面格子、後付けバルコニー、テラス屋根は、検討されていると思います。 
しかし、換気ガラリ、換気扇ウェザーカバー、エアコン配管、アンテナ、リード線、ポーチ灯、インターホン等は、そのまま塗られたり(吹き付けられたり)、マスキングで塗り残されたりしている場合があります。 
やはり、上記同様に、塗る、塗らない、取り替える等を検討すべきです。 
壊れているインターホンを忘れていて、後で取り替えると跡形が出来た!ではもったいない。 
 

準備が何より重要 塗料を塗る作業は、最後の最後の作業です。 

外回りの片付け、植栽やペット(犬、鯉等)の扱い、車置場の確保、物干場の確保、ご近所へのお断り等の準備が、そのまま作業に影響し、仕上がりを左右すると言えます。 
片づけは、工事を発注してからするのではなく、見積もりを依頼する前にやっておくのが正解です。 
作業性の善し悪しは、見積もり時の雑工事等で影響します。 
口先で、『その日迄には、しておきます』よりも、現地調査時に目で見た事実が、より効果的なのは言う迄も有りません。 
正しい診断、見積もりがなされるために、呉々もお願いしておきます。 
 

色の選択 元と同じ色に再度塗り替える事が、無難な事は言うまでも有りません。 

  1、色サンプルについて

部屋の中で、紙に印刷されたカラーサンプルで選ぶのは、大変難しい事です。 
下地の種類(モルタル、木等)、光りの具合、周囲の色、塗り面積によって大きく印象が変わります。 
同一素材に塗った、出来るだけ大きなサンプルを、現場(屋外)で検討するのがベターです。 
配色については、コンピューター画面で検討するのが便利です。 

 2、アクセントカラーを加えて、個性化を図る

まわりの色合い(瓦など)による制約や、無難にいこうとの考えがあったとしても、折角の機会ですから、家族の意見や個性を反映させたいものです。 
もし、うまく子供の意見を反映出来れば、家に対する意識が、大人の想像する以上に変化すると思います。 
もちろん、家族みんなが、工事完了をを楽しみに待てるのは、言う迄もありません。 
ちょっとした部分でも、目に付く場所や特徴ある場所であれば、アクセントに出来る可能性が有ります。 
また、外壁を汚れの目立たない抑えた色調にする場合も、破風や軒先き、とゆや戸袋、格子等を明るい色にする事で、全体が暗くなる事を防げます。   
 

ちょっとした工夫 やりかえの場合は、それまでの状況を今後に活かす事が出来ます。 

 1、汚れやすい部分について

サッシの下、庇の脇、庭木の際、電線の引き込み部、リード線の取付け部、換気扇の下等、以前に汚れていた部分の原因を考えます。 
雨水が伝うたり、しぶきがかかり易い等、原因がわかれば対策を打てます。 

サッシの水切りや小庇の両脇に垂れじみがつくのは、雨水がそれらの側面から壁面に廻って、サッシや庇の汚れを流しているためです。 
庇や水切りの勾配が緩い程、水切れは、悪くなりますが、いまさら変更できない場合もありますし、多少のよごれは、承知の上の部分もあります。 
もちろん、程度問題で他と比べて特にひどい箇所の水切りに、大きく吹付けがかぶさり、有効でなかったりする場合もあります。 
しかし、それが実力であったとしても、小庇、水切りの左右両端に小さな立ち上がりを追加することで、側面や裏面への廻り込みを防ぎ、壁面の汚れを改善させる事も可能です。 
アルミの薄く小さなL字モールをコーキングで貼るだけです。 
この時、シリコンシーラント(コーキング)は、汚れをよびますので、少なく確実に塗るようにします。 
電線等を伝ってくる部分は、壁際で電線等にコーキングの凸をつける事で、そこで雫を落とせます。(ここまでするかどうかは、程度次第でしょう) 

換気扇については、水切り同様に油の垂れもありますが、煙り状の油が外気や外壁に触れて冷やされ、油として付着する事によります。 
ウェザーカバーを大きい物に変えたり、壁面にアルミやステンレス板を取付け、掃除し易くする事も出来ます。 

 2、左官むらについて

モルタル壁のコテむらは、つやなしにする事で、つや有りよりは目立たなくなります。 
厚吹きや凸凹塗装にすれば、さらにわからなくなります。 
 

塗装の不具合例について 一般の木造建築では、下地の不具合が直に塗装面に表れますので、塗装の不具合だけが、切り離される事は少ないと思います。 

しかし、これがRC造(鉄筋コンクリート造)となりますと、違ってきます。 
それは、RC自体の防水性から、無塗装の部分(庇や梁形、斜壁等に多い)が混在したりするため、塗装部に影響が出る場合があります。 
これは、防水と塗装の両面で考える必要があり、特に陸屋根式(ルーフバルコニー等の水平屋根)で要注意となります。 
庇上面の防水処理が無い状態で、下面に弾性塗料を塗りますと、裏水で(内側からの水蒸気が抜けずに)ふくれが発生し、剥がれます。 
エマルジョンタイプのように、湿気を透す塗料にする方法もありますが、上面を防水仕上げ、垂直部は、平滑塗装で水切れを良くする方法が良いと思います。 
要するに、防水と塗装を同時に診断(防水の方が大事ですが)して、検討して下さいと言う事です。 

この裏水については、塀や花壇等でも生じます。 
 

工事に際して 塗り替えましょか?ではなく、まず、家の健康診断を実施してもらいましょう。 

塗装は何より下地が重要です。 
下地処理をどのようにするかで、塗装の出来映えと寿命が決まると言えます。 
そのためにも、まずは診断です。 
そして、その結果の下地処理を簡素化すべきでは有りません。 
それらを含めた塗装の工程は、次のようになります。 

洗浄(高圧水洗浄)… 埃、汚れ落としで必須 
下地補修(左官、コーキング)… 建物本体の補修、必要に応じて 
下地調整(ケレン、フィ−ラ−塗装)… ケレンで荒らした下地を、平滑に整えます。 
下塗り(シ−ラ−塗装)… 防水性や付着性向上、吸込み防止、アルカリ絶縁(素地がセメントの場合)が目的。 
中塗り(複層塗料では、主剤)… 薄吹きのリシン等から、吹き付けタイル等の厚い仕上げに変更する際等で必要。 
上塗り(トップコート)… 見た目を決める着色層ですが、紫外線防御等の塗膜を守る重要な部分。 
この他に、仮設、足場工事、養生、付帯工事等の作業があります。 

以上が、作業ステップの概要ですが、洗浄と上塗りは、必ずある作業ですが、その他は、元の状況や新しい塗装の種類、予算によって様々に変わります。 
洗浄と上塗りだけで済む場合、多くの工程を、しかも複数回実施する場合まで色々です。 

一般的に厚い程、塗り重ねる程、耐久性が向上し、費用もかかります。 
塗料の種類では、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコンアクリル樹脂、フッ素樹脂の順で向上します。 
以上は、一般論ですから、特殊塗料や工法にはあてはまりませんし、建物との適性、デザインの好みで選んだ種類等によって、自ずと決まる場合もあります。 
 

DIYでは 以上、主に工事発注した際の事を書いてきました。 

もちろんDIYを否定するわけではありません。 
むしろ、5年程度で早めにDIYで実施する事をお勧めします。 
建物の形や立地、面積等で変わりますが、充分出来るものです。 
早めであれば、洗浄、上塗り程度で楽に済みます。 

工事発注する場合は、材料が高くても10〜15年塗り替えなくてよいものにしましょう。 

耳寄りな情報にしては、大作になってしまいましたが、10分の1も書けてるかどうか、DIYについては、別途、取り上げたいと思います。   
 

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2001.07.13

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