写真に秘められたコンビネーションの事実を紹介する

左サイドカウルの開口部からシルバーに光るラジエーターと冷却ファンが見える。
ラジエーターは、オールアルミ製の3層構造と大容量なレースバージョンのスペシャル!
その為、走行中の通風量を確保すれば、充分過ぎる冷却性を発揮出来る。
そこで、冷却ファンは、クールサイドにオフセットさせ補助的な役割を明確にしている。
そのファンブレードは、ラジエーターコアを削ろうかと言える程に密着。
大きな開口部と併せて、低速走行時や夏場の高温期にも充分な冷却性能を発揮するに違いない。

また、新しく設けられたカウル開口部から露出するのは、白いフレームスライダーとジェネレーター(発電機)。
ZX−9R C型以降のジェネレーターは、一般的なクランクエンドに直付けであり、バンク角の面では不利なレイアウト。
ただし、E型では、高性能磁石の採用によってスリム化が図られ、突き出し量は減少し‥‥‥

要するに、街中からワインディングロード、そして、快適な高速走行までとオールマイティーな性能を備えていると。
そんな雰囲気を感じさせているカメラアングルの中に、果たしてどのような事実が秘められているのか?

そこで、紹介するのは、スペシャルラジエーターではなく、付属の<電動冷却ファン>と<ジェネレーター>の2点。
ちょっと地味なパーツながらも、立派な COMBINATION という事ですから‥‥‥他の例とは少し違うかも?
COMBINATION は、アイデア次第で無限の可能性も広がる中で、大切なのは、如何に性能を保証するかという部分!
 
<電動冷却ファン>

レース用の3層アルミラジエーター(ノーマルは単層アルミ)は、厚みはあるけど上下の高さが低い(正面の面積が小さい)
その為、ノーマルのファンは完全に直径がオーバーサイズで、悩むまでもなく流用不可能。
そこで、探し出したのが、バリオス用!直径が小さくて、厚みも薄く、狭いスペースにピッタリって感じ〜!?
バリオス用の取付部をグイッと伸ばして、こんな感じ? ラジエーターに仮付けで‥‥ミッションインポッシブル〜!(汗)
ラジエーターのマウント位置を決め、エキパイを避け‥‥ スペシャルなラジエーターと共に COMPLETE !

<ジェネレーター>
これが、用意されていたE型のエンジンコンプリートながら、コンプリートでない〜!
写真で見ればわかるように、キャブレターの不備以外に手前のクランクエンド部が剥き出し!?
そうか〜ここには金目のジェネレーターが付くから、それは別売りされていたに違いない。
そこで、単品でE型用のローター、コイル、カバーの3点を手配してもらう事に〜
すると、これが想像以上に高価な代物とわかり、別なところで、ミッションインポッシブルとなっていた〜(爆)

そもそも、E型自体の台数が少なくF型を含めても、待てど暮らせどって感じらしい。
それで、エンジンコンプリートも含めて頑張ってはみたものの、ギブアップって打診が。
これぐらい新品を手配しても‥‥‥ローターだけで数万円するらしい(汗)

それならって事で、アイデアがピカ〜!で COMBINATION のスタート!

C型とE型とで、クランクエンドまで変わらないだろうと考え、C型を流用する事に決定〜!
C型であれば、予備パーツや予備エンジンがガレージに有るはずだから、待つまでもないぐらい〜?

そうと決まれば、作業はトントンと進むはず〜 ‥‥‥よもや、これが本当のミッションインポッシブルになろうとは(大汗)
 
C型とは言え、手元に有ったカバーはクラック入りの破損品
液体シールやエポキシボンドで処置も可能な程度だが
マグネシウム製のカバーをTIG溶接機で補修中
写真のとおり、鉄やアルミと異なる怪しい色が
次は、予備のC型エンジンからジェネレーターのローターを調達する。
その為には、センターのロックボルトを緩めた上でプーラーを使用して引き抜かなければならない。

さて、ガレージにある汎用プーラーは、当然ながら、どれもアームの先端の爪で引っ掛けて引き抜くタイプ。
いわゆる、ギアプーラーとかベアリングプーラー。
ところが、この爪がローターに上手く掛からない!
ローター背面の角は、僅かに面取りが施されエッジが無い〜 しかも、
ローターとクランクケースとの隙間が小さく(E型でローター幅を薄く改良しているぐらいだから無駄に大きいはずがない)、爪を薄く削らないと‥‥‥
しかし、この作業でプーラーを加工してしまうのは、どうも気分が乗らない?
と言うか、削っても失敗するっていう答を出してしまっているからか〜

その先に有る答は、当然ながらDIY!
プーラーを作るというのではなく、その爪の部分、要するにアーム。
そこで、適当な物を物色するが、薄くて強そうな物など有るはずが無い!
それで、とりあえずって感じで、羽子板ボルトで製作。
この程度のもので抜ければ、苦労はないんだけど‥‥‥

何もしないわけにはいかないんで、とにかく行動!行動しながら考える〜
 
建築用Zマーク羽子板ボルトでプーラーを製作
焼入れ品ではないので、歯が立たないか?
汎用のギヤプーラーとコンビネーション?で小手調べ
この後にアーム逃げ止め用ホルダーを追加し引く
先端の爪が負けるのでナット側の金具も使用
金具が2重に強化され、爪部分を支える
これで本気の勝負を賭ける事に
プッシャーもエクステンションバーに変更し強化
ガッチリ引くものの、ローターが撓むのみ
その状態でシャフトを強く叩けば‥‥
プーラーのシャフトの相手は、クランクシャフト
さすがに、ガツンとは、叩けないから‥‥‥
ローターが薄く、外引きでは無理と降参〜
ローターセンターのハブ部分を引く工具を作る?
実は、専用工具を手配した上で試してた〜!
いや〜これは値打ち有るわ〜♪って受取る
小さいハンマーで叩くまでもなく、ゴロンと取れる
とはいえ、大掛かりな作業には違いないかも?
手強い接合は、回り止めのキーが入ったテーパー噛合
ローター奥に付属するのは、スターターギア
専用工具の使用で、無事に移植が出来たE型エンジン
シリンダーブロック側面の形状が、C型と異なる専用品
カバー側に、コイルA’ssyを組付け接合面にシールを塗布
対角かつ段階を踏んで、規定トルクで〜 COMPLETE !

一目見た瞬間から、ライダーを惹きつける何かがある‥‥‥
それは最新のバイクでも、最新のパーツを身にまとったバイクでもない。
しかし、MI(ミッションインポッシブル)と言えるプロジェクトの中で持てる力(パーツ)を結集。
生まれたバイクはNinjaの化身となった。 ZXーXR‥‥その存在こそが、エモーショナル!


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