事例紹介
 
 
  
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風呂場の腐朽を修理 少し前から気になっている事に、洗い場の隅のサッシとの取合いの部分の防水状態がある。

阪神淡路大震災で建物が大きく揺られ、要のタイル1枚にヒビが入ってしまった。
直ぐにコーキング処理で防水を図ってはみたものの、永年の使用中に何度となく劣化してはやり替えてきている。
そういった経過の中で、果たしてどれくらいの水が裏に回っているだろうか?
表面からでは、タイル面やアルミ材に隠れて何もわかりません!

たかだか10センチほどのヒビ‥‥‥甘く考えていたわけではないが、ズルズル先送りしていたのは事実。

その確認、否、恐らく補修も必要なハズ?
いずれしなければならないなら、早くした方が良いに決まっている〜!

そんな経過で、準備万端に整えて作業開始のXデーが
 
外科手術  
割れた1枚のタイルを剥がすと案の定、裏には水が!
水が回った部分を追いかけていくと結構な範囲に〜
お風呂は毎日でも入りたいから時間との勝負?
とにかく隙間の奥にドライヤーで送風開始!
でも、この時点で数日の工事を覚悟(涙)
タイルは、モルタル下地に貼られて(湿式)いる為、当然ながら剥がすには道具が必要です。
工事業者なら、ヒル○ィーのブレーカーでも使って見せ場を用意したいところでしょうか?
しかし、建物がRC造でもなく、この程度の作業ならタガネハンマーがベスト!
もちろん、安全作業って事でゴーグル(安全メガネ)や状況によっては防塵マスクも必要です。

目地をコツコツと丁寧に砕けば、タイルも割れずに縁を切る事も可能です。
だから、ダイヤモンドカッターも不要!
タイル1枚単位で剥がせば良い訳で、猛烈な埃も出さずに済みますから。

という事で、大した養生も無く作業開始〜
砕いたガラとチリは、塵取りと箒。
最後にエアブローで仕上げるわけにはいきませんので、業務用掃除機でギュイ〜ンと奥の奥まで綺麗に。
 
まるで廃墟?  
被害が思ったより広範囲とわかり、さらにドライヤー、赤外線ヒーターも追加、今度は火事になる〜!
そのかいあって、全体が水気を含んで黒ずんでいた所に、少し白っぽく乾いた部分が出来てきた
しかし、防水紙等の施工は、単純に表面から或いは上から下への水の浸入を想定しただけ〜
その為、サッシや土間との取合い部分等での複雑な浸透では、意味を成さない事も有るから

綺麗なタイルの裏側がこんなになっているとは、何事も早期発見が大切ですね〜! 
 

中略、処置後?
削り出た傷口には、防腐剤を塗布後に
防水紙ラス網を入念に施工
腐朽が始まって柔らかくなってしまった木部を全て撤去し、と書けば簡単だけど‥‥‥
実際は、釘やモルタル等に注意しながらノミタガネバール等を使い分けて悪戦苦闘!
何より、水で腐朽した木材は汚らしいから〜!

幸い、サッシを外して材木を差し替える程までは、範囲が広がっていません。
また、躯体の構造に影響する部分でもない為、削り取った部分も含めて、防水モルタルで下地を作る事にします。

*汚らしい写真は撮っておりませんが、現場は、ガラ、屑、チリだらけにもなります。
しかし、一つの作業毎に綺麗に掃除をする事は、良い品質に仕上げる為には必須作業です!
 
防水モルタル さすがにモルタルが、他に付着すると後が大変なので、便利な養生テープを使って簡単に〜

防水モルタルは、タイルの貼り代分を控えた厚みで、しっかりと塗り込み周囲に馴染ませます。
タイルの準備 下地が出来れば、タイル仕上げで終わり〜と言うか、このままでも、元よりはしっかりと防水性が有るハズ!

ところで、タイルの必要数は僅かな為、取寄せるまでもないでしょう。
仮に同じ物と拘れば、恐らく、サンプルを預けて探してもらうような面倒な事になる〜
何より時間が勝負!
このままで使って、下地に石鹸カスが付いたりしたら嫌だし〜
ホームセンターの店頭で手に入る似たような物で代用します。
タイルカッター 磁器タイルのような薄いタイルのカットは、このような引き切りのタイルカッターが便利です。
(写真は、別作業時に撮影分を使用)
ボンド貼工法  
タイル貼りは、貼付けモルタルではなく、専用ボンドによる圧着の乾式工法で実施します。
その理由は、下地全面にしっかりと塗る事で、+αの防水層として期待する事と強度
タイルの接着剤は、エポキシボンドの2液反応硬化タイプ(イナメントE-73)を使用
耐水性が高く、洗い場の床にも使用出来ますが、難点は汚れの拭取りが面倒!
誤ってタイル表面に付着したり、充分に叩き込む中で目地からのはみ出し等
モルタルのように濡れスポンジでサッととはいきませんし、すぐに拭かないと
ボンドといっても、高くて量も使うし、粘いけど案外動くし、お手軽ではない
牛乳パック(洗って乾かした物)は、コテ板代わりに使えば手入れが楽!
 
タイル貼り ボンド貼りの場合、下地のモルタルが充分に乾燥していないと接着が出来ません。
その為、作業のオープンタイムが取れない場合は、貼付けモルタル(イナメントタフ等)による湿式工法を採用します。
これは、湿気があるとボンドが接着しない為です。
また、逆に、ボンド貼りの場合は、すぐに目地入れをしない方が無難です。。
これは、水気を避けるだけでなく、反応ガスの逃げ場が無くなる可能性が高いからです。
目地モルタル
バケツやペイント用下げ缶等の使用が便利ですが、
少量なら、やはり牛乳パックの再利用がお手軽!
ホイップ用搾り袋にコーキングノズルをセットし
養生テープで貼り合せれば、目地入れに〜
目地モルタルは、専用の防汚タイプ(INAXスーパークリーン)
目地モルタルは、小麦粉のように微細で水と合わせ難い面が有ります。
防水モルタル等の調合済み製品には、多少なりともそういった傾向があるけど、その比じゃないから。
袋から出すと微粉がフワ〜と舞い上がる〜

微粒子で水と馴染み難い場合の練り方で注意する点は?
少しだけ水を入れて、そのまま静かに混ぜ続ける事。

焦らず暫く捏ねていると水が粉に吸収されていきます。
そうなると、水の補充と柔らかさ加減が比例的に変化しだすので、全体が耳たぶ程度の固さになるように隅々まで良く混ぜればOK。

ところが、良くないケースは、水が玉になって馴染まないという事で、どんどん水を足していると、ある時、一気に馴染んで全体がトロトロに〜って事になります。
 
目地入れ 目地入れ作業は、ボンドが完全に硬化後に実施。
目地の量が少ないので、チューブで搾り出して直接充填します。

もし、床のモザイクタイル等であれば、ゴムベラやコテで全面に塗り込み後に、余分を濡れスポンジで拭き取る方法になります。
ただし、自然の風合いや滑り止めのように表面が凸凹で拭き取り難いタイルの場合は、綺麗に拭き取れるか否かを事前に試してみるのがベターでしょう。
作業終了 タイル表面に付着した余分や汚れについては、半硬化段階で濡れスポンジ等で拭き取ります。

その間は、道具を片付けたり、一服するなり‥‥‥あっ!忘れてた〜” といって、翌日ぐらいなら、ゴシゴシ擦れば大抵取れます。
 完成

小さな補修でも、ゆっくりと時間を掛けて
確実な修理が出来るのもDIYの良さ!

 
逆に、少量での材料の手配に問題が有ります。事例の専用ボンドは20kg缶、目地も1kg袋から。どちらも、密封保管も可能ですが、さすがに20kgではもて余すでしょう。だからと言って、工程を簡素化し、下地の防水モルタルに直接貼付ける圧着貼りも可能です。ただし、防水モルタル本来の目的である確実な防水層を作る事に加えて、タイル全面接着を同時に留意しないといけません。事例では、作業が簡単で確実な仕上がり方法を選んでいます。それは、防水、タイル貼り、目地仕上げの3工程を分けて実施する事。この工程手順で、各々に必要な小口材料の手配を図ってみては如何でしょうか?手馴れれば、先の方法でタイルも乱さず一発で貼れるのも事実ですが、どちらを選ぶかはケースバイケースで判断して下さい。
最後の作業は、シリコンシーラントでの予防的防水処置です。
もちろん、目地が充分に乾いてからの話。
コーキングを使用すると、遅かれ早かれカビが生じるから嫌なんですが、その柔軟性には頼らざるを得ません!

床と壁や立上がりの接点、壁とサッシや立上がりとの接点、水切りの裏等。
いずれ微細なクラックが生じると思われる部分に上塗りしておきます。

使用するシリコンシーラントは、POSシール
カラーバリエーションも多く、普通は防カビ剤も入っています。(念の為、表示で確認要です)

以上の作業の中で、オープンタイムが何度も必要とありましたが、気温や湿度、その他施工条件で変わってきますので、よく観察して判断して下さい。
出来れば、充分に時間を掛けてするのがベターです。
 

 
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