浴槽まわり |
壁材の表面にグレーティングが映り込んでいるが、表面の硬度と仕上げ精度は予想外に良かった。 特に、直貼りと胴縁施工のミックスで平面が出しにくい状況では、ピシッとしている方が良い。 簡単に下地に馴染んでしまう物なら、スムーズに貼れた後で面の歪みに愕然とする事になる。 名前がソフティーとなっている事から、バスリブの様な樹脂面材をイメージするかもしれない。 しかし、ソフトというのは複合材としてのウレタン部分の事であって、表面はアルミ材がベース。 切断加工は、一般的な新建材用の工具で歯の細かい物が適し、樹脂や非鉄金属が切断出来れば充分。 もちろん、基材というか裏張りが発泡ウレタンだけあって、多少の誤差は吸収してくれる。 素材の性能の良さだけでなく、製品精度も高く確実に差し接げば、自然と精度の良い面が形成される優れもの。 ただ、カタログではその辺りの質感や精度が伝わらないのが残念! まして、シベック柄という模様や色合いなどは、実物を見て初めて分かるようなもの。 床タイル面は、僅かしか作れない高低差の中で緩勾配を組合せて、グレーティングへと排水を導く。 浴槽のカウンター部は、床、壁どちらでもない種類のタイルを使用。 これは、三角形状によるもので、斜め線が有る為、同寸のタイルでは目地を揃える事が出来ない。 床タイルのカット部が斜辺となる為、20センチよりも長くなるからで、それに接する垂直面に切り物2枚合わせというわけにもいかない。 そこで、全く視点を切替えて、寸法も質感も異なるタイルを使用し、敢えて目地も白で強調している。 要するに、カウンター部は浴槽の続きであって、床でも壁でもないという作り。 浴槽にさらに近い色もあるのだが、わざと少し明るい色に外し、白い目地と共に浴槽に埋没させないように。 あまりに、しっくりと落着きすぎても、リニューアルしたという軽い気持ち(安っぽい?)の心の躍動に欠ける。 そのバランスを考えた少しばかりの演出というわけだ。 四角い建物、四角い部屋の中でのチャームポイントにもなれば? とは言え、この部屋は厳密には台形をしている。モザイクタイルや塗り天井なら何の問題も起きないが(怒) そこで、タイルの選択や割付も小さな切り物や目だった斜め線が出来ないように熟考されている。 尚、タイルカットは、薄い15センチタイルは専用タイルカッター。 床、壁タイルは、ダイヤモンドカッターで実施。 ダイヤモンドカッターは、スリットの無いウエーブタイプを使用。 セグメントタイプ(スリット付)では、弾いた瞬間に割り易いので硬いタイルには向かない。 |
<補足説明> | |
グレーティング | 蓋付の排水溝の事。本来は細かい格子状の溝蓋の事(建築土木関連) |
バスリブ | 樹脂製浴室天井仕上げ材。縦リブのデザインにより強度や水切りを向上させている |
複合材 | 表面材と下地材のように複数の素材を合わせた多機能材 |
カウンター | 浴槽の縁の水平部分とそれに続く台状の仕上げ |
注)以上は私見につき、正しく知りたい場合にはご自身でお調べ下さい。 |
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