とっても気になる四阿(東屋)

公園や観光地などで、必ずといって良いほどお世話になるのが四阿(あずまや)です。
四阿って、難しい漢字なので、一般的な東屋(東国の粗末な建物って意味〜)を使いますか?
ちょっと一服とか、雨宿りの場合もあるでしょうか?ベンチも用意されていたりと有り難い事です。
セレブで、茶店やカフェの方にばかり意識が向いていると案外出会えないかもね〜 (^^)v
と言うわけで、振り返って自分のアルバムを見ると、有るわ有るわの大量の出会いが〜(笑)
ならば、ちょっと整理して東屋写真集って感じで、勝手に紹介しちゃおうかなって!
東屋の作りって、腕に覚えのある人なら相当なインパクトを与えてくれるはず。
それもそのはず、内装なんて無いから全てが見えている〜ようで謎だらけ!!
せいぜい研究して、大いに参考にされたら良いけど、現地に実物が有るか否かは??
その理由は、この為に、取材に行ったわけではないから‥‥‥ アルバム整理!
呉々も、真似て作る際は、見えないところまでしっかりと研究して下さいね〜
あの〜屋根を剥がせってんじゃなくて、ネットとかで‥‥‥他力本願 
m(_)m
では、東屋が、壊れたこうもり傘やU.F.O.にならない事を祈りつつ 
OPEN 〜♪

東屋写真集


屋根中心に有る宙吊りの真束から四隅に伸びるのが隅木
隅木から魚の骨のように流した垂木が水平な桁に架かる
寄棟方形屋根には、棟木や母屋、梁といった部材が無い

公園や庭園の休憩所等で目にする四阿(または東屋、あずまや)は、壁の無い屋根だけの建築物。
その最もオーソドックスなスタイルは、四隅に柱の有る寄棟の方形(四角)屋根の構造をしています。
上の写真は、中でも正統派と呼べる程の構造を整えて、幾何学的な美しさを感じさせてくれます。
四角い大きな屋根は、弦を成す4本の隅木によって支えられ、真束がそれらの中心を束ねる仕組み。
この美しい屋根構造が、四方に張ったカボチャの蔓(つる)の様子に似ている為、真束を南瓜束(かぼちゃづか)とも呼びます。
東屋は、修景物や簡単な日除けや雨除けとして用いられる事から、内装が施されずにシンプルな姿を見せる。
ところが、その一見シンプルに思える構造が、むしろ複雑な加工の上に成り立っている事に気付くはず。
さらに、意識して見上げてみると、その構造には意外な程にバリエーションが多く有る事に驚く。
中には、屋根の中心に柱を有するタイプや、逆に、四隅に柱の無い傘の様なスタイルのものまで。
壁も無ければ床も無い、建物の基本といえるシンプルな作りに、実は楽しみが溢れている〜♪
この事実に気付いた人は、既に東屋コンテストの審査員、否、棟梁になって腕を振るっている?
否々、ひょっとすると、鉄工所の親方になって火花を散らす事になるかもしれないのだ〜!

各写真をクリックすると別ウインドウで拡大します(640×480ピクセル)
特に記載の無い場合は、兵庫県内の市区町名となります
東屋紹介写真 コメント
姫路市 好古園内の東屋 姫路市 好古園内の東屋

東屋の架構(屋根を支える構造体の事)が、良くわかる例。
四方に配した隅木(斜めに下る棟木の事)を四隅の軒桁交点で受け、直下の柱に伝える仕組み。
隅木の頭部は、南瓜束で納まり、途中には配付き垂木が留められる。
特徴としては、隅木に対して南瓜束が太い点。
単に、仕口加工の自由度が高いだけでなく、隅木の取付け強度も高まる。
また、桁に垂木受けを別材で複合させる事で、桁の切り欠き、特に、隅木の受け口の欠損を抑えて強度を高めている。
全体として、方杖や火打ち梁の無いシンプルな構成は、実績に裏付けられた形として、完成されたもの。
軒先の鼻隠し(端隠し)も無いスタイルは、比較的大きな屋根をさらに軽快に見せている。
豪放磊落な大名庭園(風)に相応しい質素且つ粋な作りと言えるかも。

<同様の東屋に出会える場所>
三田市 有馬富士公園 多可町 なかやちよの森
姫路市 伊勢岩屋の森公園の東屋 姫路市 伊勢岩屋の森公園の東屋

都市部の庭園内とは違って、山中の休憩所という立地例。
その為、屋根の大きさに比して、骨太な印象を受ける架構となっている。
その一因ともなっている丸太の大径木を用いた南瓜束は、シンボリックで楽しいもの。
同様に、丸太を用いた柱は、逆に屋根組みに比して軽快で、建築物らしさを和らげ修景物としての風雅さを感じさせる。
それは、火打ち梁にはボルトを用いているのに対して、柱の羽子板ボルトは目立つせいか使われていない点にも言える。
また、垂木の先端には、鼻隠しも取付けられ、全体としては、強度のみならず、見た目にも配慮されたもの。
東屋の基本的な形として、野外環境の休憩所などにも適応した作りと言える。

西脇市 日時計の丘公園の東屋 西脇市 日時計の丘公園の東屋

郊外の有名なオートキャンプ場にある休憩所の東屋。
この例では、木部の防腐処理が焼き材仕上げとなっている。
その為、独特な雰囲気を醸し出しているが、構造的には、ごく標準的な作りをしている。
柱と桁の接続部は、シンプルにL型金具によって補強されている。
ところが、そのL型金具は、素地のままで目立っており、場所柄も含めて焼き仕上げが、特に風流な雰囲気を狙ったものではないとわかる。
施工業者の個性というか、持ち味といったところなんでしょう。

<同様の東屋に出会える場所>
稲美町 加古大池
神戸市 森林植物園の東屋 神戸市 森林植物園の東屋

森林植物園内とはいっても、実質は山中の設置と同じ条件の例。
垂木以外の構造材は、全て丸太木を使用した今風の作りとなっている。
丸太同士の合い口もきっちりと納まり、頑丈さが伝わってくる。
多分、キット化された製品と思われるが、その割りに木部には防腐処理がなされていないように見える。
軒先から水が回ってきているようで、このまま腐朽させてしまうには、時期尚早。
植物園内という事で、環境への配慮が優先された覚悟の上での結果だろうが、維持管理が伴わないと出来ない選択。
一般には、安全性の高い防腐防蟻材の加圧注入材を用いた上で、加工部にも塗布する方法が採られる。
加工材は着色の具合によって、周囲との兼ね合いを考慮する必要があるが、白木材の経年変化は、それ以上に熟慮すべき事と言えるのでは?
神戸市 しあわせの村の和風庭園内東屋 神戸市 しあわせの村の和風庭園内東屋

和風庭園内の休憩所として、庭園風景を形作る修景物とされた例。
正に、どこから眺めても隙のない見事な趣きある作りとなっている。
特徴としては、屋根が茅葺き屋根となっている点で、それに合わせて架構も特徴ある作りになっている。
実際は、茅葺きとはいえ、縄で縛るような葺き方ではない。
しかし、その雰囲気を高める為に、隅木、垂木を丸太小径木で統一。
さらに、いかにもと思わせるのが、竹の飾り垂木が配されている部分。
外見を知らずに見上げただけでも、竪穴住居に通ずる茅葺き屋根の伝統が伝わってくる。
また、屋根組みに合わせて他の部材も丸太材に統一。
しかも、全てが、機械加工の丸太とは違う自然な形状を成している。
しかしながら、火打ち梁に方杖付きと杉皮や桧皮葺きに比べると堅牢な作りとなっている。
これは、重量差のみならず勾配の違いから、屋根厚みが増す中で横風力を加味したものだろう。
柱元は、ベンチを造り付ける事で補強され、目立たぬ範囲で一部に土間コンクリートも打たれている様子。
もちろん、土間も三和土(叩き、たたき)以上に固められているだろうが、残る柱は礎石に置かれた納まりで、徹底して味を追及した作りとなっている。
萱がへたって少し押え竹が出てきているのか、茅葺きながらも茅葺き風だから一概には言えないが‥‥‥
維持するのも大変だが、素人が作れば似て非なるあばら家に〜!
見事に作りこまれたデザインを堪能出来る作品と言えるのでは?
篠山市 ささやまの森公園内の東屋 篠山市 ささやまの森公園内の東屋

珍しく全景写真の有る比較的大きな部類の休憩所の例。
特徴は、三面にコの字に造り付けたベンチが柱元を固めている点。
山あいの谷筋に設置された条件に適し、見た目にも安定感が有る。
太い丸太の南瓜束には、隅木に加えて垂木が取付く余裕がある。
柱も丸太材で礎石上に据えられたスタイルとし、周囲の施設が古民家調の作りである事と調和させている。
屋根は、分厚く樹皮(桧か杉か?)を葺き、銅板の下葺きと合わせて自然のままに、尚且つ耐久度も考慮した作り。
全体の焼き仕上げによる腐朽対策と共に、自然の環境に馴染み風合いを醸し出していく事に徹底している。
軒先には、既に苔が付いているが、自然発生なものかは不明ながらも、近々、草吹く屋根となって狙い通りの佇まいになるだろう。
全体として、現実的には、選択せざるを得ないアスファルトシングルやコロニアル瓦では、決して生まれない趣のある作品になっている。

小野市 夢の森公園内の東屋 小野市 夢の森公園内の東屋

これは、丘陵地の自然を生かした史跡公園内の休憩所として設けられた東屋の例。
一番の特徴は、比較的規模が大きい点だが、同時に変則的な架構の作りが楽しめる。
写真は、それが徐々にわかるように、わざと外観写真を最後に並べている〜
果たして、1枚目の写真でその特徴がわかるだろうか?
一見、これまでの例と大差が無いように見える架構。
ところが、よく見ると南瓜束に隅木、そして垂木が‥‥‥?
さて、垂木が配付き垂木である点に変わりはない。
しかし、太い材は、ボルトで緊結され力垂木と呼べる形になっている。
また、垂木の本数は少ない代わりに、細い母屋材が屋根下地を補強。
その結果、野地板は、垂木と平行に並ぶ張り方。
そして、太く短い垂木の先に有るのは、桁と思いきや〜
その先に、また垂木が伸びている〜しかも、位置がずれて!
その実態が、2枚目の写真でわかる。
1枚目の写真で、あたかも桁かと思えた横材は、隅木同士を補強する火打ち梁的な役目を担う。
その事で、屋根構面は頑強なトラス形状を有する事となる。
壁のない東屋において、南瓜束の大きな屋根の場合は、屋根の吹き上げが特に心配なところ。
しかし、隅木と束が上向きの力を受けた場合には、この横材によって傘がすぼむように変形する事を防ぐ。
その為、屋根面全体の支持部に、力を分散させる事が出来る。
そして、その強い屋根構面を形作る力垂木と桁の接続にも特徴が〜
力垂木と桁は、小さな束を介して込み栓付きの仕口接合によって一体化。
さらに、屋根構面と一体化した桁は、四隅の柱だけではなく、壁構造の面で強固に支えられている。
3枚目の写真だけを見れば、東屋と言うよりも建築中の建物と言える程。
柱を同材の筋交いとボルト接合により耐力面を形作る事で、比較的に小径な部材で構成されている。
その耐力面は、ベンチ状の土台構造で根固めされ、RC基礎にしっかりと繋がる。
最後の写真は、一目瞭然の規模の大きさが伝わる迫力の全景。
単に、規模が大きい場合のスタイルだけではなく、東屋が方形の建築物に発展する姿にも見えてくる。
しかし、実際に建築物とする場合であれば、このような架構にする必要は無く、桁間に水平梁を渡して隅木を束で受ければ簡単。
梁や束を増やせば、架構全体の部材も簡素化出来るところ。
ただし、その結果は、まさに建築中の住宅という見栄えになるだろう。
あくまでも、東屋としての美しさを感じさせてくれる大作と言えるのでは?

宍栗市一宮町 まほろばの湯 宍栗市一宮町 まほろばの湯

周囲の見通しが良い公園の休憩所として設けられた東屋の例。
特徴としては、四辺の桁部分に垂れ壁が付けられている点だが、それ以外の構造は、典型的な南瓜束による寄棟方形屋根の作り。
その垂れ壁は、下枠が桁と同寸の材で作られた強固なもの。
下枠は、丸柱にホゾ差し込み栓打ちで接続。
ただ、屋根仕上げが樹皮で軽量な為か、上下の繋ぎが簡素で、重ね梁とまでは言えないかもしれない。
しかし、屋根構面の強化に加え、柱の頭を安定させる意味においても、方杖に勝る手の込んだ作りと言えるだろう。
他に、野地板の軒先1枚の材色が異なっている点が?マーク。
瓦葺ではないので、広小舞というわけでは無いはず〜?
そうであれば、腐朽しやすい1枚目だけ、防腐処理をしていた事での差が生じたと。
しかし、鼻隠しが無い点、また、水切り部を見るとそれなりの厚みが有りそうにも取れる事から、広小舞的に軒先が強化されているのかも?
ただし、その場合には、薄い屋根材をそのまま葺くと反りが生じてしまう。
葺き重ねの加減で勾配を調整しているのか、そもそも、そういった野地板の違いが無いのか?
これらの写真だけでは、解明出来ないのが残念!
最後に、一宮町と言えば、積雪も考慮しなければならない土地柄。
しかし、2枚目3枚目の写真を見ればわかるように、樹皮屋根の軒先の無防備過ぎる程の雪への備え!
仮に、重ね梁的な柱頭の固めが、積雪の偏荷重による水平力に備えているとしたら‥‥‥
樹皮の軒先が刃こぼれしているのではなく、水切りを越えてずり落ちてきていると考えるべきか?
確かに、そうとして見れば、2枚目写真左下部の軒先の出幅が不揃いな点も納得出来る。
とすれば、屋根葺きが、積雪によってかなり傷んでいるわけで、この後に手入れがなされていれば良いのだが〜?
宍栗市山崎町 最上山公園内の東屋 宍栗市山崎町 最上山公園内の東屋

低山の城跡公園にある休憩所として設けられた東屋の例。
まず目に付くのは、欄間風に透けた垂れ壁と同じく縦格子デザインの手摺。
一見、軽快に思える作りが、実はベンチも備えるフル装備モデル〜!
屋根は、コロニアル瓦に板金を組合わせた実用性を優先した作り。
全体の雰囲気で考えれば、樹皮葺き?と思えるかもしれない。
しかし、立地が低山ながらも道路の無い300m前後の山頂付近。
一つ上の一宮の例と同様に積雪もあれば、ここは、さらに、落葉が凄い!
なだらかな樹皮の屋根の上に、松葉がどっさり積もれば、風でも飛ばないから。
そうなれば、さすがの樹皮も地面に積もった落葉同様の運命になってしまうだろう。
そもそも、作るのも大変な立地だから、将来のメンテナンスの省力化は、重要なテーマであるはず。
さて、フル装備である事以外には、さして特徴は無いように思われたのだが〜
一歩足を踏み入れて、屋根構面を見上げると案の定、典型的な南瓜束が焼き仕上げの中に鎮座している。
しかし、何か変?
そうです。垂木にわざわざ小さな横材を加えて、野地板が縦張りになっている。
この横材は、波板屋根で言う母屋材に相当するもの。
普通に考えれば、垂木のピッチも細かく、横張りでも何の問題も有りません。
化粧野地板としても、縦張りにする必要はないはず?
他の縦張り事例であれば、それぞれに理由が考えられました。
二つ上の小野の例であれば、垂木が強いながらもピッチが大きい。
四つ上の神戸の例では、化粧垂木として丸太材や竹が使用されている。
ところが〜?
もし、細い横材が垂木に欠き込まれて面一となっていれば、釘打ちの本数も増えて屋根面は強くなるのかもしれない。
しかし、そうではなく、逆に、母屋のピッチが垂木よりも広いようにさえ見える。
仮に、野地板が実接ぎで張られていたとしても、特に強くなるとは思えないのだが‥‥‥
謎と言えば謎〜?それとも単に、一般的な下屋や庇と同様に作っただけ〜??

その他の部分については、柱に加えて桁も手摺も手摺子も丸太材を使用し、綺麗に組合わせている。
手摺の柱部には、銅キャップが付けられ、すのこ状のベンチも含めて、耐久性に考慮した作りとなっている。
 
coming soon
no picture

似ているようでも個性溢れる東屋の数々に、作り手の思いがしっかりと込められていますね〜
でも、どれも標準的と言える程に簡潔なスタイルで、まるでお手本のような東屋ばかり!
これから登場してくる東屋は、果たしてどんな個性を発揮してくれるのでしょうか?
この先、写真整理が、俄然、楽しみになって‥‥‥暫くお待ち下さいね〜♪

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